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省エネ・節電イノベーション: サステナブルな未来を描く欧州のアクション【後編】

ニューロマジック

今回は前半と後半に分けて、「省エネ」「節電」「再生可能エネルギー」をテーマに、サステナブルな社会の実現のためにヨーロッパ各国が取ったさまざまなアプローチや魅力的なケーススタディを紹介します。前半ではオランダ、フィンランドの都市の事例、後半ではサステナブルなヨーロッパをつくる大きな流れに独自の視点を加えているスウェーデン、デンマーク、スペインの取り組みを紹介します。

1. スウェーデンの″ゴミ″発電と再生可能エネルギー

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2022年、環境先進国として知られるスウェーデンは化石燃料による発電(石炭、ガス、石油)0%の快挙(※1)を成し遂げました。電力消費量に占める自然エネルギーの割合は86%で、内訳は風力発電23%、水力発電52%、バイオ発電が9%を占めています。2040年までに再生可能エネルギーの割合を100%にすると公表しており、廃棄物発電と再生可能エネルギーの推進に国全体で取り組んでいます。

廃棄物発電とは?

家庭や事業所からでるリサイクルができないゴミ(廃棄物)を燃料とした発電方法です。処理場でごみを燃焼する際に発生するエネルギーを発電に使用し、回収された熱エネルギーは家庭や公共ビルなどの地域暖房システムに活用されています。
スウェーデンでは家庭ごみのうち、埋め立てられるのはわずか1%以下、残り99%の半分がリサイクル、半分が廃棄物発電に活用されています。このように「ゴミ」=廃棄物を貴重なエネルギー資源へと転換するという成功を収め、廃棄物に対するサステナブルなアプローチを実証しています。

主な取り組み

廃棄物発電施設の積極的な開発:
リサイクルができない廃棄物を焼却し、熱と電気を生み出す先進的な廃棄物発電施設を開発しています。これらの施設は、効果的な廃棄物管理を実現すると同時に、埋立地も不要なため、環境への悪影響も削減しています。

コージェネレーション:
スウェーデンの多くの廃棄物発電施設では、廃棄物焼却時に発生する余剰熱を地域暖房に利用するコージェネレーション技術が採用されています。コージェネレーションはエネルギー効率を最大化し、廃棄物を最小限に抑える点が評価されています。

その他の「ゴミ」活用法:
生ごみや汚泥からバイオガスを発生させ、バスやフェリーなど公共の乗り物の燃料や一般家庭むけのガスに活用しています。

インパクト
スウェーデンの廃棄物発電の成功は、廃棄物を持続可能な形で管理すると同時に、国のエネルギー供給にも大きく貢献しています。革新的なこの手法を取り入れることで、スウェーデンは廃棄物を再生可能エネルギー源に変え、化石燃料への依存を減らす先進的なモデルとなりました。

2. デンマークの風力発電革命

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デンマークは世界で最も風力発電の割合が大きい国で、風力発電導入の世界的リーダーとして知られています。2020年には風力を中心としたVRE(変動性自然エネルギー)の割合が50%を超え、VREの割合が比較的高いヨーロッパ各国の中でも最も高いレベルとなっています。

主な取り組み

洋上ウインドファーム:
デンマークは、その広大な海岸線と恵まれた風を活かし、洋上ウィンドファームに多額の投資を行っています。これらのウインドファームは、海からのクリーンエネルギーを利用し、国の電力網に大きく貢献しています。

陸上風力エネルギー:
洋上風力発電のほか、陸上風力発電プロジェクトも積極的に開発しています。

研究開発:
デンマークは、風力エネルギー分野における研究と技術革新の文化を強く育んできました。研究への投資は、より効率的で費用対効果の高い風力タービンの開発につながり、風力発電におけるデンマークの成功を後押ししています。

インパクト
デンマークの風力発電革命は、二酸化炭素排出量の大幅な削減、エネルギー自給率の向上、再生可能エネルギー分野での雇用創出につながっています。同国の風力発電への取り組みは、より環境に優しいエネルギーの未来への移行を目指す他の国々にとって、刺激的・先進的なモデルとなっています。

3. スペインの集光型太陽光発電

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スペインの電力消費量に占める自然エネルギーの割合は46%と高く、その中でも太陽光は12%を占めています。(※1)太陽エネルギーへのコミットメントは、集光型太陽熱発電(CSP)プラントへの多額の投資に表れています。CSP技術は、鏡やレンズを使って太陽光を小面積に集中させ、高温を発生させて蒸気タービンを駆動して発電する技術です。サンベルトのような乾燥した直達日射 量が高い地域への設置が特に有効とされています。

主な取り組み

CSPプラント:
スペインは、2007年から稼働したセビリアのタワー式太陽熱発電所PS10プラントやPS20プラントのような大規模なCSPプラントを開発しています。これらのプラントは熱エネルギーを貯蔵することができるため、太陽が照っていないときでも継続的に電力を生産することができます。

太陽熱貯蔵:
蓄熱能力を持つCSPプラントは、晴天時に余剰熱を蓄えることができるため、曇天時や夜間でも発電することができます。これにより、CSPは効率的で信頼性の高い再生可能エネルギー源と期待されています。

インパクト

再生可能エネルギーの多様化: スペインのCSPへの投資は、再生可能エネルギーを多様化させ、風力発電や太陽光発電(PV)技術への依存を減らしています。

エネルギー安全保障:
CSPの熱エネルギーを貯蔵する能力は、エネルギー安全保障と送電網の安定性を高めています。

温室効果ガスの削減:
スペインの集光型太陽光発電への取り組みは、二酸化炭素排出量の削減とクリーンなエネルギーミックスにつながり、スペインの気候変動目標に貢献しています。

省エネ・節電・サステナブルなヒント

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目標を掲げ、達成へむけて一歩先を行くヨーロッパ諸国の今回のヒントをまとめました。

1. 再生可能エネルギーを取り入れる:
太陽光、風力、水力、地熱エネルギーに投資することで、二酸化炭素排出量を大幅に削減し、化石燃料への依存を減らすことができます。多くのヨーロッパ諸国は、個人や企業が再生可能エネルギーに投資することを奨励するために、補助金や奨励金を提供しています。

2. スマートグリッドとエネルギー管理システム:
スマートグリッドを導入することで、配電のリアルタイム監視と最適化が可能になり、より効率的な使用と無駄の削減につながります。イタリアの革新的なEnel Gridプロジェクトのケーススタディでは、スマートグリッドがいかに大幅なエネルギー節約をもたらしたかを紹介しています。

3. 公共交通機関とサイクリング・インフラ:
強固な公共交通網とサイクリング・インフラに投資することで、自家用車への依存を減らし、燃料消費量と二酸化炭素排出量の削減につなげることができます。オランダのアムステルダムでは、広範囲のサイクリングコースと効率的な公共交通システムでこれを実証しています。

おわりに

このように、ヨーロッパ諸国はサステナブルな社会の実現にむけ目覚ましいリーダーシップを発揮しています。

エネルギー消費と温室効果ガス排出を削減し、省エネをさらに推進しつつ経済成長もプラスにするために、私たちは何ができるでしょうか、、?

欧州を始めとする世界の成功事例や取り組みを知り、協力的な努力と革新的な解決策を通じて気候変動に対処していくことで、低炭素でエネルギー効率の高いサステナブルな未来の実現に近づくことができると信じています。

ニューロマジック

ニューロマジック(Neuromagic)SXグループ

サステナビリティの転換期にある今、ニューロマジックのSX(サステナビリティ・トランスフォメーション)グループは、サービスデザインとリサーチの専門知識を活かしてSXへの第一歩を支援いたします。私たちは、持続的かつサステナブルな影響力を生み出すために、リサーチ、目標設定、パートナーシップの促進、戦略の共創を行います。

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