「地球とスポーツの未来」 を守る、アスリートたちのアクション
2026年夏は酷暑や台風、長雨など異常気象が目立ったが、 こうした地球温暖化の影響は、スポーツ界にも大きな影響をおよぼしている。特に野外競技の開催は暑さを理由に延期や中止になったり、ウィンタースポーツでは積雪量が減ってしまったりと、将来的に競技存続の危機にも!?
そこで、ここでは気候変動対策に本気で取り組むアスリートたちをご紹介! 地球とスポーツの未来を守るために、最前線で活躍する彼らからパワーをもらって。
髙梨沙羅さん「自然の中で学ぶ機会をつくる」
「自然環境を次世代へ残したい」「スキージャンプ競技の素晴らしさを伝えていきたい」という想いから、髙梨さんが立ち上げた「JUMP for The Earth PROJECT」では、定期的にトレッキング&クリーン活動などの取り組みやイベントを実施中。2026年6月に開催した山形県蔵王での活動では、参加者から「自然を保護する社会の仕組みについて考えるきっかけになった」「一人ひとりがごみを捨てない意識を持つと町はこんなにきれいになると知った。いろんなところに広げていきたい」という声も。こうした経験や体験から生まれる一人ひとりの心、そして社会の変化を目指している。
競技に打ち込めるのは、かけがえのない自然があるから
「私が環境について意識するようになったきっかけは、競技者として世界で転戦するなかで、気候変動の影響を身近に感じるようになったことです。最近では、気候変動の影響で、雪不足のため大会が延期されたり中止されたりしています」
「大会が開催されても、大半は人工雪を使って行われますが、これには多くのエネルギーが必要です。そうした現実に触れるたびに、私がスキージャンプ競技に打ち込める環境は決して当たり前ではなく、かけがえのない自然に支えられているのだと実感します」
毎日の小さな選択には、社会に良い影響を与える力がある
「私が普段意識しているのは、特別なことではなく、毎日の暮らしの中でできる小さな選択です。例えば、フェアトレードの商品を選ぶことや、冷蔵庫の食材を最後まで使い切ってフードロスを減らすことも心がけています。また、友人と古着屋さんに行って服を探したり、気に入ったものを長く大切に使ったりすることも、資源を無駄にしないための大切な行動だと思っています」
「こうした取り組みを続けるなかで、一人ひとりの小さな選択にも社会や環境に良い影響を与える力があると感じるようになりました。そして、自分だけで終わらせるのではなく、家族や友人と話題にしたり、一緒に行動したりすることで、その輪が少しずつ広がっていくことも実感しています」
スキージャンプ選手・髙梨沙羅
小学2年生からジャンプをはじめる。FISワールドカップ総合優勝4回、男女通算歴代最多の63勝を達成。2026年ミラノ・コルティナオリンピック混合団体では銅メダルを獲得。世界各地の雪山を転戦するなかでの経験から「JUMP for The Earth PROJECT」を立ち上げ、自然環境の保全とスノースポーツを次世代へつなぐ活動を推進している。
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五郎丸歩さん「音楽フェス開催で子どもたちとアクション」
磐田市にゆかりのある五郎丸歩さんとEXILEのAKIRAさんがプロデュースした「Iwata Seaside DREAM Fes 2025」。音楽ライブだけでなく、使い捨てプラスチック使用の制限やEVカーの活用、太陽光発電など、環境問題の対策を地域や学生と連携して実施。開催半年前からフェス運営の準備に携わってきた学生ボランティアからは「環境を良くするための小さい一歩ずつの積み重ねをみんながやることで、それが波紋のようにどんどん広まって、当たり前になっていくのだと教えてもらった」「行動にうつしたら楽しくなってきた」と実感のこもった声があがっていた。
"どんどんスポーツが縮小されていく"現状を変えていくために
「日本財団主催の『HEROs PLEDGE』をきっかけに、夏場は暑すぎて子どもたちがスポーツできないことや、雪が降らないなどの気候変動の影響を聞き、これからどんどんスポーツが縮小されていくという現実に衝撃を受けました」
「そこから、スポーツ界における先進的なサステナビリティの取り組みを国内外の現場で視察し勉強。学ぶだけでなく、次世代を担う子どもたちやさまざまな人を巻き込み、広く活動したいと考えるようになりました。というのも、気候変動はあまりにも大きな課題。その課題を一人ひとりが自分ごととして捉えて、アクションにつなげてもらうことが重要だと感じたからです」
垣根を超えて一つとなる経験を、次世代と
「そこで考えたのが音楽フェスでした。ただ開催するだけでなく、その開催の約半年前から、高校生と大学生を対象に、気候変動の現状とスポーツをかけ合わせた学びの機会をつくりました。学生たち自身が学びながら音楽フェスを開催し、最後は開催地の磐田市長らに向けて環境に関する政策提言も行うことに」
「スポーツ、そして音楽フェスを通して、多くの生徒が垣根を超えて一つとなり活動し、アクションの輪を大きくできました。学生たちの感想や意識の変化を聞いた時には、やってよかったと思いました。乗り越えるべき課題が見つかり、2026年度の音楽フェスの開催は見送りとなりましたが、こうした経験を糧に、現在もさまざまな人たちと気候変動アクションに取り組んでいます」
元ラグビー日本代表・五郎丸歩
大学卒業後、磐田市を拠点とするヤマハ発動機ジュビロへ入団。2015年ラグビーワールドカップでは強豪、南アフリカを破り世界のラグビー界に衝撃を与えるなど、副キャプテンとしてもチームを牽引。21年選手を引退後、24年6月までクラブ運営に携わり、現在は磐田市に本拠地を置く一般社団法人Future Innovation Lab代表理事を務める。
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渡部暁斗さん「"エコパートナー"とともにCO2排出削減」
渡部暁斗さんの取り組みは、"エコパートナー"と名づけられたスポンサーから得た広告料をすべて二酸化炭素排出量の削減や森林整備などの地球温暖化防止対策に充てる仕組みを取り入れたこと。渡部さん自身が排出していた年間約70トンのCO2を削減するために必要な費用を広告料として設定し、スポンサーを募集したところ、当時、この想いに強く共鳴したアメリカのシューズブランド「オールバーズ」がエコパートナーに就任。それ以降、競技活動のカーボンニュートラル化を実践。広告料を森林保全活動に加えて、地産地消の推進や次世代のスキーヤー育成にも活用した。
自分の暮らしから出るCO2を測ることからスタート
「エコパートナーを募集する時に取り組んだことは、自分がどれくらいのCO2を出しているか知ることでした。調べてわかったのは、飛行機移動にかかるCO2が大きな割合を占めていたこと。輸送も環境負荷が高いことに気づき、普段の買い物でも地産地消や国産品など、できるだけ輸送距離の短い、身近なものを選ぶことを意識するようになりました」
「そもそも世界的に見ても前例の少ないエコパートナーだったので、募集した当初は仕組みを理解してもらうのに時間や労力がかかりました。一方で、前例がないからこそ、メディアにも取材いただけたり、同じ想いを持っている方々からポジティブなメッセージや一緒にアクションを行うお誘いをいただき、活動の輪が広がっていくことを実感できました」
渡部さんのラストジャンプイベント「Watanebe's Last Jump powered by you」で参加者の子どもたちと一緒にサイクル発電に挑戦!
スポーツが担う役割は大きいと信じて
「現役引退後には、子どもたちがサイクル発電をして貯めた電力をもとに、自分が地元白馬のジャンプ場でラストジャンプを行うためのリフトを動かしジャンプする、というイベントを開催。子どもも大人もスポーツを通じて楽しく汗をかきながら、発電することの大変さを学んでくれた様子を見て、気候変動へのアクションの輪を広げるために、老若男女が楽しめるスポーツが担う役割は大きいと改めて思いました」
「温暖化と雪の問題は地球環境問題のほんの一部。私の行動は小さなアクションに過ぎないかもしれません。それでも、これが一人でも多くの方の行動につながるきっかけにもなれば嬉しいと思い取り組んでいます。次世代に少しでも良い環境を残していきたい、それが私の願いです」
北野建設スキー部ジェネラルマネージャー・渡部暁斗
ノルディック複合スキーヤー。オリンピックでは通算4つのメダルを獲得。2026年3月に現役を引退して以降、気候変動や環境への取り組みを継続させるのはもちろんのこと、自身の競技生活からの経験や気づきを活かし【WATABE AKITO ENDURANCE LAB】を立ち上げる。ランニング、トレイルランニング、バイクをベースにレース参戦したり、さまざまなテーマの講演会も行う。
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