SDGsで重要なキーワードは「持続可能性」。どのような状態が「持続可能」なのか、そのための具体的な目標、またSDGsが生まれた背景について確認していきましょう。
17の目標と169のターゲット
持続可能な世界を実現するために、2030年のあるべき姿である17の目標(ゴール)が定められています。また各目標を達成するために具体的な169のターゲット(達成指標)も設定されています。たとえば、「1.貧困をなくそう」の目標に対するターゲットは「現在1日1.25ドル未満で生活する人々と定義されている極度の貧困をあらゆる場所で終わらせる。」や「各国定義によるあらゆる次元の貧困状態にある、すべての年齢の男性、女性、子どもの割合を半減させる。」などといった内容が定められています。
「現代に生きる世代の幸せ」も確保しつつ、
「未来の世代が安心して暮らせる世界」を作っていくことがSDGsの目指す状態です。
「SDGs」が生まれた背景
1990年代後半
- CSR
- 企業の社会的責任
企業は基盤となる社会があるからこそ存在でき、社会を持続・発展させる責任がある、という考え方。
課題コストの増加・人員不足
2001年〜
- MDGs
- ミレニアム開発目標
開発途上国における貧困問題の解決に向けて国連総会で採択。
2006年〜
- ESG投資
- 環境・社会・ガバナンス
環境や社会、ガバナンスに対して積極的な取り組む企業に投資すること。企業のCSR活動を財政面で支援。
課題短期的なリターンは小さくなりがち
2011年〜
- CSV
- 共通価値の創造
社会の課題解決に取り組むことで社会的価値を創造し、同時に経済的価値を創造。社会貢献とビジネスを融合。
2016年〜
- SDGs
- 持続可能な開発目標
2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標。
SDGsの前身は途上国の課題解決を目標にしたMDGs。そこに先進国も加えた全世界の目標へと発展させました。
またCSR・CSVなど、企業の社会貢献への考え方の潮流を受けて、国だけでなく企業も取り組む目標として誕生しました。
先進国と途上国の格差の構図
石油や天然ガスなどの資源、カカオや豚肉などの食物、ダイヤモンドやレアメタルなどの鉱物は途上国で生産、先進国に輸出されます。途上国の自然環境に負荷を与えるだけでなく、現地の(危険・過酷な状況下での)労働によって生産されたにもかかわらず、そこに価値は残りません。MDGsでは途上国の貧困解決を目指しましたが、先進国も当事者として動かないと世界は良くならない、という考えもSDGsが生まれた背景のひとつなのです。
SDGsの土台
「プラネタリー・バウンダリー(地球の限界)」
SDGsの基礎となった概念。人々の生活は物質的には豊かで便利になりましたが、その基盤となる地球環境は限界に達しつつあります。
特に「気候変動」「生物圏の一体性」「土地利用変化」「生物地球化学的循環」については、
人間が安全に活動できる境界を越えるレベルに達していると指摘されています。
では実際、世界と日本の状況は
どうなっているのでしょうか?
SDGsは世界各国が達成するために行動する必要があります。達成度ランキングから世界の状況を把握し、日本が取り組むべき課題について確認してみましょう。
SDGs達成度
ランキング2021
欧州、特に北欧の国が上位を占めています。日本は165カ国中18位。また世界に大きな影響力を持つアメリカは32位、中国は57位となっています。
欧州諸国が主導している要因
地球温暖化対策の国際的なルールを取り決めた「パリ協定」。制定当時の国連気候変動会議(COP21)の議長はローラン・ファビウス元仏外相であり、その名のとおり「パリ協定」誕生の背景には、フランスの大きな尽力がありました。
またEU加盟国に対する独自の法体系「EU法」では、サステナビリティ報告など非財務情報の開示を大企業に求めており、企業が積極的にSDGsの取り組みを推進する要因となっています。
その素地として、産業革命での経験などを踏まえて、SDGsが採択される前から、環境や社会、経済の課題解決について、欧州が先導的に取り組んできており、SDGsにおいても同様に主導的立場を担っているのではないかと考えられます。
※パリ協定とは・・・地球の平均気温の上昇を2℃より十分下方に抑えるとともに、1.5℃に抑える努力を追求することなどを目的としており、SDGsの目標13「気候変動に具体的な対策を」とも連動しています。
停滞する
SDGsの進捗
2020年、SDGs指標の世界平均スコアが初めて低下しました。主な要因は新型コロナ感染症による貧困率と失業率の増加。今、世界が一丸となって取り組むべき最重要課題はこのパンデミックを抑制することであり、それなくして、持続可能な開発や経済の回復は望めません。
SDGs達成には、国家と企業、私たち個人がそれぞれの領域で取り組んでいくことが重要です。アクションとその影響、また具体的にどんな取り組みがあるか見ていきましょう。
ひとつのアクションで、
複数の目標達成に貢献
- ターゲット12.3
- 小売・消費レベルにおける世界全体の一人当たりの食品の廃棄を半減させ、収穫後損失等の生産・サプライチェーンにおける食品ロスを減少させる
- 13.2
- 気候変動対策
- 8.2
- 高いレベルの
経済生産性
- 8.4
- 資源効率を
漸進的に改善
- 12.2
- 天然資源の持続可能な管理及び効率的な利用
- 12.5
- 廃棄物の発生を大幅に削減
- 4.7
- 知識及び技能の習得
- 9.4
- インフラ改良や産業改善により、持続可能性を向上
- 17.14
- 政策の一貫性を強調
- 17.16
- グローバル・パートナーシップ
- 17.17
- パートナーシップを奨励・推進
- 2.1
- 飢餓の撲滅
- 2.2
- 栄養不良の解消
- 2.4
- 持続可能な食糧生産 システムの確保
出典:環境省
SDGsの17の目標はすべてつながっています。例えば食品ロス対策を例にとってみると、廃棄を減らした分、気候変動に影響するCO2排出量の削減につながり、またフードバンクなどを通じて飢餓の撲滅に貢献します。
自治体の取り組み
子ども食堂への支援
公園の整備
企業の取り組み
環境や人に優しい
商品の開発
男女ともに
働きやすい環境づくり
今、私たち個人でできること
節電をする・
クリーンエネルギーを導入する
地元の食材や
フェアトレード商品を買う
それって、
ほんとにSDGs?
SDGs達成に向けた活動をしているふりをして何もしていない、もしくは別の側面では環境や人権を脅かしている状況のことを「SDGsウォッシュ」と言います。たとえば企業の場合、リサイクル商品を作るため、従業員を低賃金で劣悪な環境で働かせる、また個人の場合は節電してもガソリン車で長距離ドライブすると意味がありません。
持続可能な社会を
達成するには?
みんなの意見
SDGsの17の目標、
最も課題が大きいと感じるのはどれ?
(2021年9月13日17:00時点)