シングル女性の高い幸福度|結婚の重荷から自立の選択へ
2021年、世界中がコロナ禍にあったその年のことを、私は今でも鮮明に覚えています。オンライン授業ばかりが続く中、必死の努力の結果、私は首席で大学を卒業することができました。その卒業証書を手に、祖母を喜ばせようと会いに行ったときのこと。その気持ちが一瞬で消えてなくなるほど、祖母の反応は全く予想外のものでした。褒めるどころか、孫の成績などまるで眼中にない様子で、「そんなことより結婚相手はまだ見つからないのか」と嘆くように言ったのです。このような経験は私だけでなく、世の中の多くの女性たちが似たような場面で同じ思いをしてきました。結婚していないと女性は一人前の存在と認められないという現実が、今も世界中に存在しています。
時代が生んだ「結婚神話」
祖母の喜ぶ顔を期待していた分、釈然としない気持ちを私が抱いたのは確かですが、祖母の時代には当たり前だった価値観を一方的に責めることはできません。当時、独身女性への社会の視線は冷たく、結婚というゴールにたどり着けない、欠陥のある人間と捉えられていた(※1)のです。「女性は結婚してこそ幸せになれる」「独身者はパートナーがいる人より幸福度が低い」という誤った価値観(※2)は、これまでずっと社会に蔓延してきました。
個人の考え方や価値観はさておき、かつての女性たちが結婚せざるを得なかった背景には、社会的な深い事情がありました。そして今、あえて結婚しない女性が増えているのも、同じく社会環境の大きな変化によるものです。女性が社会的、経済的に自立できるようになる前、結婚は生きていくための手段でした。法律上、多くの国では夫の存在があって初めて、女性は社会における一人の存在として認められてきました(※3)。働くことも、銀行口座を開設することも、男性の同意なしには許されなかった時代。女性は事実上、その身を男性に委ねるしかなかったのです。
Credit: Data via US Census Bureau, Morgan Stanley Research
女性の権利はわずか200年前に認められた
最初に変化の兆しが現れたのは、1839年にアメリカのミシシッピ州で制定された「既婚女性財産法(Married Women's Property Act)(※4)」です。この法律により、女性は自分の名義で財産を所有する権利が初めて認められました。その後、「狂騒の20年代」と呼ばれ、空前の好景気と自由な空気に沸いた1920年代に、アメリカでは白人女性がついに参政権を勝ち取ります(※5)。有色人種の女性はさらに後のこととなりますが、それでも女性たちにとって大きな変化であったことは確かです。EUでは1957年に男女同一賃金の実現に向けた取り組みがスタート(※6)し、性別にかかわらず平等な賃金保障を目指していますが、ジェンダー賃金格差(※7)の解消には今なお至っていません。
長期間にわたる遅々とした歩みを経て(※8)、女性はようやく、男性と同等の権利を持つ一人の人間として認められるようになりました。そして今、女性は自らの意志で人生を選択できるようになり、結婚しない道を選ぶ人も多くなりました。交際はしても結婚はしない、あるいは特定のパートナーは持たないという人も増えています。経済的に自立できるようになったことで生き方の幅も広がり、独身という生き方はかつての「恥ずかしいこと」から「人生に妥協しない選択」へと変わりました。結婚や出産のタイミングは自分で決める、あるいはそうした生き方を選ばない女性が増えていること自体が、女性の自立と社会環境の改善(※9)を表しています。
Credit: Nearly Half of U.S. Adults Say Dating Has Gotten Harder for Most People in the Last 10 Years, Pew Research Center, Washington, D.C. (August 20, 2020)
自分の人生を自分で選ぶ時代へ
もちろん、完全な男女平等がすべての国で実現しているわけではありません(※10)。それでも多くの女性が、社会で生き抜くために強いられた結婚という重荷から、ようやく解放されつつあります。独身であることは、もはや引け目を感じるものでも、孤独な生き方でもありません。実際、ある幸福度調査によれば、子どものいない独身女性(※11)は最も幸福度が高いグループに常に位置しています。
結婚へのプレッシャーや義務感がなくなることで、多くの人が自分の意志で生き方を選択(※12)し、自分らしく幸せに生きられるようになったのがその要因と考えられます。結婚への社会的な重圧は次第に薄れ、結婚はもはや人生の絶対的なゴールでも義務でもなくなりました。祖母の世代には想像もできなかったであろう、「女性が自分の人生を自分で選ぶ時代」が、確かに訪れています。
Credit: lainey.molnar via Instagram
-
執筆 C. Musaba 翻訳・編集 K. Tanabe
元記事はこちら
オリジナル英語版はこちら
世界各国を拠点とするローカルメンバーが、最新のDE&I関連ニュースやトピックスをお届けするグローバルメディアです。
私たちは、差別が生じるのは「マイノリティーの存在」ではなく、「マジョリティーが作った構造」が原因と考えており、社会や職場におけるダイバーシティマインドの促進に全力を注いでいます。









