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豊かな未来のきっかけを届ける

豊かな未来のきっかけを届ける

「自販機横のボックスは、ごみ箱じゃない」ペットボトルの100%有効利用を目指して

BLUE SHIP

ペットボトルを並べる様子
河野敦夫さん

河野敦夫

一般社団法人全国清涼飲料連合会専務理事

1960年東京都生まれ。幼少から運動神経と走力には恵まれ(?)大学までサッカー部でボール蹴りとヘディングにいそしむ。合宿所で新発売のカロリーメイトの勉強会を受けたのが縁で、大塚製薬へ入社。30歳過ぎからフルマラソン18回出走。
人事部人材開発担当、カロリーメイトプロダクトマネージャー、開発部長、ポカリスエットプロダクトマネージャー、仙台支店長、販売促進部長など歴任。2019年5月全国清涼飲料連合会出向。

全国清涼飲料連合会ホームページ:http://j-sda.or.jp/

河野さんは何をされていますか?

全国清涼飲料連合会(略称・全清飲)の専務理事です。2019年5月29日の総会で就任しました。全清飲は会員の出向者とスタッフで運営しており、私は大塚製薬から出向、現場の統括責任者です。

河野敦夫さん

全清飲のことを教えてください

炭酸飲料やミネラルウォーター・コーヒー飲料・緑茶飲料など容器に入った「清涼飲料水」の業界団体です。2019年5月29日現在、清涼飲料水の製造・販売の会員は67会員、247社、賛助会員(関係業社)147社。業界の発展のために関わる共有課題を解決すべく取り組んでいます。

前身母体の全国清涼飲料水同業組合の時代から数えると百年以上の歴史があり、日本の清涼飲料水のスタートはラムネですが、商品、容器、販売形態など、時代のニーズに合わせて進化し現在に至ります。

実際にビジネスを行っているのは会員社です。全清飲は会員社の集合体。企画部、技術部、自販機部、広報部、中小企業部などで組織し、課題ごとに会員社のメンバーで組織する委員会などで議論し、方向性を決め取り組んでいます。

行政と手を組んでいるのですか?

国の制度や仕組みが変更される場合は、全清飲が窓口となり、国や省庁、関係団体と折衝や交渉を進めます。また、国際的な制度についても同様の取り組みを行っています。

協議の結果を具現化して実行するのは会員社ですので、我々は清涼飲料業界がスムーズに業務に専念できるように推進役を担うということです。

業界の枠を超えて取り組む課題には別団体を組織しています。例えばPETボトルに関してはPETボトルリサイクル推進協議会があり、ここはPETボトルを作る団体と、私たちと同じくPETボトルを使用する醤油や酒などの団体と組織。容器包装リサイクル法などに基づきリサイクルを推進しています。容器の散乱防止については食品容器環境美化協会があります。

海岸清掃の様子

業界の指標を出していますね

はい。業界の規模の指標として会員社、協力会社から生産・販売データを集計し「清涼飲料水関係統計資料」を公表しています。2018年度の飲料水の総生産量は22,746千kl、4年連続で過去最高を更新。実に国民の一人が毎日500mlのPETボトルを1本飲んでいる計算になります。また、生産者販売金額は4兆503億円で初めて4兆円を突破しました。

他にも日本経済団体連合会の「環境自主行動計画」に参画して、温暖化対策編では省エネやCO2削減に向け取り組んでおり、循環型社会形成編では廃棄物削減および再資源化率向上に取り組み、実績を公表しています。

自動販売機の取り組みも行われていますね

日本には約212万台の缶・ペットボトルの自動販売機(以下、自販機)が設置されています。お茶系、炭酸、水と多種類な品揃えに加え「冷たい」「温かい」と両方の機能を兼ね備えた自販機は世界的に見ても日本だけだと思います。

自販機は省エネが進んでいます。冷却で発生した熱を外に放出せず、ホット商品を温めるのに効率良く熱を再利用するヒートポンプ機能や、部分的に冷やすことで消費エネルギーを削減するなど、地道な活動で、2005年から比較すると2018年の統計では63.8%の消費電力を抑えることに成功しています。

他にも社会貢献活動として設置場所の住所を表示したり、災害時に無償で商品を提供したりするなどの取り組みもしていますので、みなさんに自販機の重要性を改めて認識して欲しいと思います。

清涼飲料水の容器は3Rが進んでいますか?

資源循環型社会の環境対応として3R推進自主計画に沿って、リデュース、リユース、リサイクル推進強化を継続的に取り組んでいます。PETボトル、スチール缶、アルミ缶など8素材別に実績を毎年、公表しています。

拾ったペットボトルを並べる様子

PETボトルの2017年度実績は、リデュースで2004年度比23.9%の軽量化を達成しています。一般的には知られていませんがお茶飲料などのPETボトル商品は、殺菌を兼ねて熱い温度で充填する製法では強度が必要でしたが、現在は無菌充填する商品が増えており、そのお陰で薄い容器になりました。製造方法の技術革新が環境への良い結果につながっています。

また、リサイクルについては2017年度84.8%、回収率では92.2%と高い水準にありますが、現在、世界的規模で海洋プラスチック問題への取り組みが進む中、PETボトルを利用する清涼飲料業界を代表して全清飲では2018年11月に清涼飲料業界の「プラスチック資源循環宣言」を発表しました。

清涼飲料業界 プラスチック資源循環宣言を堀口会長(現顧問)より発表しました(2018年11月29日)

プラスチック資源循環宣言とはなんでしょうか?

清涼飲料業界は、2030年度までにPETボトルの100%有効利用を目指しています。有効利用とはリサイクルに熱回収を含めたもので、100%回収を目指しつつ、回収したものの100%有効利用を、お客様、政府、自治体、関連団体等と連携しながら業界が一丸となり進めています。

具体的にはどのようなことでしょうか?

短・中・長期に方向性を定めています。2020年度の短期目標としては、
・啓発活動と広報強化・自販機専用空容器リサイクルボックスにおけるリサイクル啓発、及び効率的な回収への取組み強化
・環境NGO等ステークホルダーとの連携強化
・再生材利用拡大(ボトルtoボトル等)への課題整理及び推進
など。

2025年度の中期、2030年度までの長期でも目標を掲げており、さまざま活動を実行しています。

2019年度上半期は、環境省と日本財団が5月末より展開した「海ごみゼロウィーク」の美化活動に業界全体で積極的に参加(5~6月で約400箇所、7500名)。また東京、名古屋、関西の自販機横に設置している自販機リサイクルボックスに異物投入防止を呼びかける約55万のステッカーを貼付して、回収品質の向上に取り組みました。

グリーンアクション2019の様子
「リサイクル目的に空容器だけを集めています」と描かれたステッカー
東名阪に55万枚のステッカーを貼付しました

さらに消費者・行政・自治体との意見交換などの活動も実施しています。また、2019年6月には世界経済フォーラムが推進するPACE(循環経済加速化プラットフォーム)活動の一環として環境省が発足したCEチャレンジ(Circular Economy Challenge / サーキュラーエコノミーチャレンジ)より、循環経済の構築に向けて野心的な取り組み宣言を行っている団体として、全清飲はアワードが交付されています。

サーキュラーエコノミーチャレンジのアワード交付の様子
宣言などの野心的な取り組みが評価され、CEチャレンジとしてアワード交付されました(2019年6月17日)

会員社さんも目標数字を公表されていますよね

清涼飲料業界としてプラスチック資源循環宣言をし、会員社をはじめ業界全体として、同じ方向性に集中していくことが重要だと思います。会員社、それぞれの考え方にもとづき具体策を公表しているところです。

しかし、私たちだけではできないので、消費者、政府、自治体、関係団体と連携して進めなければなりません。多くの皆様の協力をいただきたく、どうぞ、よろしくお願いいたします。

高い回収率なのに、まだたくさんのPETボトルが川、海に浮いています

はい。改善に動かねばと思っています。

ただ、海中に漂うPETボトルなど海洋ごみは私たち日本人が出した物なのか、世界から流れてきているのか分かりませんし、どのように排出されたものが、どのような経路で海に流れ出すのかなども解明できていません。

取り組むべき課題は多いですが、これまでも業界で切磋琢磨して解決をしてまいりました。これからの未来のためにも英知を結集して取り組んで参ります。

ホームページでは子供向けのページも充実していますね

業界団体だからできる啓発活動を消費者に向けて行っています。特にお子様向けの啓発に注力しています。

一昨年より小・中学校向けのキャリア教育教材の朝日新聞社「おしごと年鑑」を活用し、清涼飲料の自販機の構造や、昨年は「自販機専用空容器リサイクルボックス」について啓発していますし、さらに自販機のアイデア募集のコンテストを実施。活用方法について「こんな自販機があったらもっと便利」「こんな自販機が身近に欲しい」など新しい意見もたくさん頂戴いたしました。

ゴミ拾いをする河野さん

我々に出来ることは?(あなたの力が必要な理由)

全清飲では以前から、街中での散乱防止と容器分別回収を目的として、自販機横に「自販機専用空容器リサイクルボックス」を設置してきました。

しかし専用ボックス内では異物が入れられ、街中のごみ箱と化しています。2018年12月に都内でリサイクルボックスを分析した結果、約3割で違うものが入れられていました。

異物が混入していると、入りきらない容器がどんどん周りに捨てられます、もし風が吹けば飛んで、散乱を招きます。それを防止する意味でも分別をお願いしたいです。

リサイクルボックスのボスター
  • ゴミ拾い・環境ポータルサイトBLUE SHIP (海と日本プロジェクト)参照
    【BLUE SHIP主催】日本財団・NPO法人海さくら
    https://blueshipjapan.com/

\ さっそくアクションしよう /

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