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自分の家は災害が起きても住み続けられる? 避けては通れない「在宅避難」の準備 #災害に備える

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大規模災害が発生したとき、自分の家は住み続けることができるだろうか。避難所での生活は、過密な空間や深刻なトイレ問題など、快適な環境を必ずしも確保できるわけではない。そもそも、特に都市部では大災害時に避難所が不足すると言われている。災害が起きても自宅に住み続けられる備えをすることが、命と快適な暮らしを守るための最適な選択肢となり得るかもしれない。在宅避難を想定した備えや災害時の判断について解説する。(Yahoo!ニュース オリジナル 特集編集部/監修:福和伸夫)

この記事、ざっくりいうと?

  • 指定避難所は、収容人数不足、過密な生活環境や衛生面などに課題が
  • 在宅避難はハザードマップや建物の状況確認など、平時と発災後の冷静な判断が不可欠
  • 在宅避難は最低3〜7日分の備蓄品と、支援情報から孤立しないことが鍵

目次

  1. 避難所のキャパシティーと生活環境から見る避難の現実
  2. 避難生活の選択肢とそれぞれの生活比較
  3. 我が家は在宅避難できる? 判断フローチャート
  4. 家族構成で考える備蓄品チェックリスト
  5. 孤立しない! 在宅避難で使える公的支援と情報収集
福和伸夫さん

1.避難所のキャパシティーと生活環境から見る避難の現実

大規模災害が発生した際、誰もが指定避難所に入れるわけではない。特に大地震が発生した際の都市部において、この問題は顕著である。2025年12月に政府が発表した首都直下地震(都心南部直下地震)における新たな被害想定では、指定避難所(公立学校の体育館など)に避難する人数は、発災2週間後には最大で約480万人(うち東京都区部で約160万人)に達すると予測されており、指定避難所の収容可能人数を超えると言及されている。

福和氏

特に都市部では、避難所が圧倒的に不足します。そもそも、南海トラフ地震や首都直下地震のような巨大災害になれば、行政での災害対策には限界があります。公助(公的支援)には期待しすぎず、自助(自分で守る)と共助(近所で助け合う)が基本だと考えるべきです。

仮に避難所に入れたとしても、必ずしも快適な生活を送れるわけではない。

国際的な人道基準である「スフィア基準」では、避難者1人あたり最低3.5㎡の居住スペースを確保することが推奨されているが、日本の多くの避難所では1人あたり2㎡(畳約1.2畳分)程度で運営されることも多く、過密状態になりがちである。雑魚寝や不十分な間仕切りは、プライバシーの欠如を招き、精神的ストレスを増大させる。

健康被害に直結する避難所の深刻な「トイレ問題」

さらに、避難所生活で最も深刻な問題の一つがトイレである。断水による水洗トイレの使用不可、仮設トイレの劣悪な衛生環境や個数不足は、多くの被災者を苦しめる。内閣府のガイドラインでもトイレ環境の悪化が健康被害に直結することが指摘されている。実際、近年の大規模災害でも、トイレに行く回数を減らすために水分や食事を控える被災者が続出し、その結果、エコノミークラス症候群や脱水症状、感染症のリスクが高まることが問題視された。

直接被害を免れても続く危機 ──「災害関連死」の実態

避難生活による肉体的・精神的疲労は、時に命に関わる。「災害関連死」とは、地震の揺れや津波といった直接的な被害ではなく、その後の避難生活のストレスや環境悪化が原因で亡くなることを指す。内閣府の統計でも、過去の災害において「避難所等における生活の肉体・精神的疲労」が災害関連死の主要な原因の一つとして挙げられている。2016年の熊本地震では、車中泊や避難所生活におけるエコノミークラス症候群の発症が相次いだ。

避難所生活で起きる困難

福和氏

行政も、スフィア基準に基づいたスペースの確保やTKB(トイレ、キッチン、ベッド)の環境を良くしようと何とか努力はしていますが、財源や職員の数には限りがあります。現実的に考えれば、すべての人をカバーするのは難しい。特に、災害の規模が大きくなればなるほど、難しくなります。プライバシーの欠如や衛生問題、特にトイレの問題は命に関わり、関連死につながります。大規模な災害が起きる可能性を考慮して、安全な場所に自宅を構えたり、災害が起きても壊れづらい構造にしたりするなど準備をしておくことが、重要になります。

2.避難生活の選択肢とそれぞれの生活比較

災害時の避難生活には、主に「指定避難所」「在宅避難」「親戚・知人宅などへの縁故避難」といった選択肢がある。それぞれにメリットとデメリットがあり、状況に応じて最適な選択は異なる。

避難生活、あなたが選べる選択肢は?

福和氏

大前提として、風水害と地震災害では全く違います。風水害は被害が比較的限定的なので、数日間をしのげば、物資が届き始めることも多いです。しかし、南海トラフのような巨大地震では「復興」という言葉すらあり得ない規模になります。そういった災害ではインフラが壊滅して、避難所での生活ができるのか、外からの物資は届くのかわからない状況になります。

そもそも都市部に人口が密集しすぎているので、災害を考慮して、一人ひとりが住むべき地域を選ぶことが最も重要ですが、現在、都市部に住んでいる人は多い。そういった方に私が提案したいのは「二拠点居住」です。都会の家がダメになっても、避難できる田舎の家を持っておく。これが究極の在宅避難ともいえます。「親戚・知人宅などへの縁故避難」も選択肢ですが、長期間になると人間関係が難しくなる可能性があります。車中泊も一つの手段です。車と、お風呂やトイレを自立させたコンテナハウスなどと組み合わせる方法も考えられます。

在宅避難を選択するということは、インフラが途絶した状況下で、自力で生活を維持することを意味する。自宅が安全であれば、在宅避難は生活の質を維持する最良の選択肢となり得る。しかし、そのためには「住み続けられる家の確保」と「十分な備蓄」が絶対条件となる。

3.我が家は在宅避難できる? 判断フローチャート

在宅避難は、安全が確認されて初めて成り立つ選択肢である。住んでいる地域や建物の状況を、平時のうちに確認した上で、発災時に自宅や周囲の状況をよく見て判断する必要がある。災害の種類(地震・風水害)に応じて、在宅避難が可能かを判断するためのフローチャートを作成した。

フローチャート

福和氏

平時に確認すべきは「土地の歴史」です。地名を見ると、昔どういう場所だったかを推測できます。昔から人が住んでいた場所は比較的安全ですが、現代の都市部は、鉄道を敷くために谷筋やがけ下など、昔は人が住んでいなかったような場所に駅をつくり、そこが発展しました。「自然災害伝承碑」を確認すれば、過去にその土地で、どんな災害が起こったかを知ることができます。また、ハザードマップで、複数の災害に関する危険度を確認するのが基本です。低い土地は水害、液状化、揺れの危険度が高い。高い場所でも、斜面を造成した場所は土砂崩れの危険があります。

発災後は、家が「住み続けられるか」を見極める必要があります。地震の場合は、「応急危険度判定士」が赤(危険)・黄(要注意)・緑(調査済み≒使用可能)の紙を貼ってくれますが、南海トラフのような巨大災害では判定士が来られなくなる可能性もあります。自分の目で「家の傾き、大きな亀裂」がないか、周囲で「浸水、がけ崩れ」が起きていないかを確認することが第一歩です。

また、家の耐震基準というのは、最低限の基準として、地震が起きたときに倒壊しない基準であって、複数回の地震に耐えて住み続けられることを保証する基準ではありません。余震で壊れる可能性もありますので、大きな災害に耐えられる建築構造の家に住むことが大切です。

害ごとのハザードマップを簡単に切り替えて見られる 「重ねるハザードマップ」は、自宅の安全性を確かめる上で頼りになるツールだ。

4.家族構成で考える備蓄品チェックリスト

在宅避難の生命線は備蓄である。ライフラインがすべて停止しても、支援が届くまでの間(最低3~7日間)自活できるだけの備えが必要である。大規模災害の事例を見ても、インフラ復旧には数週間以上かかることもあり、「7日分」は決して多すぎる量ではない。

無理なく日常的な備蓄をするための手法が「ローリングストック法」である。これは、普段から使う食料品や日用品を少し多めに買い置きし、賞味期限の古いものから使い、使った分だけ新しく買い足す方法である。これにより、特別な「非常食」を意識しすぎることなく、常に一定量の備蓄を保つことができる。

以下は、在宅避難を想定した備蓄品リストである。家族構成に合わせて必要なものをチェックする必要がある。

備蓄品チェックリスト

福和氏

まず、絶対に備えるべきは水とトイレです。ここで意識したいのが、日常と災害時の垣根をなくす「フェーズフリー」という考え方です。これは、特別な準備をするのではなく、普段の生活の中に防災を取り入れるスタイルです。

例えば、私はおいしい焼酎の水割りを作るためにペットボトルの水を大量に買い置きし、炭酸水メーカーも持っています。安いときに大量買いするなど、普段の生活の延長で備蓄すれば無理がありません。

梅干しや酢などを自分で作ることも、健康的な生活と防災につながりますし、アウトドアグッズも、普段から楽しんで使っていればいざというときに役立ちます。「普段の生活を豊かにすること」が、結果として無理のない防災対策につながります。

水については、都市部、特にマンションでは深刻です。飲み水はもちろんですが、トイレを流すための生活用水も確保しなければなりません。簡易トイレは必須ですが、特にマンションでは、エレベーターが止まったら外の仮設トイレには行けませんから、十分な量を備蓄することが必須です。

都会は物流が途絶えると商品の供給がなくなるので、より多くの備蓄が必要になります。しかし、都市部の家は狭く、大量にものを置けないのが課題です。戸建て住宅なら、太陽光発電、蓄電池、燃料電池、貯水槽、井戸、家庭菜園、などさまざまな対策ができます。

これらの備蓄は、在宅避難を支えるだけでなく、避難所へ移動せざるを得なくなった場合でも、劣悪な環境をしのぐための「自助」の力となる。

5.孤立しない! 在宅避難で使える公的支援と情報収集

在宅避難をしている中で、情報や支援から取り残されて孤立することには注意が必要だ。大規模災害時には、道路網の寸断やインフラ停止により、容易に「陸の孤島」状態が生まれる。ライフラインが途絶し、家でじっと耐えているだけでは、支援物資の配布がいつどこで行われているかを知ることができない。安全に在宅避難を続けるためには、自ら情報をキャッチし、必要に応じて「助けを求める」行動が不可欠である。

支援の輪

福和氏

公的支援の方針は、従来の「場所(避難所)への支援」から「人への支援」に変わりつつあり、在宅避難者にも物資が届くようになっています。ただし、「人への支援」は膨大な人的資源が必要になるため、巨大災害時に本当にそれが機能するかは現実的に考える必要があります。

孤立しないためにまず必要なのは情報です。電源の確保(モバイルバッテリー、ラジオなど)が重要になります。災害が起きた後は「どこでどんな被害があったか」を知らないと、命を守る行動や、どこへ避難すべきかの判断ができません。都市部では、普段から横のつながり(共助)が希薄なことがリスクです。いざというときに助け合える近所づきあいが、孤立を防ぐ最大の備えになります。

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