ハッピーでカラフルな防災を。防災士・古島真子さんと考える「私らしい」命の守り方
いつどこで起きるか予測できない災害。防災士・古島真子さんは、被災された方々の想いを語り継ぎ、一人でも多くの命を救うために、「明るくハッピーな視点」で防災についての発信を続けています。彼女が、正しい知識と技術を持つ防災士になるまでのストーリーや、自分らしく備える「カラフル防災」の考え方、命を守るために大切なことを伺いました。
※本記事には津波の被害を受けた地域の画像を掲載しています。
震災と被災地で出会った人々の言葉。 防災士になるまでの物語
── 古島さんはなぜ防災に興味を持ったのでしょうか?
原点は、私が大学1年生の春休みに起きた東日本大震災です。当時、東京にいた私は「被災地の方々の力になりたい」という思いに突き動かされ、2011年4月に初めて被災地へ足を運びました。目に飛び込んできた光景は、メディアで見ていたよりも遥かに悲惨で、今でも脳裏に焼きついています。
その後、岩手県陸前高田市の「うごく七夕まつり」に魅了されたことを機に、仮設住宅へのボランティアなど、毎年現地へ通うようになりました。
── 長年通い続ける中で、意識が変わる瞬間があったのでしょうか。
震災から7年程経ったある日、現地の友人と食事をしていた際にふと震災の話になり、それまで聞いたことのなかった、家族や家を失った話、必死に逃げた記憶を打ち明けてくれました。最後にその友人が私の目を真っ直ぐ見て「まこちゃん、地震が来たらちゃんと逃げなきゃだめだよ」と私の目を見て言ったんです。それまで私は、被災地を訪れていても防災についてはどこか他人事のように感じていたのかもしれません。しかし、大好きな人たちの切実な言葉を聞いて初めて「私自身が、防災をしなくてはいけない」という思いが生まれたんです。
── 大切な人たちの言葉が、自分事へと変えてくれたのですね。実際に防災士になるまでは、どのような道のりでしたか?
私は三日坊主なので(笑)。だからこそ、「災害のために備えよう」という意志の力だけに頼らず、「資格をとる」というゴールを設定した方が途中で投げ出さずに取り組めると思い、防災士の資格を取ろうと決めました。それから勉強をして挑んだ資格試験に合格しましたが、どうやったら資格を活かせるのかと考えるようになり......。その答えが、SNSで発信をすることでした。誰かに伝えることは、自分自身にプレッシャーをかけ、備えを継続させる仕組みでもあったんです。最初はInstagramでの投稿に始まり、徐々にイベントや講座のお声がけをいただくようになって、今につながっています。
環境や個性に合った「カラフルな防災」。 命を守る方法をハッピーに
── 古島さんは具体的にはどのような活動をされているのでしょうか?
私は「防災をハッピーに伝える」「カラフル防災」をテーマに活動しています。SNSを通じて情報を発信したり、学校や企業向けに、地域の特性に合わせたアドバイスや、ポップなデザインの防災マニュアル等を制作しています。
また、リラックスできるアロマスプレーやキャンドルのワークショップなどと防災イベントを組み合わせ、楽しく学べるイベントを地域で開催しています。
── 「ハッピー」や「カラフル」というテーマには、どのような思いが込められているのですか?
防災は全世界の人々に必要なことなのに、なかなか浸透していないのが現実です。それは、防災の大切さや災害時の状況を知ってもらおうとすると、どうしても深刻な伝え方になってしまうからではないでしょうか。もちろん、その重さを伝えることも大切ですが、人はやっぱり楽しそうなこと、素敵なものに惹かれますよね。だから、私は防災を人々に広めるためにハッピーな伝え方を選びました。活動当初は、あえてハッピーな伝え方をすることについて不謹慎だと思われる不安もあり、勇気も必要でした。でも、イベントに参加してくれた方々からの温かい声に支えられ、「防災をハッピーに伝える」というスタイルを貫いています。
そしてもう一つのテーマが「カラフル防災」。年齢も性別も住んでいる場所も、生活のスタイルも特性も十人十色、それぞれ違いますよね。だから、防災に必要とされる知識やアイテムも一人ひとりの個性に合ったものを選ぶべきだと思い、「カラフル防災」と呼んで発信しています。
── 素敵なテーマですね!防災を意識していなかった人にも興味を持ってもらうためにどのような工夫をしていますか?
例えば、命の危険を知らせるための防災笛には、かわいいデザインでキーホルダーやネックレスとして使えるものもあるんです。こういったアイテムにファッションの視点から興味を持ってもらい、そこから生まれるコミュニケーションの中で防災の大切さを伝えています。
避難生活のリアル。女性に必要な「尊厳を守る」備えとは
── 女性が防災を意識するときに、大切なことを教えてください。
災害は男女関係なく襲ってきますが、その後の避難生活においては、女性の方が我慢を強いられたり、生きづらさを感じたりする場面が多いと感じています。そうならないために、物や知識の備えが大切だと思います。許しがたい話ですが、東日本大震災の際に、物資と引き換えに性的要求を迫られた女性がいたという報告もあります。もし、自分自身に食料や物資の備えがあれば、そんな理不尽から身を守れたかもしれない。「備え」は、自分の心と身体、そして尊厳を守るための盾になるんです。
── その通りですね。具体的に女性にとって必要な備えを教えてください。
男女で共通するものでいえば、ポータブルバッテリーとトイレ。情報源である携帯の充電と、尊厳の問題に関わるトイレは絶対に必要ですよね。女性に備えて置いてほしいのは、生理用品はもちろん、普段飲んでいるサプリメントなども備えておくと良いでしょう。
さらに、集団生活の中で自分の心を健やかに保つための「自分なりの癒し」も重要です。例えば、ヨガや適度な運動など、心身を整えられる自分に合ったアクティビティ。リラックスできるアロマスプレー、推しグッズなどがあっても良いかもしれません。携帯の充電が切れても見られるように家族写真や、心の支えになるようなグッズも防災リュックに入れておくといいかもしれませんね。
── 災害時はスマートフォンが使えなくなる可能性もありますが、アナログな備えで大切なものはありますか?
今はスマートフォンが生活の中心にありますが、災害時は電波がつながらなかったり、充電が切れてしまったりして使えなくなることもあるんです。そういう時のために、家族の写真を印刷して持っておくことは大切だと思っています。万が一はぐれてしまった時に、写真があれば周りの人に見せて探すこともできますし、裏に家族の電話番号を書いておくのもおすすめです。あと、通信や電気が止まるとコード決済やカードは使えなくなってしまうので、現金も必ず用意しておいてほしいです。特に、5000円札や1000円札、500円玉、100円玉、10円玉など、細かいお金を多めに持っておくと、いざという時にすぐ使えるので安心です。デジタルが当たり前の今だからこそ、こうしたアナログな備えが自分や家族を守ることにつながると思います。
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── 防災グッズとしておすすめのアイテムと、その理由を教えてください。
防水リュック
まず、リュックが防水であることはとても大事だと考えています。災害時に雨が降っている場合もありますし、避難する時に中の荷物が濡れてしまうと、着替えや生理用品など本当に必要なものが使えなくなってしまうんですよね。「中身をちゃんと守れる」という意味で、防水のリュックを選んでおくことが重要です。
ガスバーナー
ガスバーナーは温かいご飯やお茶、コーヒーを飲めるだけで、体が温まるのはもちろん、気持ちもすごく落ち着くので不安な状況の中で安心感を得られる大切なアイテムだと思います。
ダウンパンツ
ダウンパンツは、防寒対策として必需品です。上半身は防寒している方が多いのですが、下半身って意外と対策できていないことが多くて......。足元を温めるだけで体感温度が変わるので、寒さから体力を守るためにも大切なアイテムです。
保温ソックス
保温性に優れた靴下も、手軽にできる防寒対策です。足元が暖かいだけで体全体の冷えを防げて、避難生活の中でも快適さが向上するので、防災リュックに1足入れておくと安心です。
災害による悲しい歴史を繰り返さないように、そして未来の犠牲をゼロにするために。古島さんは、防災というテーマをポジティブなエネルギーへと変換し続けています。住む場所や環境、個性も、大切にしたいものも人それぞれ。だからこそ、自分に合った「カラフルな防災」を少しだけ前向きに考えてみませんか?その小さな一歩が、自分や大切な人の未来を変えてくれるのかもしれません。
元記事はこちら
古島真子 (フルシママコ)
ハッピー&カラフルな防災を届ける人。3.11をきっかけに岩手県陸前高田市に10年以上通い、防災の大切さに目覚める。「10人10色の個性に合わせたカラフル防災」をコンセプトに、防災を楽しく身近にお洒落に感じてもらえるよう地域イベントや学校、SNSなどで発信中!防災士 / 株式会社 ColorfulBosaiCreation代表取締役。
Instagram : https://www.instagram.com/makopi_to_bosai/



