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グラフィックで考えるSDGs 家計の敵にも もったいない食品ロス 減らす工夫

食べられるにもかかわらず捨てられている食べ物は、日本で年間約570万トン。大量の食べ物が無駄になり環境悪化の要因にもなる「食品ロス」は、SDGsで具体的な目標が掲げられている大きな問題です。そんな食品ロスを削減するために、私たちに何ができるのか----食品ロスの現状と対策を考えてみましょう。

大量の食べ物が無駄になり環境悪化の要因にもなる「食品ロス」。食品ロスの現状を知り、私たちに何ができるのか考えてみましょう。

掲載日:
2022年1月31日

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最近、「食品ロス」の話題を
よく耳にしませんか?

五輪会場での弁当廃棄問題
クリスマスケーキや恵方巻など季節食品の廃棄問題

近年、よく耳にする「食品ロス」。実は、私たちの生活にとても身近な問題です。
最近では、東京五輪の期間中に13万食以上の弁当が廃棄されたことが問題になりました。さらにクリスマスケーキ、恵方巻などの季節商品の売れ残りの大量廃棄が報じられ、人々の関心は高まっています。しかし、これは事業者だけの課題ではありません。

日本の食品ロスの
半分は事業者から
残りの半分は家庭から
発生しています

日本の「食品ロス」 約570万トン 家庭系 約261万トン 事業系 約309万トン
≒
国民一人当たりの食品ロス量 1日当たり 茶碗1杯分(約124g)

年間約570万トンのうち261万トンが家庭から出ています。570万トンというのは、東京ドーム約4.5杯分にあたり、国連世界食糧計画(WFP)の年間食料支援量の約1.4倍にも相当する量。しかも、そこには畑で捨てられる規格外野菜や備蓄食品の廃棄などは含まれていません。

食品ロスを減らすには
家庭での対策も重要です

買いすぎで
使い切れず捨てちゃった

作りすぎて
食べ残しちゃった

食材を買いすぎて使わないまま腐らせたり、料理を作りすぎて食べ残したり......そうした家庭のちょっとした無駄の積み重ねが、大量の食品ロスに発展します。

データで見る家庭の食品ロス

食品ロスは各家庭でどのように発生し、どれだけ無駄を生んでいるのか。
データから読み解いていきましょう。

DATA
1

家庭由来の
食品ロスの内訳

発生量合計276万トン 過剰除去57万トン 20.7% 食べ残し123万トン 44.6% 直接廃棄97万トン 34.7%

家庭由来の食品ロスは、作りすぎによる「食べ残し」がもっとも多く、賞味期限切れなどで使わずに捨ててしまう「直接廃棄」、野菜の皮のむきすぎなどの「過剰除去」でも大量に生じています。

DATA
2

捨てて
しまいがちな
食品・食材

ハウス食品の消費者アンケート(2021年9月)では、「野菜類」が飛びぬけて多く、「調味料・油」「果物」が続きます。同じ調査の「最近捨ててしまった食品・食材」では、きゅうり、キャベツ、パン・食パン、レタス、もやしが上位にあがりました。農林水産省の調査でも野菜が最も捨てられているという結果が出ています。

DATA
3

期限が近づいて
焦ったことが
ある食品・食材

TOP10

1位 牛乳 17.9%
2位 豆腐 15.2%
3位 納豆13.2%
4位 卵 12.% 5位 ヨーグルト7.6%
6位 肉・肉類 7.5% 7位 ハム・ソーセージ 5.5% 8位 パン 5.5% 9位 魚介類 3.1% 10位 ドレッシング 3.1%

冷蔵庫を開けて見てみたら、賞味期限がギリギリだった......という経験は、だれにでもあること。ここでは野菜ではなく、乳製品や卵、肉類など「期限表示」のあるものが回答上位を占めています。

DATA
4

食品ロスで
年間6万円もの無駄が

家計における食費の現状

消費支出 233,568円/月
食費は消費支出の中で4分の1以上を占めている

「食べ残し」と
「手つかず食品」を
処理することに要する費用

食べ残した食品の購入費 56,000円 ごみの処理費 4,000円 食品ロスによる無駄 年間60,000円/世帯

京都市の試算では、家庭の食品ロスとそのごみ処理費用で、1家庭で年間計6万円もの無駄が出ています。同市は、家庭ごみの削減に積極的に取り組んでいるため、ほかの自治体ではもっと多いかもしれません。

コンビニの食品ロスの実態と対策

実態 1日平均の廃棄量は?

おにぎり
18.9

弁当
5.2

対 策1

消費期限を
長くした
商品の販売

対 策2

値引き販売などで
期限前に売り切る

対 策3

季節商品の
予約販売など

これまでも、たびたび食品ロスが問題になってきたコンビニエンスストア。公正取引委員会の調査(2020年)によると、1店舗当たり年間468万円分(中央値)の食品を捨てています。
こうした状況を改善するため、コンビニ各社では「3分の1ルール」と呼ばれる商習慣を見直して食品の仕入れ期限を緩和したほか、消費期限が長い弁当や総菜を開発したり、値引き販売などで期限前に売り切るよう努めたり、売れ残りやすい季節商品を予約制にしたりするなど、さまざまなアプローチで対策を講じています。

対策をしないとどうなるのか、
影響を確認していきましょう

なぜ食品ロスを減らさないといけないのか

このように「食品ロス=家計のロス」であること以外にも、食品ロスを減らさなければいけない理由はまだまだあります。

理由
1

気候変動に
大きく影響

温室効果ガス排出要因

航空1.4% 鋼鉄3.3% 食品ロス8.2% 道路輸送10.0%

捨てられた食べ物をごみとして処分すると、地球温暖化の要因となる温室効果ガスが排出されます。その排出量は意外にも、飛行機によるものよりずっと多いのです。気候変動は、農業の不作や漁業の不漁につながり、悪循環を生みだします。

理由
2

多大な
経済損失を
もたらす

市町村におけるごみ処理経費 2兆910億円 食品の処理に使われる費用 8,000億円

日本の生ごみの処理に要するコストは年間8,000億円とも推測されています。一方、世界の食品ロスの経済損失は2.6兆ドル(約280兆円)とも言われます。このおカネを福祉や教育に投入できたら......と思いませんか。

理由
3

食料の供給に
偏りが生じている

日本では子どもの7人に1人が貧困状態にあり、先進国のなかでも高い水準です。世界では、人口増加とともに食料危機が現実的な課題として懸念されています。そんななか、このまま食料の大量廃棄を続けることは、道義的・倫理的にも許されることではありません。

世界が抱える
「食品廃棄物」問題

食品廃棄物発生量の
主要国比較

世界では途上国を中心に8億人以上が飢えに苦しんでいます。その一方で、先進国を中心に大量の食料が廃棄されています。まだ食べられるのに捨てられている食品ロスを含めた「食品廃棄物」全体の発生量は、世界で年間約13億トン。世界の食料生産量の、実に3分の1が廃棄されている計算になります。
国ごとにみた食品廃棄物の発生量は、人口一人当たりに換算すると、どの国も決して少なくないことがわかります。世界は同様に"責任"を負っているのです。

わたしたちにできることを
確認しましょう

日本の目標は「2030年度までに食品ロス半減」

食品ロス量

食品ロス削減関係参考資料
2030年度の目標 489万トン

SDGsの12番目の目標「つくる責任つかう責任」を踏まえて、国は「食品ロス」を2030年度までに、2000年度の980万トンと比べて半減することを目標にしています。2019年度は570万トンと前年度から30万トン減少。目標達成には、さらに1割以上の削減が必要です。

食品ロスを減らすための工夫

日本では、国民一人当たり、茶わん1杯分の食べ物を毎日捨てている量の食品ロスが発生しています。逆に言えば、ひとりひとりが日々ちょっとした意識を持つだけで、大きく改善するのです。

工夫
1

「賞味期限」と
「消費期限」の
違い
を理解する

食べ物を無駄にしないために家庭でできることはたくさんあります。たとえば、「賞味期限」 (おいしく食べることができる期限)と「消費期限」 (過ぎたら食べないほうがいい期限)の違いを確認すること。賞味期限を過ぎたからといって、すぐに食べられなくなるわけではありません。

工夫
2

買い物の工夫

  • 必要なぶんの
    買い物リストを作る

  • 店の商品棚の
    手前から取るようにする

買い物の前に冷蔵庫などの食べ物の在庫を確認して、必要なぶんだけ買えば無駄が減ります。安いからといって、使うアテのない「まとめ買い」も避けましょう。また、すぐに使う食材は、賞味期限が迫った商品を積極的に取るようにしましょう。

工夫
3

冷蔵庫を
整理する

  • 食材や調味料は
    定位置を決めておく

  • 冷蔵庫の収納は
    7割程度に

  • 作りおきの保存には
    中身の見える容器を

冷蔵庫に食材をため込んでおくのは安心感がありますが、食品ロスと電気代の両面から、冷蔵庫の中はスッキリさせましょう。食材の定位置を決めるなどして冷蔵庫を"見える化"すれば、奥から期限が切れた食材が出てきたり、同じ物をいくつも買ってしまうことが減ります。冷蔵庫は出したぶんだけ入れる、が基本です。

工夫
4

保存の工夫

  • 市販の野菜
    保存袋を使う

  • カット野菜や冷凍
    野菜を上手に使う

  • マリネや
    発酵食品にする

野菜は市販の野菜保存袋を使ったり、少量で良ければカット野菜や冷凍野菜を使ったりすることで、食品ロスは減らせます。マリネや発酵食品にするなど調理して長持ちさせる工夫も。肉や魚もラップなどでくるみ直して冷凍保存すれば、鮮度を保ちやすくなります。

工夫
5

ほかにもある
工夫

  • 福祉施設へ寄付

  • 食品ロスを
    計測してみる

フードバンクやこども食堂、おてらおやつクラブなどの福祉施設に余った食べ物を寄付することも、ひとつの手です。これらを取りまとめる「フードドライブ」の取り組みも浸透しつつあります。また、無駄にしてしまった食べ物を記録して"我が家の食品ロス"を見える化することも、「もったいない」の意識付けにつながります。

ローリングストック法って
なんだ?

使わないまま期限切れになり廃棄されがちな、災害時のための食料のストックを「食品ロス」にしないための備蓄方法が「ローリングストック法」です。
ふだんの食卓でも使うレトルト食品やフリーズドライ、缶詰などを災害時の備蓄用に買い置きしておき、期限が切れる前にふだんの食事で出して、食べた分をまた買い足して補充するだけ。この備える→食べる→買い足すことを繰り返す方法なら、「非常食」を期限切れにして廃棄することなく、食品ロスを防ぐことができます。

ひとりひとりの工夫で
食品ロスは減らせます

家庭でできることからはじめて、
家計にも環境にも優しい
生活を送りましょう

みんなの意見

家庭で食品ロスを
出さない工夫をしている?

(2022年1月21日12:00時点)

67.5%が家庭で食品ロスを出さない工夫をしており、26.7%がしていないという結果になりました。残りの5.8%はその他・分からないと解答しています

その他の「みんなの意見」

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