「削るのは食費から。」''限界Z世代''の悲鳴。もったいないがお財布と地球を救う?!
「今日の食事、どうしよう...。」物価高の波は、Z世代の食卓にも静かに押し寄せています。生活費の中で真っ先に削られるのが「食費」。節約のために自炊を始めたものの、一人暮らしでは食材を使い切れず、気づけばフードロスに。
でもその「もったいない」という感覚こそが、環境問題と向き合い、自分たちの生活を守るアクションの第一歩になるかもしれません。
今回は、Z世代300人への調査と座談会から見えてきた、節約とフードロスのリアル。そして、もったいないを希望に変えるヒントを探ってみました。
目次
- 食費が"節約の第一候補"に。Z世代の厳しい食卓事情
- 自炊しても食材が余る?Z世代が直面する"節約とフードロス"のジレンマ
- 知っているつもりでも知らなかった?フードロスが地球に与える影響
- 専門家のコメント「"もったいない"が、脱炭素の第一歩に」
- お財布にも地球にも優しい選択。節約とサステナブルは、どちらも叶えられる
- 学園祭でフードロス体験?"限界食堂"で楽しくサステナブル!
⚪︎約6割が「生活費のやりくりが苦しい」と回答
⚪︎節約のターゲットは「食費」。その背景にある選択
⚪︎節約のための自炊。7割が週に1度はキッチンに立つ
⚪︎一人暮らしでは「食材を使い切れない」
⚪︎フードロスの認知は高いが、家庭での問題意識は低め?
⚪︎フードロスとCO2排出の関係、知っていますか?
⚪︎フードロスは「もったいない」だけの問題じゃない
<調査概要>
調査主体 :Earth hacks株式会社、株式会社seamint.
調査方法 :LINEリサーチ プラットフォーム利用による調査
調査対象者 :東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県在住の18歳~29歳
有効回答数 :300名
調査期間 :2025年10月2日~10月3日
その他、座談会を開催し、Z世代3名から意見を収集
食費が"節約の第一候補"に。Z世代の厳しい食卓事情
社会に出たばかりの新社会人や、親元を離れて一人暮らしを始めた大学生たち。多くのZ世代が、いま自らの手で生活費を管理し、日々の暮らしを切り盛りしています。
そんな中、物価高騰という現実が、じわじわと彼らの生活に影を落としています。スーパーでは、いつもの食材が数十円、数百円単位で値上がりし、コンビニのお弁当や外食も気軽には選べなくなってきました。必要なものをそろえようとするだけで、あっという間に財布の中身が心許なくなる...。そんな感覚に、多くの若者が直面しています。そんな彼らの、生活費に対する本音について、深ぼってみました。
約6割が「生活費のやりくりが苦しい」と回答
「最近、生活費が厳しいと感じることはありますか?」という質問に、26.3%が「非常に感じている」、35.0%が「少し感じている」と答え、実に6割以上のZ世代が経済的な不安を抱えている実態が明らかになりました。
学生生活や新社会人としてのスタート。自分の力で生活を営むZ世代にとって、毎月の固定費と食費のバランスを取るのは、決して簡単なことではありません。物価高の波が、彼らの暮らしを静かに、しかし確実に揺さぶっているようです。
節約のターゲットは「食費」。その背景にある選択
「生活費の中でまずどこを削りますか?」という質問に対して、全体の約4割が「食費」と回答しました。
本来、食べることは生きるために欠かせない基本です。しかし、必要不可欠であるはずの食事にさえ妥協せざるを得ない。それが今の若者のリアルな状況なのです。
自炊しても食材が余る?Z世代が直面する"節約とフードロス"のジレンマ
生活費を見直す中で「食費を削るために自炊を始めた」というZ世代は少なくありません。ですが、自炊を頑張るほど、別の問題も浮かび上がってくるようです。それが「フードロス」。
「せっかく節約のために自炊しているのに、食材を使い切れずに捨てることになる。」そんな矛盾を、多くの人が感じていました。
節約のための自炊。7割が週に1度はキッチンに立つ
今回の調査によると、「週に1回以上自炊をする」と回答した人は全体の約70%。一人暮らしに限れば、その割合は9割を超える結果となりました。さらに「毎日自炊する」と答えた人も15%にのぼっています。
また、自炊をする理由として最も多かったのが、「節約したいから」(65.7%)という回答でした。
このことから、自炊はZ世代にとって、生活を維持するための現実的な手段として選ばれているのではないでしょうか。調理の手間を考えても、外食や中食に比べて金銭的な負担が抑えられるという点で、自然と選ばれているのかもしれません。
一人暮らしでは「食材を使い切れない」
一方で、自炊にまつわる悩みも明らかになりました。
一人暮らしで自炊をする人に対して、食材を余らせることがあるかについて質問をしたところ、「よくある」と回答した人が11.1%、「たまにある」と回答した人が33.3%と、合わせて半数近くの人が食材を余らせるという結果になりました。
食材を余らせてしまう理由として最も多く挙げられたのが、「食べようと思っていたが時間がたってしまった」(27.3%)。次いで、「賞味期限が短すぎる」(21%)という声も続きました。
この結果からは、少人数で暮らすZ世代にとって、市販されている食品パックの分量が多く感じられるケースも少なくないと考えられます。スーパーで販売されている野菜や肉は、家族世帯を前提とした容量が主流であり、一人暮らしでは使い切れないこともしばしばです。
意図せず食材を無駄にしてしまうことへの罪悪感と、それでも生活を支えるための自炊という選択。そのジレンマが、Z世代の"食"の現場に横たわっているように思われます。
知っているつもりでも知らなかった?フードロスが地球に与える影響
「フードロス」という言葉。多くの人にとって耳なじみのある単語ではないでしょうか。コンビニやスーパーで見かける"もったいない"の文字や、テレビで紹介される食品廃棄の特集などを通して、一度は見聞きしたことがあるかもしれません。
しかし、その実態や地球環境への影響について、どれくらい理解されているのでしょうか?
フードロスの認知は高いが、家庭での問題意識は低め?
「あなたが知っているフードロスの問題についてあてはまるものを教えてください」と質問したところ、回答が多かったのは「飲食店における大量廃棄」や「売れ残り・返品による廃棄」といった"産業系"のフードロスでした。いずれも7〜8割の人が該当する項目として挙げています。
一方で、「家庭における食べ残し」や「買いすぎによる廃棄」については5〜6割程度にとどまりました。
この結果からは、社会全体の問題としてフードロスは認識されているものの、自分の生活に直結しているという感覚はやや薄いのかもしれません。
しかし、実際の廃棄量を見てみると、事業系と家庭系はほぼ同じ。環境省のデータによると、令和6年の国内食品ロス量は、事業系が236万トン、家庭系も236万トンで、ほぼ同等の割合です。
日々の暮らしの中で出る小さな"もったいない"が、実は社会全体に与える影響としては無視できない量になっているのです。
参考:環境省 「もったいない」だけじゃない、食品ロスと環境問題
フードロスとCO2排出の関係、知っていますか?
「フードロスが二酸化炭素(CO₂)排出量に影響を与えていることを知っていますか?」という質問に対し、「知っている」と回答したのは55.3%、「知らない」が44.7%となりました。
つまり、半数近くの人が、フードロスが環境問題と深く関わっていることをまだ認識できていない現状が浮かび上がりました。
食品が廃棄されると、その焼却処理の過程でCO2が発生します。加えて、捨てられる食材を生産・輸送・販売するまでにかかるエネルギーにも、当然ながら多くの二酸化炭素が排出されます。
たとえば環境省によれば、国内で1年間に発生するフードロス約472万トンを生産するために排出されるCO2量は約1,046万トン。これは、約390万世帯が1年間に排出するCO2量に相当します。
フードロスは「もったいない」だけの問題じゃない
「まだ食べられるのに捨てるなんてもったいない」。そう思うことは、とても大切な感覚です。
ですが、その"もったいない"の先には、もっと大きな環境負荷が潜んでいます。焼却によって発生するCO2は地球温暖化を加速させ、食品を無駄に生産し続ける構造は、資源の浪費や持続可能性の損失にもつながります。
フードロスの問題は、単なる「意識の問題」ではなく、「脱炭素社会」の実現においても見過ごせない課題となっているのです。
参考:環境省 「もったいない」だけじゃない、食品ロスと環境問題
専門家のコメント「"もったいない"が、脱炭素の第一歩に」
フードロスの問題に取り組む中で、「知っているけれど、なかなか行動に移せない」という声をよく耳にします。では、行動につなげるために必要なものは何でしょうか?
今回は、食品ロス削減を軸に活動している起業家・岸はつみさんにお話を伺いました。
学生時代、「削るのは食費から」と話す友人がいたのを思い出しました。今回の調査結果は、Z世代のリアルな生活感が反映されたものだと感じます。
節約のために始めた自炊が、結果的にフードロスにつながってしまう。これは、個人の努力では解決が難しい構造的な課題でもあると思います。ロスが出てしまったとき、"捨てる"以外の選択肢が取れるよう、コンポストや地域での資源循環といった、焼却以外の選択肢を増やしていく仕組みが必要です。
また、「脱炭素」という言葉にはまだハードルを感じる人も多いかもしれませんが、「もったいない」という感覚なら、誰もが自然と共感できます。"やらなきゃいけない"ではなく、「大切に使う」という意識から始めれば、無理なく続けられる行動になるはずです。
食べ残さない工夫、保存の知恵、捨てずに活かす工夫。小さなアクションの積み重ねが、やがて大きなインパクトになると信じています。
岸はつみ
大学時代に参加した農業ボランティアや農業インターンをきっかけに、「様々な要因で食べられるのに廃棄されてしまう農産物がある」という現実を目の当たりにし、この課題を解決したいという思いから「規格外農産物を活用したアイスクリームブランド」n!ce creamを設立。作り手・食べ手・環境の三方にやさしい循環をつくることを使命に、フードロス削減と地域農業の持続可能な未来に挑戦している。
お財布にも地球にも優しい選択。節約とサステナブルは、どちらも叶えられる
食費を削りながら暮らすこと。それは、いまのZ世代にとって避けられない選択かもしれません。けれどその中で感じた「もったいない」という気持ちは、環境にも、そして自分の生活にも良い影響をもたらす小さな気づきになります。
食材を無駄なく使い切る。冷凍保存やリメイク料理を活用する。こうした日々の工夫によって、食費の節約はもちろん、CO2排出の抑制にもつながっていきます。
「節約するしかないから自炊する」ではなく、「どうせなら賢く使い切る」。そんな意識の変化が、いつの間にか環境にやさしい選択へとつながっていく。
Z世代が直面している経済的な厳しさと、加速するCO2増加。そのどちらにも向き合えるアクションが、実は"食"の現場にあるのかもしれません。
お財布にも地球にも優しい選択。節約とサステナブルは、どちらも叶えられる
2025年11月2日(日)と3日(月・祝)の2日間、東京科学大学の大岡山キャンパスで開催される「工大祭」にて、フードロス削減をテーマにした体験型イベントが行われます。
このイベントを主催するのは、サステナブルな行動を若者世代に届ける活動を展開している Earth hacks株式会社。Z世代の暮らしや感性に寄り添いながら、環境問題を「自分ごと」として考えるきっかけをつくっています。
今回の企画では、まだ美味しく食べられるのに廃棄されてしまう可能性のある食材を活用し、「鍋料理」として提供します。その名も「限界(ギリギリ)食堂」。そして登場するのが、特製の「もったい鍋」です。
ワンコインで満腹&脱炭素貢献!
「もったい鍋」は、一杯100円のワンコインで提供される学生にやさしいメニュー。使われているのは、賞味期限が迫った食材や、形が不ぞろいな規格外野菜など、通常であれば廃棄されてしまいがちな"もったいない食材"です。
しかも、これらの食材はオーガニック野菜や厳選された品々を取り扱う「FOOD&COMPANY」からの提供。味も栄養も大満足の一杯です。
楽しみながら、フードロス削減や脱炭素に貢献できる体験型フードアクション。学園祭という賑やかな場で、未来の食と環境について、ほんの少し考えてみるきっかけになるかもしれません。
詳細は、こちらをご確認ください。
特設サイト:https://co.earth-hacks.jp/campus-hacks/project-001/
プレスリリース:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000106.000122970.html
Z世代とサステナブルな未来をつなぐ「デカボLab」
デカボLabは、Z世代の生活者に焦点を当て、彼らのサステナブルな取り組みや行動、トレンドに関する深いインサイトを提供する情報発信のプラットフォームです。
私たちは、Z世代が持続可能な未来に向けて、実際にアクションを起こすためのきっかけを提供し、彼らが楽しく取り組めるような内容を発信していきます。
Z世代と共に、サステナブルな未来をつくりませんか?
Z世代は、環境や社会問題に対する意識が高く、「共感できるブランド」や「ストーリーのある商品」を選ぶ傾向が強まっています。単なる消費者ではなく、価値観を持って行動する彼らと共に、新しい取り組みを始めてみませんか?
デカボLabでは、Z世代のリアルな声を活かした情報提供やコラボレーションの機会をご用意しています。実際にZ世代と対話しながら、サステナブルなプロジェクトや次世代マーケティングの可能性を広げることができます。
Z世代に選ばれるブランドづくりや、新しい社会の仕組みを共創したい企業の皆様、ぜひ一緒に未来を考えませんか?ご興味のある方は、お気軽にお問い合わせください。



