齋藤飛鳥さんに学ぶ『逃げる勇気』

元乃木坂46で、漫画【推しの子】のドラマ化、映画化にあたり、伝説のアイドルのアイ役に抜擢された齋藤飛鳥さん(26)。誰もが羨むキャリアを手に入れた彼女だが、小・中学校時代には不登校も経験。「想像できないかもしれませんが、小学校低学年の頃は活発な普通の子どもだったんです。けれど、徐々に......本当に徐々に、人間関係がうまくいかない、学校生活が送れないなと感じることが増えていって。気づいたらこうなっていました」
齋藤がそんな自分と折り合いをつけ、大切な場所を見つける過程に『合わない場所から逃げる勇気』がある。まさに困難だらけの時代をレジリエンスに生きるためのノウハウだ。
自分のいる環境が合わないなら逃げていい―齋藤飛鳥が学生生活で見つけた「大切な場所」
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引用した記事にもある通り、齋藤は母の勧めでオーディションを受け、乃木坂46という「帰れる場所」を手に入れた。同時に自分を守るために学校から逃げ、『どうあがいても、合わないことはある』『学校という場において、無理して周囲になじもうとすることは、私にとってさほど重要じゃない』と割り切った。
小中学校時代、我々はどうしても住む世界が限定的で、そこで起こることが世の中のすべてであると錯覚してしまう。それは一般の感覚だ。だからこそ人間関係がうまくいかなかったり、いじめにあったりすると、自分自身が世界から否定された気持ちになってしまう。これは大人になってからもある傾向で、勤め先の部署だったり、ママ友の集まりだったり、毎日ルーティーンな環境にいると視野が狭くなってしまう。
齋藤のように『自分の何かが足りてないんだろうな』ではなく、『自分のいる環境が合わないなら逃げよう』と考え新しい場所へ向かっていく行動には、俯瞰的に世の中を見る視点と、合わなかった自分を認めるちょっとした勇気が必要だ。
VUCAの時代と言われて数年経つ。デジタル技術の急速な進化や新型コロナウイルスによるパンデミックなど、近年はこれまで経験したことがないような変化が起き、それが困難となって生活者に襲ってくる。そんな時、目先に存在する全ての変化に全力で対応し時に傷ついてしまうのではなく、その変化をしなやかにかわしながら、自分に合うものを見つけに行くという感覚になるのはどうだろうか。齋藤飛鳥はそれを『逃げる』と表現したが、著者はこの時代をしなやかに生きるための『レジリエンス』であると考える。
著者
株式会社博報堂 レジリエントライフプロジェクトリーダー 吉田啓一

RESILIENT LIFE PROJECT
レジリエントライフプロジェクトは、自然災害のリスクをはじめ、社会に起因するリスク、そして個人に起因するリスクに至るまで、あらゆるリスクが生み出す困難を乗り越えるための「レジリエンス」を高め、より豊かな生活の実現を目指すための、官民が連携した取り組みです。
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