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韓国コスメが広げる肌色の選択肢|ファンデから消える「標準色」

Pikisuperstar via Freepik

スキンケアや化粧品に詳しい方なら、韓国の美容ブランドTirTir(ティルティル)が、同社の商品「レッドクッションファンデーション」のカラーバリエーションを大幅に拡大したことをご存じかもしれません。ファンデーションは、顔のベースメイクとして用いられるメイクアップ製品で、化粧下地としても使用されます。肌の色やトーンに合った色合いで肌を美しく見せ、シミをカバーしながらも透明感のある肌にしてくれる、メイクの必須アイテムです。自然で美しい仕上がりのためには、自分の肌に合った色のファンデーションを見つけることがとても重要です。

明るい色に傾倒してきた美の定義

長い間、大手化粧品ブランドのカラー展開は「明るい肌色」が中心で、濃い肌色やダーク系の肌色はあまり着目されてきませんでした(※1)。実際には人それぞれ、肌トーンと呼ばれる肌の明るさや色調が異なるにもかかわらず、決められた明るめの色の枠に収まらなければならないという感覚を抱くことが多くありました。この状況でも、明るい肌の色の人は自分に合う色を容易に見つけることができましたが、濃い肌の色の人はなかなか自分に合う色を見つけられず、やむを得ず近い色で妥協するか、複数のファンデーションを購入して自分でブレンドする必要がありました。中には、アメリカのBlack Opal(ブラック・オパール)(※2)やIman Cosmetics(イマン・コスメティクス)(※3)など、多様な肌色のバリエーションを揃えたブランドもいくつか存在しました。ところがいずれも販売規模が小さく、地域も限られていたため、残念ながら入手しにくいという課題により普及には至っていなかったのです。

Pikisuperstar via Freepik
ライト系ファンデーションの色が圧倒的に多く、色の偏りを示すグラフ
Nikki Lopez via Instagram

多様な世界に「標準」の定義は要らない

こうした問題は化粧品だけにとどまりません。社会における「標準」の定義を見直し、有色人種を含む多様な要素(※4)を考慮するべきだという声が、近年高まりつつあります。その一例として、さまざまな肌の色に対応した絆創膏や、より幅広い「ヌードカラー」の下着を開発する企業も登場しています。さらに、日焼け止めを扱うブランドでは、濃い肌の色の人々に向けて「白浮きしない日焼け止め」の開発や改良が積極的に進められています。

インクルーシブな化粧品ブランドとして有名なFenty Beauty(フェンティ・ビューティ)は、メイクアップ製品だけでなく、最大40色に及ぶスキンケアラインを展開し、多様な肌の色に対応する新しい基準を確立しました。こうした世界的な流れと韓国美容ブランドの人気を背景に、上述のTirTirをはじめとする大手化粧品ブランドは、多様性と高品質を兼ねそろえたスキンケアの新製品を次々と発売しています。

Pikisuperstar via Freepik
フェンティ・ビューティーのキャンペーンで、自身の製品を手に持つリアーナ
SIGMA,CC BY 3.0,via Wikimedia Commons

インクルーシブな視点拡大で広がるマーケット

自分に合った満足のいく製品を常に探し続けることは、精神的にかなりのストレスとなります。化粧品販売店に実際に足を運んでも、結局は自分に合うものが見つからず、諦めて別の商品を買ってしまう。そして気に入った商品に出会えなかったという残念さと、無駄な買い物への後悔が残る。このようなことを、おそらく多くの人が経験しているのではないでしょうか。さまざまな色の明るさや濃淡、幅広い色味が求められている今、TirTirがファンデーションの色の拡充に踏み切ったことは、ごく自然な流れと言えるでしょう。今後も、より多くのブランドがこの動きに追随し、美容に関わる数々の製品が、すべての人にとってよりインクルーシブなものになることを願っています。

Pikisuperstar via Freepik
  • 執筆 M. Oyejola   翻訳・編集 K. Tanabe

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