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サケもイカもピンチ!? おいしい魚を未来へつなぐ「新しい魚の選び方」

    

さかなの日

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写真提供:Kais kitchen

「魚へん」の漢字と言えば?

魚へんの漢字をあなたは何個思い出せますか。
鮪、鰹、鯖、鮭、鱈・・・結構思い出せるのではないですか。
思い出せなかったあなたも、以下のイラストを見れば、あ~!と思い出すはず。

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お魚漢字ポスター 出典:公益社団法人 日本水産資源保護協会

こんなにたくさんの魚の漢字があるのは、私たち日本人がたくさんの種類の魚を食べてきたからこそ。日本周辺には3,000種を超える魚が生息する、豊かで多様性のある海が広がっています。この多様性こそが日本の海の特徴。その味わいも多様で、各地にはおいしいローカルフードが根付き、独特の食文化も築かれています。

ピンチ!海水温の上昇で、サケもイカもとれない!

しかし、いま、日本周辺の海はピンチを迎えています。日本近海の海水温は、およそ100年間で1.28℃上昇しました。世界平均の0.61℃よりもずっと高い上昇率です。
その影響は、海の生き物にも。繁殖の条件が悪化したり、分布する場所が変化したことなどから、スルメイカ、サンマ、サケといったおなじみの魚の漁獲量が激減しています。

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出典:水産庁「令和5年度 水産白書」

このような資源は、漁獲してよい量を決めたり、種苗(魚の子ども)放流するなど、資源を増やす努力が行われています。

温暖化に適応する!

海洋環境と、それに伴う水産資源の分布域の変化は著しい速度で進んでいます。この現状においては、環境変化に適応していくという方法もあります。水産業界でも温暖化の影響に適応する、さまざまな新しいムーブメントが起こっています。
例えば、ブリ。2023年の都道府県別の漁獲量第1位は、北海道なんです。(ちなみに、15年前の2008年の漁獲量第1位は石川県、北海道は第24位でした)。北海道と言えばサケやイカを思い浮かべる人が多いでしょう。そのため、ブリを食べる文化も流通させる技術もなかったのですが、丁寧な活き締め処理などによって、その価値を高めてブランド化し、国内外のレストランに提供したり、ふるさと納税の返礼品や地域のイベントの目玉として地域経済の起爆剤にしようという取組が進んでいます。

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北海道におけるブリの漁獲量(単位:トン) 出典: 北海道「北海道水産現勢」

実はおいしい、ヒトクセもフタクセもある魚

海洋環境の変化や産地の変化への適応に加えて、「低・未利用魚」とも呼ばれる、なじみがない魚やヒトクセもフタクセもある魚の価値を高める取組も盛んになってきています。
黄緑色で平たいボディに、なんだかユニークな顔のシイラ。鮮度管理も難しく、日本ではあまり食べる習慣はなかったけれど、ハワイでは昔からずっとマヒマヒと呼ばれる人気の魚。最近、海洋環境の変化で分布域が広がる中で、日本でもそのおいしさが徐々に広まり、回転寿司や道の駅でも提供されるなど、人気急上昇中です。

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シイラ(マヒマヒ) Ⓒぼうずコンニャク
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ハワイのマヒマヒ料理 画像:アフロ

ノリやアサリを食べるクロダイ、海藻を食べてしまうアイゴ。どちらも海洋環境の変化に伴い分布が広がっていますが、磯臭いというイメージもあり、厄介者扱いされていました。こうしたヒトクセもフタクセもある魚たちも、時期と処理の仕方を選べば、とてもおいしい。漁業者、加工・流通業者、小売業者が協力して、新しい食べ方の提案や商品開発を進めています。

参考:「クロダイがアサリを食い尽くす!?」俳優・松下奈緒さんも参加した、知ることからはじめる食害対策

サストモ編集部

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余談になりますが、こうした低・未利用魚の価値創造とともに、温暖化に対応した環境保全の取組も盛んです。海藻・海草が生い茂る藻場は、産卵や幼魚の生育場としてその重要性は古くから知られてきました。加えて、近年は、二酸化炭素の吸収に役立つ「ブルーカーボン」の機能も注目されており、漁業者を中心に藻場の保全や再生の取組が進んでいます。

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長崎県の藻場 写真提供:長崎大学(Gregory N. Nishihara)

魚を食べ続けるために、魚を食べる?!

では、私たち消費者が、おいしい魚を食べ続けるために何をしたらいいのでしょうか?
その答えであり、キーワードとなるのは、いろいろな魚を食べることです。

産地でとれた魚があなたの口に届くまでに、以下のように、 とても多くの人が関わっています。
鮮度をキープするために漁業者が活き締めし、氷で締め、輸送される間も店頭でも保冷されています。どの工程が一つ欠けても、美味しい魚を食べられません。
私たちが魚を食べなくなり需要が減ると、魚の価格が下がり、漁業者が魚を取りに行くのをやめてしまうかもしれません。漁業者が魚を取るのをやめてしまうと、ますます消費量が下がりドンドン悪循環に陥ってしまいます。私たち消費者も、日本の水産業を支えるチーム員なのです。

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こうした中、水産庁では、毎月3日から7日を「さかなの日」、11月3日から7日は強化週間として「いいさかなの日」と定め、 もっとさかなを食べようというキャンペーンを行っています。

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「さかなの日」は、「さかな×サステナ」をコンセプトにしています。
魚は、良好な環境さえあればたくさん子どもを産んで自然に増えるので、とりすぎず、良い環境を保つことで、食べ続けることができる、持続可能な資源なのです。

また、産卵時期の魚や漁獲量が減少した魚を取り控えるなどして資源管理に取組むとともに、前述のように、低・未利用魚の有効活用も進められています。また、地産地消の動きも活発化しています。地元でとれた地魚を選択すれば、輸送に必要な燃料等を減らすことに繋がり、地球温暖化の軽減にもつながります。

最近では、資源の持続性に配慮した水産物であることを示す「水産エコラベル」マーク商品も普及してきています。水産エコラベル付きの魚を購入することで、水産資源の持続的利用や環境保全にも貢献することが出来るというわけです。

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参考:このマークがついた魚なら大丈夫!「MSC/ASC」を知り尽くす7つの視点

サストモ編集部

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スーパーの売り場、飲食店のメニューを意識して見ると、実はたくさんの種類・産地の魚が並んでいることに気づくはずです。
ネットで検索したり、お店の人に聞けば、魚の種類ごとに美味しい食べ方を知ることができます。いつも食べている魚だけでなく、見慣れない魚やその加工品にも、多くの人の想いや努力が込められていることもわかります。

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鮮魚店の売り場(写真提供:魚力)

私たち消費者が魚を食べることが、水産業を支え、食文化を支え、そして、持続的な水産物利用につながっていきます。
おいしい魚を未来につないでいくためにも、多様な魚を味わい、楽しんでみませんか。

\ さっそくアクションしよう /

ひとりでも多くの人に、地球環境や持続可能性について知ってもらうことが、豊かな未来をつくることにつながります。

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