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''「SDGs」という言葉が生まれる前から、SDGs 的な活動をごく自然に実践してきた''、黒谷 友香さん〈ピースコミュニケーションな人々〉

    

TOKYO HEADLINE

2015 年 9 月の国連サミットで採択された「持続可能な開発目標(SDGs)」の達成に向け、世界中で多くの企業や団体、そして個人がさまざまな取り組みを見せている。そのなかでも次世代の子供たちのために SDGs のテーマの達成に向けて活動するのが「SDGs ピースコミュニケーション project」。「SDGs ピースコミュニケーション project」のメンバーにも名を連ねる女優の黒谷友香さんは「SDGs」という言葉が生まれる前から、SDGs 的な活動をごく自然に実践してきた人。黒谷さんが考える SDGs とは?

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── 黒谷さんは以前からごく自然に SDGs のテーマにあてはまる活動を行っている印象があります。

「そうなんです。最初は私も SDGs って何かを見て知ったのではなく、人と話していて"これからこういうものが出てくるよ"と聞いて"なんだろう?"と思ったところから始まりました。調べていくと、自分がやっていたことが当てはまる部分があるなとは後から気づいた感じです」

── 大阪出身。高校時代からファッションモデルとして活動し、女優としての活動をきっかけに上京しました。現在のような生き方やマインドになったのはいつごろからですか?

「デビューして間もなくのころから房総半島のほうに行っていまして、20 代前半で家は向こうにあったので、デビューして間もないころからこういう生活なんです。現在は東京と千葉での二拠点生活で、この二拠点生活も新型コロナの影響でリモートでお仕事をする方が増えたことで注目を集めることになったと思うんですが、先日『半島大使』のお仕事で紀伊半島に行かせていただいた時に、あちらで二拠点生活をしている女性と"昔からやっていたことが時代の流れで SDGs のカテゴリーの一つに当てはまるようになっているんですね"といったお話をしました。だけど、こういったことって皆さんも"やらなきゃ"という気持ちでなくても何かしらやられていますよね」

── 黒谷さんの活動や発言を聞いていると「nature」とか「casual」といった意味で「自然」とか「普段通り」といった言葉が浮かびます。

「この前、ある雑誌の取材が千葉のほうでありまして、普通にお話をしていたら、その編集の方が"すごい自然体ですね"とおっしゃっていたということを人づてに聞きまして"私は普通なんですけど"って逆に驚いたという感じでした(笑)」

── そういう考え方は子供のころからですか?

「結構、性格は変わったかもしれないです。昔はおとなしめというか、目立つのが得意じゃない子供だったと思います。スポーツもそんなに好きじゃなかったし。こんな感じになってきたのは、短大の時くらいからじゃないでしょうか。私は高校 3 年でモデルになったんですが、短大で出会って今でも友人として続いている子がいて、その子がまさにこういう感じ。それまでは普通というか、芸能界へのあこがれもない普通の大阪の子供でした」

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── SDGs におけるさまざまな問題の中には「○○をしよう」という前向きな活動もある一方で「○○をしてはいけない」という活動もあるように思います。後者の活動については考えすぎると息苦しさや閉塞感を覚える人もいるのではないかと思うのですが。

「私の場合は"気がついたらやっていた"というものが多いような気がします。逆に気がつかないで、いけないことをやっちゃってる時もあるかもしれないですけど(笑)。でも、この前、駿河太郎さんと環境省の仕事でインタビューを受けていた時の話なんですが、コンビニに行く時は自分のバッグを持っていくとかそういう基本的なことから難しく考えないでやればいいよねって話になりました。確かに SDGs は 17 の目標が一覧になっていたりして、これは何番に当てはまる、といったことは分かりやすいんですが"これをやろう"ではなく"これ、やってたね"のほうが皆さんも入りやすいというか続けやすいんじゃないかという話はしていました」

── 黒谷さん的な生き方って一番 SDGs にフィットしているのでは?

「最近、EV(電気自動車)にも乗っていますしね(笑)。やっぱり EV はいいですね。乗る前から環境にいいのは分かっていたんですが、乗っていて、例えば東京-千葉間とかを運転していても"二酸化炭素を出しちゃいけない"ではなく、人間が作り出した技術を使っているだけで環境にいいことをしているんだなと感じることができる。それは後付けなのかもしれないんですけどね。"何かしなければいけない"ではなくて、楽しいとか驚きとか感動のほうが先で、後から"ゼロカーボンになっているんだよね"と思う。そういう流れが多いですね」

── EV 以外で最近、自分の中で思う SDGs につながる活動ってどんなことがありますか?

「以前から乗馬倶楽部のお馬さんが出した馬糞を苺農園の方に渡して堆肥として使っていただいて、その苺を毎年食べさせていただいていたんですが、実は自分でもやってみたいと思っていて、それが今年やっとできたんです。

それはバイオマスの一つだと思うんですが、そういった考えで"やらなきゃ"と思ったのではなく、自分がかわいがっている馬たちが出した馬糞が堆肥になってガーデニングでも畑でも使えるんだったらやってみたい、と思っていたというのが先。バイオマスが SDGs のカテゴリーに入っているということは後から分かったことでした。

さらに植物たちへの愛着が増すし、かわいがった馬たちが出した馬糞で育てて、それをお茶にして飲んだり食べたりとかしていると循環を実感できる。馬糞堆肥はそういった面が一番大きいですね。無農薬の野菜を買うとか、道の駅に行って地元の地産地消を応援するとかも分かるんですが、一番やってよかったと思うのは馬糞堆肥で育ったものを飾ったり、食べたり、飲んだりということができて、うれしいということですね」

── そこまで馬糞に愛情を向けられるのもなかなか珍しいと思いますが...。

「馬って、疝痛といって、おなかが痛くなってウンチが出なくなると死んじゃうこともあるんです。馬が健康でウンチをしてくれるということ自体がすごく幸せなことということがまずあるんです。ウンチが詰まっちゃうと本当に危ない。それがあるから"今日もいいウンチを出してくれたね"とか"今日はちょっと軟らかいんじゃないの?"とか、そういう健康チェックもかねているんです。それを集めて捨ててもいいんですが、基本として"今日もちゃんと出してくれていてよかった"という思いがあるので、それで何かができるなら使ってみたいというのがあって、それが今年やっとできたので、すごくうれしくて(笑)」

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── 昨今、SDGs に関連して「幸福や健康という意味」を持つウェルビーイング(well-being)という言葉が使われるようになりました。個人のウェルビーイングが起点になり、個人と個人が交わる社会のウェルビーイング、そして社会がウェルビーイングな状態であるためには地球環境のウェルビーイングも抜きには語れない、というように定義づけされることが多いように思います。この「ウェルビーイング」についてはどういった考えがありますか?

「自分で"ウェルビーイングしてる"という感じではないんですよ。最初にある人が私に"黒谷さんってウェルビーイングな生き方をされてますね"と言ってくださったんでが、そこでもまた"ウェルビーイングって何?"って感じでした(笑)。そこから調べていって"そういうことか"と理解したんですが、でもそれぞれのライフスタイルの中で絶対に皆さんもウェルビーイングになっていると思うんです。私の場合、千葉に家があったりとかいろいろやっているので、そう思われることも多いのかと思います。なので、そういったことを分かりやすく伝える立場にあるのかなというのは最近思いますけど、私も勉強中です(笑)」

── "やらされている感"ではなく、そういうことができることこそがウェルビーイングなのかとも思いますが...。

「今の子供たちって、社会や親とかがすでに SDGs 的な考えでいますから、そういったものが当たり前という感覚で育っていくんだろうなと思うと、うらやましいなとは思います。
私たちって"何それ?"って感じじゃないですか。今まで便利なものを好きなだけ使ってきて、地球がこんなふうになっちゃったから"子供たちのために未来を"ということでさまざまな活動をすることで環境などを維持していかなければいけないということがやっと分かってきた。でも子供たちにとってそれが当たり前の世の中なので、そういう意味では"やらなければいけない"というよりも"そんなもんなんだろうな"という感じで育っていくんだろうなと思っていますけど」

── SDGs には女性やジェンダーに関する項目もあります。日本では「女性活躍」という言葉もあります。日本、もしくはアジアの女性が世界で活躍していくためにどんな知識、意識、または勉強などが必要だと考えていますか?

「実際には役割みたいなのは両方できるといえばできるとは思うんですけどね。母性とかそういったものだって、人によって個人差がありますから。男性がそこに入っても大丈夫というか、最近では主夫という形で多くの男性もやるようになっていますよね。

つまり、大部分がそうだったという時代が今、どんどん変わっていこうとしている。SDGsもゼロカーボンもウェルビーイングも女性の問題やジェンダーのことだって、今は変換期なのではないかと思います。気がついていたけれど気づいてないふりをして今までやってきたけど、今はそれを言ってもいいし、やってもいいし、変えてもいいしというような時期に来ているのではないかとは思いますけど。

最初は見慣れないとか知らないものには距離を取るじゃないですか。それをなくしていこうということ。みんながそれぞれのウェルビーイング、幸せを求めながらも地球規模でものを考えていこうとなると、もっと広めの視野でそれぞれの価値観を認め合うみたいなことがこれから必要なんじゃないかと思います」

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── 黒谷さんには以前「SDGs ピースコミニュニケーション宣言」をいただいてますが、ピースコミュニケーション、そしてウェルビーイングという観点からより良い世界にするために、もし何か一つ自由にアクションを起こせるとしたら何をしますか?

「難しいな(笑)。なんでしょう。もともとそういう発想で何かをやっているわけではないので...。ちょっとお話はそれるかもしれませんが、二拠点生活で感じることなんですが、クリエイティブな発想というものが鍛えられるのは、東京より刺激が多い千葉での生活のほうなんです。例えば自分で薪を割るとか、ランタンをつけるとか。ヴィンテージのものはすごく手間がかかるけど、逆にいうと、すごく今は便利になったんだなっていうのが分かる。
それは東京と千葉との差なんですが、それが面白いというか豊かな気持ちにつながっているのかなとは思います。

手間がかかるし、自分で作らないと何もない。こういうものを作りたいとか"あったらいいな"と思った時に、東京はほとんどのものがそろっていて買い物に行けば何でもあるし、お金を出せばなんとかなる、みたいなところがある。でも、心の満足度は私は千葉のほうがより深いんだろうなって思っています。馬との時間の共有といった、そういう財産のほうがうれしいというか自分を満たしてくれるという感じはすごくありますね。なので、こういう生活もいいもんですよ、ということを地味に伝えていこうかなとは思っています(笑)」

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