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豊かな未来のきっかけを届ける

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「SHIINA organic」に懸ける、環境活動家・露木しいなさんの想いとは

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環境活動家として環境問題を発信するだけでなく、自らの手でオーガニックコスメを開発する露木しいなさん。自社ブランド「SHIINA organic」で開発している口紅の原料は100%自然由来で、すべての生産過程において、地球、人、動物に配慮し、発色の美しさとつけ心地のよさで幅広い世代に人気を集めています。
他にも全国の学校での講演会など精力的に活動してきた露木しいなさんに、コスメ開発を通して気が付いたことやこれからのアクションについて伺いました。

大人になるまで待たなくてもいい。環境問題について学ぶなら、自分の目で見てアクションを

── 露木さんは環境活動家として活動されていますが、環境問題に興味を持ったきっかけを教えてください。

高校の3年間を「世界一エコな学校」といわれるインドネシア・バリ島の「Green School Bali」で過ごし、そこでの経験が大きく影響しています。日本と違ったのは、学校に教科書も試験もなかったこと。環境問題についての知識を学ぶだけでなく、実際に自分たちで「行動を起こす」アクションが求められたことでした。

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校舎のほとんどが、竹と藁からできているグリーンスクール。 撮影:甲斐昌浩

例えば海洋プラスチックごみについて勉強する授業では、データだけを丸暗記するのではなく、まず「海洋プラスチックごみってどういう場所にあるのかな」と、たくさんのごみが海に浮かんでいる様子を実際にビーチに見に行きます。そして、その問題を解決するためにどうすればいいのかを考え、行動するまでが授業なんです。次第に、授業中だけでなく日常生活においても環境問題を意識し、「解決するためには何ができるだろう」と考えるようになりました。

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海のクリーンアップも授業の一巻としておこなわれ、そこから学んでいく。

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── 「Green School Bali」で環境問題について学んだ経験が、様々なアクションを起こし続けている露木さんの原点なんですね。

「Green School Bali」で一緒に学んでいた同級生が、当たり前のように社会の問題に対してアクションを起こしていたことにも刺激されました。例えば、島で使い捨てプラスチックバッグを禁止するために「バイバイ・プラスチックバッグ」というキャンペーンを始めたメラティ・ワイゼンと妹のイザベルは当時12歳と10歳。二人の活動の甲斐もあって、バリ島では2019年に使い捨てプラスチック袋、プラスチックストロー、発砲スチロール製品の使用が禁止されたんです。彼女たちの行動を見て「社会を変えるためには、大人になるまで待たなくていいんだ」と気付いたんです。

100%自然由来の地球や人にやさしい口紅をつくるまでの様々な壁

── 現在は「SHIINA organic」を立ち上げ、オーガニックな口紅を開発し販売されていますが、そのきっかけは何ですか?

「Green School Bali」に留学中の1年目、肌が弱い妹のために「100%オーガニックなコスメを自分でつくってみよう」と考えるようになり、まずはコスメの中でも一番体内に入りやすいといわれている「口紅」をつくろうと思いました。色々と調べていくうちに、生産過程が環境問題や社会問題に大きく影響していると知り、「買う」という行為を通じて無意識のうちに地球や人、動物に危害を加えてしまうことを少しでも減らせるよう、環境問題や社会問題の解決に近づけられるような商品をつくろうと考えるようになりました。

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留学中の口紅づくりの様子。

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── オーガニックな口紅を商品化する中で、大変だったことや印象的だったことはありますか?

環境問題や社会問題に配慮した口紅を商品化するには、膨大な時間とコストがかかることがよくわかりました。「SHIINA organic」の口紅は、すべての原材料が自然由来の成分でできており、ヨーロッパの5つのオーガニック認証団体が制定した、国際的なオーガニック製品の基準であるCOSMOS認証(※)を取得しました。

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自ら生産地を訪れ、100%自然由来成分でできた口紅を目指した。
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多くの厳しい条件を満たすために試行錯誤を繰り返し、口紅を開発してから商品化するまでに7年間かかったんです。

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3色展開の口紅。2024年2月からは4色展開へ。

100%オーガニックだとどうしても普通の口紅と比べると原価率が高くなってしまうため、コスメ業界の方に「成功の確率は3%しかない」と言われたこともありました。でもその言葉を聞いて逆に「3%も可能性があるんだ!」と思ったんです。たくさんの人が「できないだろう」 と思っていたことが、結果として形にできてとても嬉しいです。

露木さんが考えるこれからの未来について今できること

── よりよい未来のために、私たちが今できる日々のアクションは何だと思いますか?

私は洋服などを購入する際に「本当に必要なのか」と自分自身に問いかけてみて、それでも「一生使いたい」と思えたら買うことにしています。「SHIINA organic」でも、一人の方に、一度でたくさん購入してほしいとは思っていないので、まとめ買いを勧めず、「まずは一本試してみてください」と言うようにしています。

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使い切れるミニサイズ。詰め替え可能なレフィルタイプで使い終わったあとのことも考え、ごみも最小限にする工夫がされている。

ほかには、家庭で契約する電力会社を、再生可能エネルギーを選べる会社に変えるのも一つです。マイバッグやマイボトルを持ち歩くのもいいですが、忘れないよう毎日意識しないとできませんよね。電力会社は一回の簡単な手続きを経て変えてしまえば、生活しているだけで意識せずに環境問題に配慮した行動ができます。

── 露木さんが目指すのはどんな未来ですか?

「SHIINA organic」では、これから梱包用のプラスチック資材を再利用したり、お客様のために原産国などの情報を明確にして開示することに挑戦したいと考えています。自分たちがアクションを起こし続けることで、ものづくりに関わる人々の間に「環境問題や社会問題に対して取り組むのは当たり前だ」という風潮をつくっていきたいですね。そして消費者であるお客様にも、ものを買う際は「生産背景を知ったうえで買うのが当たり前」と考えてもらえるようになったらいいなと思います。

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露木さんのInstagram(@shiina.co)のある日の投稿には、「Bestではなく、Better」という言葉が。最初から完璧を目指さなくても、私たちが少しずつ歩み続けることで持続可能な世界に近づけると、露木さんは発信しています。環境問題について知り、解決のための小さな一歩を踏み出してみませんか?

元記事はこちら

露木 しいなさん

露木 しいな (ツユキ シイナ)

2001年横浜生まれ、中華街育ち。「世界一エコな学校」といわれるインドネシアの「Green School Bali」で高校3年間を過ごし、卒業。COP24(気候変動枠組条約締約国会議) in Poland、COP25 in Spainに参加。肌が弱かった妹のために「SHIINA organic」を立ち上げる。2019年9月、慶應義塾大学に入学。現在は、環境講演を全国の小中高学校におこなうため、休学中。220校3万人以上にお話を届けた。
HP : https://shiina.co/
Instagram : shiina.co
YouTube : @shiinaco

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