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俳優が安心してNOと言える環境づくりのために。インティマシーコーディネーター・浅田智穂が目指すエンタメの未来

    

サストモ編集部

ハリウッドで#MeToo運動が起こってから6年。絶大な権力を持っていた映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインを失脚させ、ハリウッドの働き方を大きく変えたその告発の波は世界中に伝播していきました。それは現在日本でも少しずつ広がっており、ハラスメント撲滅や働き方の改善を目指そうという動きが業界内で取られはじめています。

とはいえキャスティングや演出を大きく担う監督やプロデューサーと、(特に若手の)俳優の間にはどうしても力関係が生まれてしまうもの。撮影時に事前に想定していなかった性的なシーンがあったり、やりたくないことを強要されても拒否できなかったりと、そこには常にハラスメントの危険性が潜んでいます。ですが、実はそんな俳優たちを守る職業が存在することをご存知でしょうか。それが【インティマシーコーディネーター】

インティマシーコーディネーター(以下、IC)とは、映画やテレビドラマ、配信作品などの制作現場で、ヌードやキス、セックスといったインティマシー(親密な)なシーンの撮影をサポートする職業です。演じる俳優と、監督やプロデューサーなど制作側との橋渡しとなることで、俳優の安全と安心、そして作品を守ることを目的としています。

アメリカ発祥のICは、2017年のHBOドラマ『ザ・デュース』で初めて登場したと言われていますが、日本でその職業が採用されたのは2021年に配信されたNetflix映画『彼女』が最初。その際に、日本初のICとして作品に参加したのが、エンターテイメント業界で通訳をしていた浅田智穂さん。現在ICをはじめて4年目という浅田さんに、製作現場におけるICの重要性についてお話をお聞きしました。

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浅田智穂(あさだ・ちほ) 

1998年、ノースカロライナ州立芸術大学(University of North Carolina School of the Arts)卒業。2003年、東京国際映画祭にて審査員付き通訳として参加したことがきっかけとなり、
日本のエンターテイメント界と深くかかわるようになる。日米合作の映画『The呪怨』(監督:清水崇)において、企画から撮影、公開時のプレミアに至るまで、通訳として映画の現場に初参加。それ以降、様々な日本映画・舞台において劇中における台詞の英訳や美術装飾品の翻訳や、現場でのスタッフとキャスト間の通訳を務める。2020年、Intimacy Professionals Association(IPA)にてインティマシー・コーディネーター養成プログラムを修了。IPA公認のもと活動開始。Netflix作品『彼女』において、日本初のインティマシー・コーディネーターとして作品に参加。以降も、複数のプロジェクトに携わっている。

インタビュアー:ISO 1988年、奈良生まれ。ライター。さまざまな映画媒体で映画評、解説、インタビューを書くほか、音楽作品のレビューや旅行関係のエッセイも執筆。

俳優の不安を払拭することが、良い作品づくりに繋がる

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── 普段どのような流れでお仕事をされるのか教えてください。

プロデューサーから依頼を受けるとまず、作品の台本をしっかり読み込みます。次に台本の中から「抱きしめる」や「キス」「ベッドに横たわる2人」といったインティマシーシーンと思しき箇所を抜粋して。それが終わると、監督にシーンの詳細を伺います。その時どんな服を着ていて、キスの時に手の位置や、2人は布団の中でどのような体勢かといったことは、台本のト書きだけではわからないので、監督にお話ししていただきます。

そして監督に聞いたことを、該当する俳優の皆さんに共有し、確認していきます。その中で、できる/できない部分を明確にして、すべて問題なければそのまま進行。難しい部分があれば、また監督に戻します。それで見せ方を変えるとか、ここまでならできるとか、双方の折り合いをつけていきます。同意書が必要な場合もあるので、必要に応じてサポートもします。あとはスタッフと当日に誰が何を用意するか、といった詳細を詰めて撮影当日を迎えます。

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俳優は当日でも「やりたくない」と言う権利があるんです。なので現場入りしたら問題ないかという最終確認をして、インティマシーシーンを演じる俳優同士の許容範囲についてすり合わせを行います。その際に振りをつけたり、リアリティを追求したり、よりロマンチックに見せる方法などの話をすることもありますね。本番中はクローズドセットという最小人数での撮影体制が守られているかを確認して、撮影が無事終了すれば基本的には任務完了です。

── 俳優の安全を守りつつ、どのようにリアリティを追求しているんでしょうか。

インティマシーシーンの見せ方に関しては培った知識と経験があるので、私が入ることでより安全かつリアルに見せることができると思っています。しっかりコミュニケーションが取れてさえいれば、安全性を確保しながらもリアリティを追求することは可能なんですよね。

監督からの明確な指示もなく、俳優同士でコミュニケーションが取れていない際に、インティマシーシーンで困るのは実は男性の俳優なんです。例えば女性とのセックスのシーンだと、皆さん男性側がリードしなければいけないと考えるんですが、当然そこでプライベートは出したくないんですよね。演技を見て「普段ああいう風にやってるんだ」とか思われたくないじゃないですか。だから事前に私が話をして、ではこうしようかというようなことを詰めていくようにしています。

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── 男性俳優がそれほどまでに気にしているというのは知りませんでした。

女性とは気にする部分が違いますが、年齢を問わず男性の俳優も気にされてる方はたくさんいます。皆さん想像以上に不安を抱えながらお仕事をされているんです。そしてその不安が払拭できれば、すごく良いお芝居になると思いますし、それが良い作品に繋がっていくんですよね。

IC4年目、肌で感じる業界の変化

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── ICをはじめた当時と今を比べると、製作現場の雰囲気や浅田さんの働き方に変化はありますか?

雰囲気はすごく変わってきています。現場で「次は絡みだからインティマシーシーンだね」といった会話が聞こえてきたり、皆さん普段から意識されるようになっていて。過去にご一緒した監督やスタッフが、別の作品のプロデューサーに「この作品はICを入れませんか」と提案してくれてお仕事に繋がることもありました。

もちろん予算の都合でICを呼べない場合もあるんですが、「肌の露出の多いシーンで人を減らしたり、できることはしたよ」と報告してくれる人もいます。そういう考えの人が増えることは映像業界全体を良くすることに繋がると思ってるので、とても嬉しいですね。

また、基本的に私は脚本には口を出さないんですが、例えば社会的に間違ったメッセージを送る可能性があったり、作品が男性目線に寄りすぎていると感じた際には、場合によりプロデューサーにお伝えするようにしています。丸3年やってきてそういうことが少しずつ言えるようになってきました。

── 監督の性別で仕事のやりやすさは変わってくるものなのでしょうか。

うーん...どうなんでしょう。というのも、男性監督以外とお仕事した経験があまりなくて。女性監督の現場に呼ばれたことは数本しかないんです。私が呼ばれる現場がたまたま男性監督が多いという話ではなく、業界のジェンダーバランスが大きく関係していると思います。

2021年時点のJapanese Film Projectの調査で、興行収入10億円以上の実写邦画は男性監督が97%という結果も出ています。3%しかいない女性監督とはなかなか巡り会えないのです。私は「女性監督しか撮れない」「女性監督だからこそ」といったような表現が好きではないのですが、それでもご一緒した監督たちを見てると男性と女性とでは作品作りにおける目線の違いは感じますね。「男性目線な描写だなぁ」と思うことは普段仕事をしていてもありますし。

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引用:一般社団法人Japanse Film Project
『日本映画業界の制作現場におけるジェンダー調査2021夏』

── スタッフもいまだ男性ばかりなのでしょうか?

まず、若者自体すごく減ってる現状があります。休暇も賃金も少ない労働環境で、皆さんやりがいだけでは続けられないんですよね。さらに女性は結婚や出産を機に辞める方もいて。

それでも以前より女性は増えている気はします。スタッフや助手にできるだけ女性を増やそうとしている監督やプロデューサー、カメラマンもいます。少しでも環境を整えて、辞めざるを得なかった才能のある優秀な女性に現場に戻ってきて欲しいと。ジェンダーバランスも含めて、皆さんの意識が少しずつ変わってきていると思います。

── ハリウッドで学んだマニュアルをどのように日本作品に落とし込んだのでしょうか。

日本とハリウッドは業界のシステムが全く違ってまして。ハリウッドには遵守しなければペナルティを課されるSAG-AFTRA(サグ・アフトラ)※のルールが前提としてあるんです。なのでICはそれに則ればいいんですが、日本にはそういったルールがありません。ペナルティがないので、お願いベースでやってもらうしかない状況です。

最初は私もアメリカ式のやり方を徹底しようとしていたのですが、すぐにそれでは難しいなと思いました。続けていくうちにいろんなことが見えてきて、それで大前提としてこれに準じれば最低限の安心安全は守られる、というガイドラインを設定したんです。その上で監督やスタッフ、俳優の皆さんの要望を聞いて、現場に合わせて柔軟にやり方を変えていくようにしています。

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── 日本におけるICの普及状況はいかがでしょうか。

少しずつ広がってきていますね。従来のやり方からアップデートしていきたいというベテラン監督から依頼をいただくこともありますし、若手監督からのオファーも最近増えてきました。監督デビュー作や、学生映画にも参加させてもらったり。リスペクトトレーニングやICが導入される以前の現場を知らない若い世代の人たちは「ICが入ることや、尊厳が守られることは当然」という意識の人も多いです。一度ICとして入ると、皆さん「いてくれて良かった」と言ってくれるので、最初の機会さえ頂ければその後も仕事が続くことが多いんです。

私が参加することで目指すのは、安全を守りながら作品の質を上げること。俳優の方からは「演技に集中できた」と大変感謝されるんですが、ICが一人いることで俳優の皆さんが仕事に集中できると考えるとすごい効果だと思うんです。名作には名演が必要不可欠なので、俳優の皆さんが不安なく演技に集中できれば、必ず作品は良くなると思います。ICが参加していることで、観る人の安心感も担保できますし、良いとこずくめだと思うんですよね。皆さんがそれを知ってくれれば、ICは今後もっと広まっていくのかなと。

ハリウッドの大手スタジオはインティマシーシーンには必ずICを入れるようにしていて、現在SAG-AFTRAもICを入れることを明確にルールとして設けようとしています。日本にもSAG-AFTRAのような統括的な組合があれば良いのですが、エージェントシステムのハリウッドと違い、日本は事務所に所属するシステムなので中々難しいですよね。

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── 世界的にもICは増えてきているのでしょうか?

増えていますね。アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアにICのトレーニングをしている機関が10箇所ほどあるので、そこで資格を取って私のように母国で仕事する人も大勢います。私と同じIPAでトレーニング受けたインドの方は、現在インド映画界でIC活躍の場を広げようとしていると聞いていますね。ハリウッドで#MeTooが起きた時にICの需要が大幅に増えたんですが、その際に1日か2日のワークショップを受けただけでICを名乗って問題が起きたこともあり、今ではSAG-AFTRAが「このスクールで資格を取ったICを我々は認めます」という認定制度を設けています。

役者の安全を守る表現と、制作現場の構築

── ICの浅田さんから観て、インティマシーシーンが上手いと思った作品はありますか?

Netflix制作ドラマ『セックス・エデュケーション』や、原作小説も大ヒットしたAmazon Original 映画『赤と白とロイヤルブルー』(2023年)は優れていると感じました。少し前だと映画『最後の決闘裁判』(2021年)も。ICが入っているのを知った上で観ているのではじめから安心感はあるのですが、描写にもリアリティがありますし、メッセージや見せ方も考えて作られていて。

映画『赤と白とロイヤルブルー』

ケイシー・マクイストンの同名ベストセラー小説を映画化し、アメリカ大統領の息子とイギリスの王子の恋の行方を描いたロマンティックコメディ。

赤と白とロイヤルブルー

映画『最後の決闘裁判』

エリック・ジェイガーによる「最後の決闘裁判」を原作に描くミステリー。600年以上前にフランスで行われた、決闘によって決着をつける「決闘裁判」の史実を基に、暴行事件を訴えた女性とその夫、そして被告の3人の命を懸けた戦いを映し出す。

最後の決闘裁判

2023年9月に最終シーズンが公開された『セックス・エデュケーション』は、キャストの人種もさまざまですし、LGBTQ+の役や下半身麻痺がある役にちゃんと当事者性のある俳優が起用されていいますし、描き方もとても丁寧で上手だなと。

Netflixドラマ『セックスエデュケーション』

セラピストの母を持つオーティスは、経験もないのに性的な知識だけは豊富な高校生。人付き合いが苦手な彼だが、問題児のメイヴに誘われ、2人で秘密のセックス相談クリニックを始めることに。

紹介リンクの画像

── 最近のハリウッドの流れとして、インティマシーなシーンを直接的に描かない作品が増えつつありますよね。

日本でも同様の考え方の人が増えてきてると思います。そういう"見せ方"についての相談を受けることもよくあるんです。これは見せなくとも表現できるのではないかとか、ここは露骨にしない方がいいといったことだとか。

一方で露骨に見せることにこだわりを持つ方もいますが、監督と俳優の間で同意がなされているのであれば、それは彼らの芸術だと私は考えています。ただ一応「こういう風に受け止められる可能性がありますよ」といったことはお伝えするようにして。どちらにしても、監督、プロデューサー、そして俳優が望む描写であれば、私はその撮影が安全にできるように徹底するだけなので。

── 是枝裕和監督はフランスや韓国での映画制作経験を日本の現場に取り入れていて、そのような先進的な映画作りをしているイメージがあります。最新作『怪物』(2023年)で浅田さんはどのようにお仕事をされたのでしょうか。

是枝さんの作品に参加したのは『怪物』が初めてですが、是枝さんが共同代表を務めておられるaction4cinema という団体で、『万引き家族』(2018年)の台本をもとに、この作品のインティマシーシーンでは事前にどういうことを俳優と話してどのような準備をするべきだったのかという勉強会を行わせていただいたり、業界改善のために尽力されている是枝さんとは様々な意見交換をさせていただいています。

『怪物』で、監督が危惧されていたのは子どもたちのことでした。セクシュアリティが関係する話なので、子どもたちがその部分をしっかり理解した上で、役と自分を切り離して演じてもらうにはどうすればよいかという話になりました。

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画像引用:映画『怪物』公式サイトより

そこで、子どもたちにきちんとした教育を受けてもらうことにしました。日本では、小学校4年生から性教育が始まりますが、今回の役を演じる上で必要な知識が不十分な可能性もありますし、覚えていない可能性も。なので、撮影前にもう一度しっかりと勉強してもらおうと、性教育の先生を呼んで教えてもらって。セクシュアリティに関してもLGBTQ+当事者の方を呼んで、子ども達だけでなく、スタッフにも知識をつけていただきました。そうして知識をつけることで、そのシーンで何が起きているのかを理解した上で演じてもらうようにしたんです。撮影はクローズドセットで行いつつも、わからないことや不安があればいつでも聞けるような体制を作りました。

後に続く人のため、轍を作っている真っ最中

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── 日本の映画制作現場は労働環境が大変なイメージがあるのですが、その点はやはり海外と比べるとまだまだなんでしょうか。

まだ大変ですね。映適※も始まりましたが、まだまだ浸透していませんし、やはり予算の問題で。予算がないから人件費を浮かそうと撮影期間を短くする。撮影日数を減らすから一日の拘束時間が増える。それで長時間労働になっちゃうんです。予算があれば俳優やスタッフも休息を取れて、ICも採用できて、より良い作品作りに繋がると思うんですが......もう少しお金があれば変わることってたくさんあると思うんです。

その点、アメリカは産業として成り立っているので、休みも取れるし、労働時間も決まっていて、安心して生活ができる。本当に羨ましいです。組合のルールで、1日に規定以上の時間撮影をする場合は残業代が出ます。残業代は通常の賃金より高いので、残業代をだしたくないプロデューサーは規定の時間内で撮影を終えようとする。結果、きちんと時間内に撮影が終わるんです。もしオーバーしても、高額の残業代が出るので不公平ではありません。これは現状の日本の映画界ではありえないことです。

あとアメリカでは撮影中、必ず温かい食事がとれます。それもルールで決まってるんです。温かい食事ってみんなちょっと幸せになれるじゃないですか。そういういろいろな部分が根本的に異なるんです。とはいえすべてアメリカ方式に合わせることが正しいとは思ってはいません。ここは違う国で、伝統や文化もあり、私たちだからこそできることもあると思うんです。ただ人権に関しては全世界共通で守られるべきものなので、自分なりに最低限死守しようと毎日動き回っています。

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── 浅田さんの働き方を守る人がまた別に必要ですね。

私は俳優の皆さんに「やりたくないことにはNOって言いましょう」と言ってるんですけど、自分のこととなると中々言えないんですよね。ギャラや休みの話とか。それはやはり、第三者がいないからなんですよ。ここでNOと言ったら次の仕事がなくなるんじゃないかとか考えてしまって。そこに第三者がいればきっと伝えられると思うんです。

そう考えると俳優と監督に第三者として入るICは、やはり重要な職業だなと思って。俳優も同じように考えていると思うんですよね。「ここで脱ぐことを断ったら次がないのでは」と考えたり。たとえ相手にそのつもりがなくとも、力関係があるとどうしてもそう感じてしまうんですよ。

日本におけるICのこれから

── 現状ICの資格は国外でしか取得できない状況ですが、その中で浅田さんは日本でICを広め後継を育てるための動きをされているとお伺いしました。

いろいろ課題がありまして。需要は確実に増えてきているので、どうしても現状の2人だと足りません。現在海外で資格を取るため勉強中の方もいるので、今後裾野も広がっていくと思います。ただ需要は増えているとはいえ、海外と比べるとまだまだ活躍の場は少ないですし、どの現場も予算が限られているので、どの程度増えていくかはわかりません。

なので今はとにかく仕事の幅を広げることに尽力しています。新しい制作会社や、映画・ドラマ、舞台以外からお話をいただくこともあり、常に前向きに検討させていただいています。私だけでなく、今後出てくるICの皆さんのためにもICの仕事の幅を広げて「次も使いたい」って思ってくれる人をとにかく増やそうとしているところです。

現状、日本には共通のルールがない、というのも難しいポイントですね。人によってICのやり方が違ってくると、監督や俳優も当惑しますよね。人数が増えてきたら日本で3年間培ってきた知識なども含め、IC間で認識や方法の共有もできればと考えています。とはいえ現状はそこまで手が回っていない状況ですが。

── 男性のICもいてほしい思うのですが、出てくるのはまだまだ先でしょうか。

海外にはいますし、私も男性俳優に対して「自分が男性ICだったらもっと話せるだろうな」とは思うので、日本でもぜひ出てきてもらいたいと思っています。ただ、例えば異性愛の物語でラブシーンがある場合、どうしても女性の方がケアする範囲が多いんですよね。なのでもし男性ICが増えたとして、異性愛のインティマシシーンをサポートすることは少ないです。

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いろんなジェンダー・アイデンティティを持つICが必要だとは思いつつも、国内にはまだそれだけの仕事や需要がありません。本当は作品に合わせて適当な方がいるのが一番良いと考えてはいて、例えばLGBTQ+を描く作品があった際に当事者のICがいればその人を紹介するつもりです。現状はLGBTQ+を描く作品でも私が入るのですが、その場合は監修として当事者の方にも入ってもらうようにコーディネートしています。自分でわからないことはプロや当事者の方に参加してもらうのが、一番皆さんの安心に繋がると思いますので。

── 最近だとLGBTQ+を描く作品をサポートする​​「LGBTQ+インクルーシブディレクター」という職業もありますよね。ICやそういう職業の方々が事前に参加していると公表した方が、作品側としてもメリットがあると思うのですが。

アメリカ映画はIMDb※で検索すると、撮影前のプリプロ段階でもスタッフに誰が参加してるかわかるんです。もちろん全員じゃないですけど。でも日本にはそういう細かい情報まで載っているサイトがない。ポスターやHPにもメインスタッフが載ってるくらいで、プログラムを買う以外に調べる手段がないですよね。私も事前に知りたいという声をよく聞くので、私は製作サイドの許可をもらった上で、自分が参加している作品は公表しています。 (浅田さんのHPに記載 : https://www.chihoasada.com/

── 観客としての一意見ですが、映画の冒頭で映倫マークと一緒にICマークが出るようになれば、その後も安心して作品を観られて嬉しいですね。

それは良いですね!いつかそうなってくれるよう、ICを広める活動を今後も頑張っていきたいと思います。

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