先ゆく女性はいるけれど、ロールモデルにしたいタイプではない。こんなときどうする?
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リーダーとして仕事をしていれば、必ずぶつかる
コミュニケーションや人間関係の問題。
相対する人も違えば、状況もさまざまで、
「こうすれば正解」がないのが
難しいところです。
そこで、
リーダーとして働く女性が実際に体験した
コミュニケーションの課題と
それに対するアクションを
ケーススタディとして紹介。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
とある自治体で課長補佐を務めるりん子さん。前例踏襲が多い職場で、ロールモデルと呼べる人もいない状況のなか、りん子さんが自分なりのリーダー像を作り上げてきた経緯とは?
ニックネーム:りん子(50代)
◆職種:自治体保健師
◆チームメンバーの人数:8人
生まれ育った街を離れ、とある自治体で保健師として勤務。明るく前向きな性格で、チャレンジャー。前例踏襲が多い環境のなかに新しい風を巻き起こしている。
前任の女性は自分とは違うタイプで、真似はできない.........
課長補佐という立場になったのは7年前。前任者は、入職当初から尊敬していた女性の先輩です。頼りがいのある人でしたが、下には「あれはダメ、これはダメ」とはっきりものを言うタイプで、目上の人にも忖度しないため、敵を作りやすい人でもありました。
男性優位な環境のなかで、リーダーとして強く突き進む彼女のことを尊敬こそしていましたが、決して真似することはできないと感じていました。私は周りの人を巻き込みながら、明るく自由に働きたいタイプ。先輩をロールモデルとするのではなく、私は違う路線を行きたい、自分なりのリーダー像を見つけていきたいと思っていました。
私だからこそできる、リーダーシップの取り方を探って
先輩が、ズバッと的確に是非を判断したり、「こうして見たら?」と具体的なアドバイスができていたのは、経歴が長くなんでも知り尽くしている人だったからこそです。
私は、今の部署での経験は浅く、まだまだわからないこともありますし、先輩のようには思い切れません。頼りないと思われている部分もあるかもしれませんが、だからこそ、メンバーの力を借りて、お任せできるところはお任せするようにしています。
そのようにしていたら、あるメンバーから「りん子さんがリーダーになってから自由度が高まりました」と言われました。前任者にダメだと言われて一度引っ込めたアイデアを、「やっぱりやってみたい」と私に提案してくれたんです。
私は、自分の弱さをみんなに拾ってもらいながらも、みんなの意見を吸い上げて実現するために尽力するリーダーで在りたいと考えています。
前例踏襲はしない。この先に進むために、果敢にチャレンジ
私自身、昔から新しもの好きで、トレンドを取り入れるのも大好き。自治体の仕事は前例踏襲が多いのですが、同じ仕事をただ繰り返していてもつまらないですし、新しいことにも挑戦しないと前に進んでいかないと思っています。
そうは言っても、いざ「みんな〜!」って後ろを振り向いたら誰もいない......なんていう不安も(笑)。そんなときは「一緒にやってみようよ」と、無理やり1人だけでも引っ張ります。
結局予算が認められなくて、実現できないことだってあります。でも、そこに至るまでの過程が今後の糧になると思うんです。いろんな人に電話をかけたり、お会いしたりしてお世話になるなかで、新しいつながりが生まれていく。そういったご縁のひとつひとつを大切にしています。
周りはこの町で生まれ育った人がほとんどですが、私は別の市町村の出身。何のしがらみもないので、怖いもの知らずになれている側面はあります。長年住んでいても、心のどこかでやっぱり「自分はこの町の人ではない」と感じることがあるんです。私はそれが自分の強みになると思っています。
前例踏襲ではない挑戦は砕けることも多いけれど、ダメだったからこそ次に進めるということもあると思います。青くさいですが、「もっと良くなる!」と思いながら、果敢に続けていきたいです。
元記事はこちら
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「2030年、もう"女性活躍"とは言わせない」を合言葉に、私たちは組織の女性ミドルマネジメントが抱える「課題」と「ストーリー」を記事化し、彼女たちやそれに続く人たちが、ときに一緒に泣いて怒って笑って、元気が出る発信をnoteでしています。日本や世界の働く女性の現状を知り、多くの方に周知するため、専門家や企業への取材も行っています。
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イラストレーション 高橋由季