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ロゴの一部を灰色に?フランス・バーガーキングのいじめ問題啓発キャンペーン

    

IDEAS FOR GOOD

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フランスでは、10人に1人が学校教育期間にいじめの被害に遭うと報告されており(※1)、政府をはじめ、さまざまな企業や団体が、いじめ撲滅に向けて動いている。

ファストフードチェーンのバーガーキング・フランスは、2023年11月9日のフランスの「いじめ予防デー」に合わせて、特別なキャンペーンを実施した。「BURGER KING」のロゴの最後の文字「G」を灰色に変え、店内のテーブル、セルフレジ、商品の包み紙の10個に1個を灰色にしたのだ。灰色のアイテムは、見過ごされがちな10人に1人のいじめ被害者の子どもを象徴している。

キャンペーンの目的は、人々のいじめ問題に対する意識を高め、子どもたちにとってより安全な環境を作り出すための責任と行動を啓発することだ。また、この日のキングジュニアメニューの収益は、すべて、子どものいじめ撲滅を目指す慈善団体「Les Papillons(レ・パピロン)」に寄付するという。

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バーガーキングは、これまでも「Les Papillons」と協力し、いじめ問題に取り組んできた。「Les Papillons」は、フランス全土に300人のボランティアを擁し、いじめに悩む子供たちを支援する慈善団体だ。活動のひとつには、学校やスポーツクラブなどに レターボックスを設置し、子どもたちが学校でのいじめのほか、家族内での身体的暴力や、心理的暴力について声をあげられるようにする取り組みがある。「Les Papillons」は、この活動を通し、これまでに3万人近くの子どもたちを支援してきたという。

フランスでは、学校内のいじめを刑事犯罪とみなし、国の解決すべき優先課題と位置付けている。2022年2月には、いじめ加害者に対して禁錮最大10年と15万ユーロ(約2,370万円)の罰金を科す法案が可決した。被害者は、青少年時代に受けたいじめに対し38歳まで提訴でき、被害者の親は、加害者の親に損害賠償金を請求できる。2023年9月には、いじめ加害者の生徒を別の学校へ転校させられる教育法が改正された。

法規制の他にも、教育現場へのいじめ対策の導入が進む。2022年からは「ハラスメントおよびサイバーハラスメント防止プログラム(pHARe)」を導入し、生徒を保護する専門家とスタッフのコミュニティーを形成、いじめの状況に効果的に介入しつつ対策実施の進捗状況を監視する。

また、デンマークの共感教育プログラムを導入し、生徒たちが寛容さや思いやり、相手を尊重すること、勇気を持つことといった基本的な価値観を学び、いじめを予防する取り組みもはじまった。

いじめ被害者のSOSを受け止める「ホットライン3018」の周知にも力を注ぐ。毎日9時~23時の間いつでもアクセスでき、通話料は無料。デジタル世代向けに、電話だけでなくメールやチャット、メッセージでもコンタクトが取れる体制が整えられている。

フランスのいじめ厳罰化の背景には、教育現場をはじめSNSの発達でネットいじめが拡散し、いじめを原因とした生徒の自殺が増加、その深刻さが認識されるようになったことがある。多民族国家のフランスでは、いじめが人種や宗教的相違からくることもあり、原因の根が深いとも考えられる。

マクロン大統領は「いじめ予防デー」に、SNSのメッセージで力強い支援を表明した。

「いじめの被害に遭っている全ての若者へ。われわれは君たちの味方だと知ってほしい」

このようにフランスでは、10人に1人といわれるいじめ被害者の生徒に寄り添う施策が進む。日本ではこの数は20人に1人だという(※2)。企業や大統領が発したメッセージが、いじめに悩む子供たちに届き、ひとりではないと感じてくれることを願ってやまない。

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元記事は こちら

【参照サイト】 Les Papillons
【参照サイト】 pHARe プログラム
【参照サイト】 Burger King Turns 1/10 Of Its Restaurants Grayscale To Stand Up For Bullied Kids
【関連記事】 人もバーガーもいじめるな。バーガーキングの「いじめ撲滅」動画
【関連記事】 いじめやDV、セクハラまで。当事者の"苦しみ"を追体験して学ぶVR「Spotted」

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田子まさえ

パリ在住フリーランスリサーチャー。東京、ニューヨーク、北京、ロンドンで、就労経験あり。イギリス企業のカーボンニュートラルに関する調査に携わったことから、エネルギー転換や持続可能な社会構造に関心を持つ。海外の面白いスタートアップ企業の動向も追っている。

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