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豊かな未来のきっかけを届ける

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子どもたちの自由な想像力でSDGs達成へ 子どもたちと一緒にSDGsを考える、若林理紗さん〈ピースコミュニケーションな人々〉

TOKYO HEADLINE

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2015年9月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向け、世界中で多くの企業や団体、そして個人がさまざまな取り組みを見せている。そのなかでも次世代の子供たちためにSDGsのテーマの達成にむけて活動するのが「SDGsピースコミュニケーションproject」。「SDGsピースコミュニケーションproject」のメンバーであり、オウルズコンサルティンググループで、コンサルタント/ソーシャルPRスペシャリストとして活躍する若林理紗氏。前職のデロイトデジタルでは、SDGs(持続可能な開発目標)やサステナブルに関わる産官学のプロジェクトなどを担当しており、そのひとつに小学生向けのSDGsカリキュラムの作成がある。局アナ、そしてフリーのアナウンサーとして活躍した若林氏が現職に転身したのは、子どもの頃の外国生活の経験がきっかけになっているという。原点ともいえる「情報を正しく得ることの大切さに気づいた」という経験とは?そして今後の展開は?若林氏に聞く。

海外生活で生まれた「どうにかしたい!」という気持ち

── アナウンサーとして活躍し、コンサルティング会社に転じて、サステナブルやSDGsに関わるようになられました。その経緯について教えてください。

アナウンサーを目指したのは、たくさんの人や社会に知れわたっていないこと、どちらかというと社会的弱者といわれる方、社会に必要なことをしているのに伝わっていない方の想いや活動を取材して伝え、その方たちが少しでも生きやすい、活躍する社会にしたいと思っていたからです。

── その原点はどこにあるのでしょうか?

小学校4年生からアルゼンチンとブラジルに住んでいて、どちらの国も街中に多くのストリートチルドレンがいました。私は駐在員の娘で、親がいて、日本車に乗ったり旅行に行けたりする暮らしをしていましたが、その子たちは周りの大人のために働いていました。

その子たちは「お金をちょうだい」と声をかけてきます。言われた通りに渡していいものか分からず学校の先生に聞いたところ、「麻薬を売買している人たちが子どもたちにお金を集めさせていることがあるから、子どもたちのことを思うなら、お金ではなくお菓子を渡しなさい」と教えてくれました。

その時に、ふたつのことに気付きました。ひとつは、子どもたちのためにと思ってお金を渡していたら、それは違う用途になっていたこと。本当に子どもたちのことを思うなら、何をすべきかの情報を集めて、考える必要があるということです。

もうひとつは、その子たちと私の違いは、生まれた国や境遇の違いでしかないということです。子どもながらにショックを受けて、大人になったら子どもたちのためになる仕事をしたいと思い、今に至ります。

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子どもたちとSDGsを一緒に考える

── さまざまなプロジェクトに携わられて、そのなかのひとつに小学生向けのSDGs学習カリキュラムがありますね。

SDGsやサステナブルという声が大きくなる中で、小学校の先生が困っていると聞きました。どうやって教えていいのか分からない、先生が勉強する場もなく追いつかないと。何かお手伝いできることがあるのではないかと教材開発をすることになりました。

未来の子どもたちのために幅広い業界で活躍している有識者や企業・団体が連携し、SDGsのテーマに基づいて、平和な社会づくりにチャレンジするアクションプロジェクト&オピニオン参加型プロジェクト「SDGsピースコミュニケーションproject」の一環として、早稲田大学、デロイト デジタル、内閣府認定事業の「BEYOND2020 NEXT FORUM」が協力して作成しています。

カリキュラムでは、子どもたちに基礎的な情報を伝え、グループワークを通して子どもたちが自分たちの想像力を総動員して自由に考えます。

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世界の子どもたちと考える「こども未来国連会議」

── 今年3月には、「第2回こども未来国連会議」が都内で開催されました。国内外からバックグラウンドの異なる子どもたちが集まってSDGsについて考えるもので、今回のテーマは、SDGsの5番「ジェンダー平等を実現しよう」だったと伺いました。若林さんも参加されたと伺いました。

子どもたちに「ジェンダー」という言葉を使っても分からないので、まずは、「消防士は男の子の仕事、社長も男の子かな?」など、無意識に性別を限定してしまっている職業を書き出してもらいました。そこから、「女の子の消防士や社長がいてもおかしくないよね」ということや、なぜ特定の仕事は男性が就くほうがよいと考えられているのか、それは一般的な体力の違いなどを考慮してのことなのかなどを話しながら紐解いていきました。東京・有明のミニチュアテーマパーク「SMALL WORLDS TOKYO」が会場だったのですが、そのミニチュアの世界のなかにあるさまざまなジェンダーギャップを見つけるアクティビティもし、子どもたちが楽しみながら大人が気付いていないバイアス(偏見)を見つけていたことが印象的でした。

── 「ジェンダー」は、17ある目標のなかでも、子どもたちにとって、もちろん大人たちにとっても、答えを導き出すのは難しいテーマにも思えます。

小学生でジェンダーについて考えることは、特に性別で自分を制限してしまっている子どもにとってはとても重要だと思います。消防士になりたい女の子への反応が「それは男の子がやることだよ!」と最初から否定するのではなく、受けとめて一緒に考える機会になればいいのです。自分に制限をかけないことで想像力が豊かになりますし、それによって自己実現力も高まる。そういうところにつながっていくのかなと思います。

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SDGsマインドで育った子どもたちが、そのまま社会に出られるように

── 子どもたちと一緒にSDGsを考えることはもちろん大事ですが、実際には、子どもたちを通じて、子どもたちよりもSDGsを分かっていない保護者の世代にもSDGsの輪を広げていくことも期待されますね。

今SDGsを学んでいる子どもたちが社会に出る10年後までに、大人たちが今の状況を改善し、子どもたちが日本社会に失望しないようにしなければいけないと思っています。例えば、こども未来国連会議のテーマだったジェンダーの問題であれば、医学部の受験で合否判定に男女の差があったという問題がありました。そうした状況を見過ごしてはいけません。

── 近年、SDGsの達成、それに向けて少しずつ状況を改善し、継続していくためには、ウェルビーイング(well-being)が大事だと改めて注目されています。

SDGsの目標を達成するためには、何かを我慢しなくてはいけないトレードオフが生まれてしまうと考える人がいますが、SDGsには継続が必要ですから、個人がハッピーであること、ウェルビーイングがあってこそなんです。個人の幸せは周りとのつながりがあってこそなので、社会や地球との関りを考え、例えば、暖房の設定温度を下げる代わりに自分はどれほど無理なく着込むことができるのだろう?と考えます。それは2枚なのか3枚なのか、人それぞれの範囲があると思いますが、自分の心身が満たされる状況を理解して、ひとりひとりのウェルビーイングを高めていってこそ、SDGsが達成されるのだと思っています。

若林理紗

株式会社オウルズコンサルティンググループ コンサルタント/ソーシャルPRスペシャリスト。Deloitte Digital Collaborator。さんいん中央テレビで地方創生などの取材を手がけたのち、2014年セント・フォースに所属。NHKや日本テレビの報道番組のキャスターとして国際情勢から教育問題、サステナブルビジネスなどを取材しながら、情報リテラシーの普及活動にも従事。コンサルタントとしては、SDGsを軸とした官公庁の政策推進事業や産学連携プロジェクトに加え、NPO/NGO向けコンサルティング、人権デュー・ディリジェンスなどを担当。労働・人権分野の国際規格「SA8000」基礎監査人コース修了。

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