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スマホ育児を責めないで|お金も育児支援も足りない親たちの苦悩

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子どもを持つ親が、生活のために複数の仕事を掛け持ちすることは珍しくありません。仕事の合間には、食事の支度や部屋の掃除、生活費のやりくりなど日常のさまざまな家事をこなし、わずかな睡眠時間をなんとか確保し、さらには子どもの預け先の手配を行うなど、次々とやるべきことが押し寄せます。近所の保育園や託児施設は定員オーバーだったり、朝の限られた時間にしか子どもを預けられないところもあります。このようなどうにもならない状況で頼りになるのが、タブレットやスマートフォンといったデジタルデバイスです。子どもは画面に食い入り、しばらくはおとなしくそれに集中してくれるので、親はその間に用事を片付けることができます。しかし、一時しのぎとして使っていたはずが次第に常態化し、最初は30分だった利用時間がいつの間にか数時間へと膨れ上がっていくのです。

家庭事情とデバイス利用の関係性

とりわけ低所得家庭では、子どもがデジタルデバイスを使う時間が長くなってしまう傾向があります。これは育児の怠慢といった単純な話ではなく、社会構造に根ざした不平等の結果と言えます。アメリカ労働統計局のデータによれば、親は毎日働きながら家事をこなし、子どものケアも同時に行っています。そのため、保育所や家族など、子どもの預け先が見つからない場合には、何らかの代替手段に頼らざるを得ません。特にひとり親の家庭では切迫した問題です。支援が行き届かない農村などの地域では、いわゆる「保育砂漠」が広がり、需要に対して保育施設が圧倒的に不足(※1)しています。また、低賃金労働者は勤務時間が不規則(※2)で、急なシフト変更、夜間や週末勤務を強いられることがよくあります。こうした働き方では、たとえ保育所に空きがあっても、費用補助のある認可保育園の利用は難しい現状があります。

こうした社会制度から受ける制約の度合いによって、家庭でのデジタルデバイスの使い方に明確な差が現れます。スマートフォンを中心に、子どもが10歳前後のうちから日常的に使い始める(※3)ケースが多く見られます。ある研究によると、低所得家庭の子どもは他の層よりさまざまなデバイスを利用しており、結果として利用時間が最も長くなる傾向があります。この差は、年齢や性別などの要素を考慮しても変わりません。

12歳未満の子どもを持つ米国の親が「日常の育児で重要視していること」
12歳未満の子どもを持つ米国の親が「日常の育児で重要視していること」
Credit:How Parents Manage Screen Time for Kids, Pew Research Center, Washington, D.C. (October 8, 2025)

スマホの使い過ぎが子供に与える影響

こうした家庭間格差が背景にある中で、スマートフォンやタブレットの長時間利用による、子どもの発達への影響を懸念する声もあります。特に幼い子どもは、デジタルデバイスの使い過ぎや、親の目が十分に行き届かない状況が、睡眠不足や親子の会話の減少、言葉の発達の遅れなどにつながることが指摘されています(※4)。長期にわたる研究でも、幼少期から利用頻度が高く長時間使う子どもほど、後の発達遅延に結びつくことが分かっています。

スクリーンタイムとコミュニケーション領域における発達の遅れとの関連
スクリーンタイムとコミュニケーション領域における発達の遅れとの関連
Credit:Lengthy Screen Time Associated with Childhood Development Delays, via Tohoku University

社会制度から変えるべき家庭環境と格差

この問題の解決は、親を非難することではなく、親子を取り巻く環境や支援制度、その構造を改善することから始まります。健全な利用習慣を促進するためには、さまざまな家庭の中でも、とくに低所得家庭の親が直面している困難な状況を解消することが必要です。長期的には、勤務シフトを安定化させる法律やルール(※5)を整備、運用することで、親が一貫した保育計画を立てやすくなります。また、国や自治体の補助により利用料が軽減される手頃な保育サービスを拡充し、夜間や週末といった時間帯でも、子どもを預けられる体制づくりが重要です。さらに、企業が子育てに配慮(※6)した柔軟な働き方や理解のある職場文化を整えることで、働く親たちは安心して仕事に集中できるようになります。

American Academy of Pediatrics(米国小児科学会)は、学齢期の子どもに対して、一律の利用時間制限ではなく、コンテンツの質と利用の仕方に焦点を当てるべきだとしています。十分な睡眠を確保し、デバイスから離れて遊ぶ時間を持つことは、子どもがデジタル機器を健全に利用する習慣を身につける上で役立ちます。また、各家庭でルールを定め(※7)、親子で一緒にオンラインコンテンツを楽しむことも、潜在的なリスクを抑える手助けともなります。

デジタルデバイスは、家事や育児で忙しい親にとって、最善を尽くす中で選んだ一時的な代替策にすぎません。しかしこれまで紹介したような工夫を一つ取り入れるだけでも、デバイスに頼りすぎずに子どもを見守ることができ、より健全なメディア利用の基盤を作ることができます。小さな工夫の積み重ねが、子どもたちにとって安全安心なデジタル環境を作り出すのです。

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  • 執筆 G. Johnson   翻訳・編集 K. Tanabe

元記事はこちら
オリジナル英語版はこちら

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