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豊かな未来のきっかけを届ける

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EVが「普通」になってきた。日産サクラ×タクシーが進める、カーボンニュートラルへの道

提供:日産自動車

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2022年6月に発売された電気自動車「日産サクラ」。量産車としては日本初となる軽規格の電気自動車(以下、EV)で、発売から4ヶ月半で3万3,000台以上を受注。「2022-2023日本カー・オブ・ザ・イヤー」にも選ばれる(※1)など、大きな注目を集めています。

昨年11月、日産サクラに関する新たなニュースが飛びこんできました。それは「KYOTO×NISSAN SAKURA EVタクシー」。国内外から大勢の観光客が訪れる京都で、日産サクラがタクシーとして初めて導入されたのです。

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日産サクラがタクシー仕様となった「SAKURA EV TAXI」

日産自動車と京都のタクシー会社3社がタッグを組んだ、このプロジェクト。日産サクラをEVタクシーとして運行するだけでなく、走行距離に応じた金額が京都府の環境団体「京都環境文化学術フォーラム」へ寄付される「DONATION TAXI(以下、ドネーションタクシー)」という試みも行われます。

プロジェクトに関わる人たちは、次のように話します。

「カーボンニュートラルは、車を動かす我々の業界では絶対無理だと思ってたんです。でも、技術の発展によって、それが可能になった。だから断る理由はなかったですね。京都という世界から人々が集まる場所で、EVの魅力を広く皆さんに知ってもらいたいと思っています(京都府タクシー協会会長・筒井さん)」

「EVの魅力は『乗ればわかる』んですけど、乗るところまでのハードルが、まだ高い。でもタクシーはEVの楽しさを知っていただくために、すごくトライしやすい入口になるはずです(日産自動車・松村さん)」

少しずつ「EV」が当たり前になりつつある今、「SAKURA EV TAXI(以下、サクラタクシー)」は社会に対してどのようなきっかけになるのか? プロジェクトに関わる三人に、Yahoo! JAPAN SDGs編集長の長谷川が取材しました。

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左から、日産自動車 日本マーケティング本部ブランド&メディア戦略部 松村眞依子さん、佐藤里香さん、京都府タクシー協会会長/都タクシー代表取締役社長 筒井基好さん

サクラタクシーで京都をドライブ!

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インタビューの前に、サクラタクシーの乗り心地が気になる......ということで、まずは長谷川編集長が乗車体験。京都の街を走りながら、運転手の都タクシー・松宮英美さんに話を聞いてみます。

── このサクラタクシーって、実際に京都の街を走ってるんですか?

松宮

はい、普通に街中を走っていますよ。色がピンクでタクシーっぽくないからか、手を上げるか悩んでる人もいらっしゃいますけど(笑)。そんな時は、私はあえてお客さんの前に横付けしちゃいます。

── ピンクの見た目のタクシーは珍しいですよね。

松宮

都タクシーの日産サクラだけこの色なんですよ。色もきれいで気に入ってます。

── 春の桜のシーズンには特に映えそうです。でも、さっきから乗っていて、全然音が気にならないですね。軽自動車とは思えない。

松宮

そうなんです! 私がプライベートで乗っているのはガソリン車の軽なんですけど、走り心地がもう、まったく違います。日産サクラは本当に静かだし、加速もすごくて、軽くアクセルを踏み込んだだけで50~60kmくらい出る。初めて乗った時「これ軽なん!?」って驚きました。

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都タクシーでサクラタクシーの運転手を務める松宮さん

松宮

あとは車体が小さくて狭い道も走りやすいので、普通のタクシーだと行きづらかった路地の奥にあるような寺社仏閣にもスッと行けます。京都は観光のお客さんが多いので、穴場のスポットを紹介することも多いんです。今までは「あそこは車だと難しいな」みたいに思ってた場所も、日産サクラだと行けますね。

そうだ、この近くに私のお気に入りの神社さんがあるので、行ってみます?

── ぜひ! せっかくなので京都を感じたいです。

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ということで、「城南宮」さんへちょっと寄り道。松宮さんと境内を歩きます。

── こうやってタクシーを降りてお客さんを案内することもあるんですか?

松宮

修学旅行のお子さんたちを乗せることもあるので、そういう時はご案内してますよ。ちなみに、城南宮さんは方除(ほうよけ)の神社で、車のお祓いもやってくれはるんです。境内も明るくて、好きな場所ですね。

── 京都は観光スポットがたくさんあるから、お客さんを案内するのも楽しそうですね。サクラタクシーに乗ったお客さんの反応はいかがですか?

松宮

「これEVなんです」と言うと、みなさん驚かれます。初めてEVに乗ります、って人も多いですし、「静かやねえ」と感動されたり。車内も広いので、軽自動車と気づかない方も多くて。

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天井の高さや足元のスペースも、軽自動車とは思えないほど広々としている

── たまたま街中でタクシーに乗って、それがEVの初体験になる......というケースも結構ありそうですね。

松宮

そうだと思います。それに、京都の街でピンクのサクラタクシーは私の乗ってる1台だけなので、レアですよ。「乗ったら幸せになれる」みたいになったらいいな、と個人的に思ってます(笑)。

── 何千台分の1なわけですから、街中で遭遇するだけですごい確率ですよ。そのジンクス、広めていきましょう!(笑) ピンクのサクラタクシーに乗ると幸せになる、みたいに。

松宮

ぜひ広めてください。さて、社長たちも待ってると思うので、そろそろ戻りましょうか。

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サクラタクシーのシートカバーは桜の花びら模様

タクシーは新しい車の技術を体験してもらう最高の入口

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乗車体験を終えた長谷川編集長は、日産自動車の松村さん・佐藤さん、都タクシーの筒井さんと合流。サクラタクシーがどのように実現したのか、さらにお話を聞いていきます。

筒井

ドライブを楽しんでいただけたみたいですね。

── 寄り道までしちゃって、すみません。でも、日産サクラとタクシーの相性はすごくいいなと思いました。静かで乗り心地もよくて、運転手さんとの話も弾みましたし。そもそも、どういう経緯でこのプロジェクトは生まれたんですか?

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松村

最初のアクションは日産からですね。元々、日産サクラのメディア試乗会を関西と九州、中部エリアでやろうとしていたんです。京都議定書もあって、環境にすごく配慮している土地である京都が、その候補地として挙がっていました。

さらに社内で話をする中で、京都は狭い道が多いなかにスポットが点在している観光都市でもありますし、小回りのきく日産サクラはなおさらピッタリでは?と。社内のフリート(商用車)事業本部にそんな話をしたら、まさに同じようなことを考えているお客さんがいるよ、と教えてもらったんです。

筒井

日産のフリート事業本部さんと元々お付き合いがあったんですよ。そこで日産サクラのことも聞いていたので、日産さんから「何か一緒にできないか」とご相談いただいた後は、どんどん話が進みましたね。

── メディア試乗会の話が、EVタクシーにまで繋がったと。

筒井

はい。声をかけてくださって光栄ですし、もう「待ってました!」くらいの勢い(笑)。というのも、うちの会社では日産リーフも発売直後に導入していたんです。だからEVタクシー自体の経験はあって。

── 日産リーフの発売は11年前ですよね。業界的にもずいぶん早いのでは?。

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筒井

早いほうでしたね。別に新しいものが好きなわけではなく、チャレンジする義務がある気がしてるんです。たくさんの車を抱えて商売をしている以上、車の新しい技術が出た際は積極的に取り入れて、広くいろんな人に体験していただく。それがタクシー会社の社会的な役割の一つだと思っているんです。

それに、新しい技術を体験してもらえればお客さんにも楽しんでもらえるし、最高じゃないですか。

佐藤

京都府タクシー協会の会長でもある筒井さんがこうして積極的に受け入れてくださったこともあって、単なるメディア試乗会にとどまらず、京都でのタクシー導入に至りました。世の中の流れ的にも、6月に日産サクラを発売して、その話題がまだホットな11月にプロジェクトをお披露目できたのはすごくいい流れだったと思います。

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都タクシーをはじめ、MKタクシー、第一交通の軽3社が日産サクラを導入している(参照元:https://www2.nissan.co.jp/SP/SAKURA/EVTAXI/?lpid=002

EVが特別じゃなく「普通」のものになった

── 都タクシーさんではリーフの導入実績もあったということですけど、日産サクラを導入した感想はいかがでしたか?

筒井

走りも航続距離も、すごく進化したなと思いましたよ。ドライバーさんやお客さんの反応もいいですし。ただ、タクシーのプロとしての視点から言うと......正直なところ「ちょっと早い」んです。

── ちょっと早い?

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筒井

タクシー業界としての本音を言うと、航続距離がもう少し長くなれば最高なんです。そうすれば業界全体で一気に導入が進むはず。でも、それって私たちタクシー業界のマインドが遅れてるということだとも思うんですよ。

── どういう意味でしょう。

筒井

世の中的には、地球にも社会にも優しいことをやっていこうって流れじゃないですか。EVもその一つ。だから頭をアップデートして、どんどんEVも導入していかないと、世界に置いていかれちゃうと思うんです。

── 「プロ視点で完璧になったら導入する」という姿勢では、時代遅れになってしまうんじゃないかと。

筒井

そうですね。世界からも、日本の世の中からも置いていかれちゃう。実際、日産サクラはすごく売れてるわけじゃないですか。それって世の中のほうが進んでる証拠だと思うんです。

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佐藤

私たちの予想していた以上に受け入れていただいていますね。カーオブザイヤーは3団体が実施(※2)しているんですけど、今年は日産サクラがすべて受賞したんです。それもすごく光栄なことだなと。

筒井

ついにEVが「普通」になったってことじゃないですか? もちろん新しくてすごい技術だけれど、我々が生活の中で使う「普通のもの」が、ちょうどフィットしたタイミングで発売された。それだけ一般の人に受け入れられはじめているわけだから、タクシー業界のほうも置いていかれないようにしないといけないよね。

全員が同じベクトルを向いてやっている

── 今回のプロジェクトでドネーションタクシーの試みもユニークだなと思ったんですが、あれはどういった経緯で生まれたんですか?

松村

京都の街を軽EVの日産サクラが走るというインパクトはすごく大きいと思いつつ、お客さまが乗るモチベーションになる要素がもっとあるといいな、と思ったんです。そこで、サクラタクシーが1km走るごとに、10円を日産と各タクシー会社さんから寄付するドネーションの仕組みを提案させていただきました。

筒井

実は、都タクシーでは15年くらい前から似たようなことをやっていて。会社全体でタクシーが1000km走るごとに、海外の子供向けにポリオワクチンを寄付してたんです。だから大賛成でしたよね。

こういうドネーションって、全員が参加している意識を持てるのがすごくいいと思うんです。ドライバーは走るモチベーションになるし、お客さんは「自分たちが乗るから寄付に繋がる」と思うし、会社も社会に貢献している実感を持てる。全員が参加して、ひとつの目的を達成するというのはすごく大事なことだなと。

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佐藤

そういう意味では、サクラタクシーのプロジェクト自体が全員参加の試みですよね。ドネーションタクシーの寄付先は京都府、京都市からご紹介いただいた団体の京都環境文化学術フォーラムなんですが、行政の皆さんにもプロジェクトに参加していただいているんです。

── サクラタクシーの発表会にも京都府知事や京都副市長が出席されていましたね。

松村

行政から民間企業まで関係者の多いプロジェクトなんですが、実施に関して、何かの調整に苦労したことが全くなくて。これだけ大勢が関わっているのに同じ方向を向いて進めているプロジェクトは、すごく珍しいと思います。

佐藤

それぞれ環境に関する専門の課があるくらい、京都府も京都市も環境への取り組みを積極的になさっているんですよね。サクラタクシーには地元のお子さんが描いた環境がテーマの絵をラッピングしているんですが、あの絵も元々、京都府さんが別の試みで募集されたものなので。

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筒井

「日産サクラに子どもたちの書いた環境がテーマの絵を入れましょう」なんてアイデアも、なかなか僕たちからは出てこないわけですよ。日産さんをはじめ、できる方々と一緒に仕事をすることで、どんどんプロジェクトが面白く、インパクトのあるものになっていく。

その体験を通じて、我々も次のステップに引き上げてもらえるわけです。だから僕も「できることはなんでもします」というスタンスですよ。

父親と京都でサクラタクシーに乗りたい

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── 日産のお二人から見て、今後、もっとEVを普及させていくにはどんなハードルがあると思いますか?

松村

筒井さんが仰ってくれたように、EVが「普通」になってきたとはいえ、まだまだ「未来のもの」「自分にはまだ早い」と思われている方が多いのは事実だと思います。だからこそ、いろんな角度から「特別じゃない、普通のものなんですよ」と伝えていく必要がありますね。

佐藤

実は私の父も、娘が担当しているのに「EVはなんだかよくわからないから嫌だ」と言っていて。だから京都まで父に来てもらって、サクラタクシーに乗せたいと思ってます。

── いいですね。まさに佐藤さんのお父さんのような方が、EVに触れるきっかけになるのがEVタクシーかもしれません。

佐藤

高校生のとき、レイチェル・カーソンの『沈黙の春』という本を読んで「自分たちの行動で環境に影響が及んで、将来地球が大変なことになってしまうかもしれないんだ」と衝撃を受けたんです。それ以来、将来は環境に役立つことがしたいと思うようになりました。

だから今、こうやって日産でEVの担当になって、皆さんに広める仕事をできているのがすごく嬉しいんです。その点でも、父にEVの魅力をちゃんとわかってもらいたくて。まずは乗ってもらわなくちゃ、と(笑)。

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松村

私は大学生の時、京都に住んでいたんです。京都の街って電車が少ないので、移動手段がどうしてもバス・タクシー・普通車・原付になる。そんな京都の車社会を身を持って実感していたので、これが全部EVになったらすごいことだな、と思うんですよね。

会社としてゼロ・エミッションを実現する、という目標ももちろんありますけど、日産社員それぞれが個人としての情熱を持って、EVを通じてカーボンニュートラルを実現したいと思っているはずです。

筒井

最高ですね。EVが出るまで、僕たちのように車を動かす商売においてカーボンニュートラルなんて絶対無理だと思ってたんです。でも、絶対無理だと思っていたことが、技術の進歩によって可能になった。これってすごいことですよね。ダメだと思ってたことが可能になったんだから、やるしかないわけですよ。

── 多少のハードルはあっても、チャレンジしていくことに意味がある。

筒井

僕たちだけの力では社会を変えられないかもしれないけど、少しずつでも前に進めていくことはできると思うんです。EVタクシーに関しても、まずは京都で評判になって、「いいじゃん、うちもやりたい」という流れを作る。そうやって他の土地に広がっていけばいいですよね。

── 京都もこれからもっと観光客の人が戻ってくるはずですし、たくさんの人にEVを体験してもらえそうですね。

筒井

観光の人ももちろんだけど、僕は地域の人にこそ体験してほしいと思ってます。タクシーを日常の交通機関として、地域の人に普通に使ってもらうことが僕の理想なんですよ。経営は社会貢献と地域貢献しかないと思っているので、EVの導入も、カーボンニュートラルも、全部そこに繋がっていますね。

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取材からの帰り道で、偶然にも別のサクラタクシーに遭遇しました。本当に、普通に京都の街を走っているんだな、と実感すると同時に、筒井さんの「EVが『普通』になってきた」という言葉が蘇ってきたのです。

地域のために、社会のために「いいこと」に、当たり前にチャレンジする。そうした小さな積み重ねが、SDGsやカーボンニュートラルの実現に繋がっていくのだと改めて学ぶことができた取材でした。

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・自然と暮らしがSDGsになる。黒谷友香さんの、EVとともにある二拠点生活
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