「楽しい」の先に、カーボンニュートラル。軽の電気自動車「日産サクラ」に込めた、社員の想い
提供:日産自動車
この春、日産から新型車が発表されました。名前は「日産サクラ」。量産車としては日本初となる、軽自動車規格の電気自動車(以下、EV)です。
日産のEVとしては、2010年に発売された「日産リーフ」、2022年5月に発売されたばかりの「日産アリア」に続く3台目。EVならではの力強い加速と静粛性が特徴で、日産の軽自動車として初めて、先進運転支援技術「プロパイロットパーキング」(※1)を搭載しています。
また、国の補助金を利用すれば、約180万円から購入可能(※2)。価格がネックになりがちだったEVにおいて、ほぼガソリン車並みの価格も実現しました。
「日本におけるカーボンニュートラルを進めていくために、EVの普及は欠かせません。日産サクラは今後、EVを普及させていくための大きなきっかけであり、日産の未来を担うクルマでもあるんです」
日産でサクラのマーケティングを担当する近藤啓子さんの言葉からは、サクラに寄せられた大きな期待が伝わってきます。
日産の見据えるカーボンニュートラルな未来とは? そして、その未来を日産サクラがどのように切り拓いていくのでしょうか。日産サクラのマーケティングチームの方々に、Yahoo! JAPAN SDGs編集長の長谷川琢也が取材しました。
「地方のセカンドカー」需要を狙った軽のEV
──これまで、日本国内において量産車で軽のEVはなかったんですね。どうして今回、日産はサクラの発売に至ったのでしょう?
近藤:これまで「日産リーフ」「日産アリア」と二種類のEVを発売してきたのですが、正直なところ、日本国内ではまだまだガソリン車が主流の状況です。さらにEV が普及し、一般的なものになってほしいという思いもあって、軽自動車規格の発売に踏み切ったんです。
日本の自動車保有台数を見ると、約4割が軽自動車(※3)なんですよ。特に地方では軽の需要が高いこともあって、日産サクラでは開発当時から「地方のセカンドカー需要」を意識していました。
──地方のセカンドカー需要、ですか。
近藤:軽自動車は、普通車よりも当然、車体が小さくなりますよね。とはいえ、車内の空間はしっかり広く確保したい。すると、どうしてもバッテリーを積めるスペースは限られてきます。バッテリーの大きさと容量は比例しますから、航続距離も限られてしまうんです。
──普通車と比べて積めるバッテリーが小さくなるので、その分航続距離も短くなると。
中島:そうですね。ただし、クルマの使い方によっても必要な航続距離は変わってくると思うんです。軽自動車とコンパクトカーに乗っている8割のお客様が、1日に走行する距離は50km以下(※2022年5月現在 日産調べ)というデータがありまして。
──50km以下! ずいぶん短く感じますけど、近所への通勤や買い物で使うだけであれば、意外とそのくらいかもしれませんね。
中島:ご家族で車を持たれる場合、一台目は遠出にも使える普通車、二台目は近所の買い物などに使う軽自動車やコンパクトカーという組み合わせになることが多いです。また、大都市圏よりも地方都市のほうが、軽自動車の保有率も高くなります。
そうしたデータを元に、「地方都市の郊外に住んでいる、40代の女性」という当初のターゲット像が生まれました。ただ、現在はもっと幅広い層の方々に乗っていただきたいと考えていますし、日産サクラ発表後の反応を見ると、予想以上に広い範囲でリアクションをいただいていますね。5月20日の発表から約3週間で、すでに受注台数は1万1000台を超えています。
──軽自動車規格ゆえの縛りを逆手にとったわけですね。走り心地はどうなんでしょう? 正直なところ、軽のガソリン車だと、走行時のエンジン音だったり、加速時や坂道の踏ん張りだったり「普通車に比べて、このくらいだよね」と諦めちゃう部分もあったのですが。
近藤:EVの特徴である「走る楽しさ」は、日産サクラでも同じですよ。アクセルを踏んだ際の力強い加速や、走行時の静粛性など、今までの軽にはない感覚に皆さん驚かれますね。
──以前リーフに試乗した際も、乗り心地に驚きました。
近藤:リーフに乗ると皆さん笑顔になるので「リーフスマイル」という言葉があります。個人的に、日産サクラでは「キュン」を推しています(笑)。乗り心地や車体のデザインなど、さまざまな要素で毎日の気分を楽しく、キュンとさせてくれるクルマだと思うんです。
EVの「入口」になるクルマ
──僕は普段、宮城県の石巻にいるんですが、現地で乗っているのは軽自動車で。ちょっとした用事でもクルマ移動する機会が多いので、小回りがきく軽が便利なんですよね。地方での選択肢として、軽のEVは、かなり興味があります。
中島:ガソリン車に比べ、まだまだ一般の方にEVのハードルが高いのは事実だと思うんです。航続距離、価格、充電というのが、これまでEVの購入を迷われる方にとっての3つのハードルでした。日産サクラの場合、そのハードルをできるだけ低くすることも意識していて。
中島:価格でいうと、国や地方自治体の補助金を使っていただければ、実質購入価格はガソリン車とそこまで変わらない金額に抑えられます。また、充電に関しても、一般家庭のコンセントで可能です(※4)。約8時間でフル充電できるので、夜に帰って充電すれば、翌朝には満タンになりますね。
──地方では、ガソリンスタンドまでクルマで片道30〜40分かかる土地もあります。それだと往復で1時間以上かかるだけでなく、燃料補給のために燃料を消費しちゃってるわけじゃないですか。その点、家で気軽に充電できるEVはカーボンニュートラル的にもいいですね。
近藤:国内のガソリンスタンドはどんどん減っていて、2020年度末には2万9,005カ所と、ピーク時の約半数にまでなっているというデータもあります(※5)。一方、国内の充電器は現在約3万機(※急速充電器および普通充電器の合計)にまで増えていて。充電ネットワークの整備は、今後も進んでいく予定ですね。
中島:ガソリン車とEVでは、今までのクルマに関する習慣も変わってきます。家で充電できるのもそうですし、ガソリン車だと一度入れると1000kmくらい走れますから、「航続距離が約180kmで大丈夫?」のように心配に思われる方もいる。でも、先ほどお話ししたように、それくらいで充分な方も多いんです。そうしたEVに関するイメージのアップデートも含めて、日産サクラをきっかけに取り組んでいきたいと思っています。
──お話を伺っていると、地方のセカンドカー需要のように、今までEVが選択肢になかった層を取り込むことのできるクルマだなと思います。グッとハードルを下げて、「EVの入口」になるというか。
近藤:まさにそうなってほしいですね。デザインもいろんな工夫が凝らされているので、ぜひ実際に見て、試乗していただけるといいなと思います。
「みんなで作った」軽のEV 日産サクラ
──「サクラ」という名前はどうやって決まったんですか?
中島:通常は名称を含め、新車に関する情報は社内でも発表までトップシークレットなんです。でも日産サクラの場合、事前にネーミング案を社内公募したんですよ。
というのも、軽のEVは社内でも注目を集めていたんです。今後、EVを通じてカーボンニュートラルに取り組んでいくという会社の使命を担うクルマでもあるので、会社全体で盛り上げていきたくて。なので、私が公募を提案しました。
佐藤:社員だけでなく工場勤務の方からも募集して、1200件ほど案が集まりました。「サクラ」の案は9人の方が出されていましたね。
──9人の名付け親が。その人たちも嬉しいでしょうし、まさに会社全体でEVに取り組んでいるんですね。
佐藤:そうですね。エンジニアの方とも話す機会があるんですけど、本当にクルマが大好きな方ばかりなんですよ。ある方は、「小さいころ、家族で旅行に行ったとき、クルマの排気ガスが臭くて嫌な思いをした。だから僕は、排気ガスを出さないEVを作るために日産に入ったんです」と話していて。
そんな風に、自分たちが「楽しい、気持ちいい」と感じるものを作って届けたい、とEVに取り組んでいる人も多いんです。EVでカーボンニュートラルを!なんて言うと、どうしても真面目に聞こえるかもしれません。でも「EVの走りって楽しいよね、地球にも人間にも気持ちいい暮らしができるよね」という気持ちが私たちの根っこにあるんです。
──僕たちもSDGsについて伝える上で、義務感からではなく「そのほうが楽しいよね、気持ちいいよね」って姿勢がすごく大事だと思っています。
近藤:今回、共同開発をしている三菱自動車さんからも日産サクラと同じタイミングで軽のEVが発売されています。いろんなメーカーのEVが発売されることで、お客様の選択肢も増えるし、EV市場の活性化に繋がると思うんです。
そうやってEVが当たり前の世の中になっていけば、日産の目指す「ゼロ・エミッション(=CO2を出さない)」にも近づいていくはず。日産サクラは皆さんの暮らしを楽しくしてくれるクルマなので、そんな日産サクラと一緒に、持続可能な社会を目指していきたいですね。
【日産自動車の関連リンク】
・日産サクラWebカタログ
●特別協賛[PR]
●協賛記事[PR]
・EVが「普通」になってきた。日産サクラ×タクシーが進める、カーボンニュートラルへの道
・自然と暮らしがSDGsになる。黒谷友香さんの、EVとともにある二拠点生活
・「やっちゃえ NISSAN」が目指す、ふたつのゼロ。日産自動車がEVで描く未来
本企画についてのアンケートにご協力ください。
アンケートの回答にはYahoo!クラウドソーシングへの利用登録が必要です。アンケートは上限件数に達すると自動的に終了いたします。ご了承ください。
取材・文 友光だんご(Huuuu) Twitter:@inutekina Facebook:tomomitsudango 撮影 黒羽政士 取材 長谷川琢也 Twitter:@hasetaku Facebook:hasetaku