あなたはどのタイプ? Z世代就活生の3タイプを徹底解剖! 7割以上が環境に悪影響のある企業を避けるZ世代の就活事情
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目次
- 7割が「環境配慮型の企業」に魅力を感じるZ世代
⚪︎Z世代は就活に環境意識をどう反映させているのか?
⚪︎Z世代の約7割が企業の環境への取り組みに敏感 - Z世代の就活スタイルを解剖! 環境意識で見る3タイプ
⚪︎環境に悪影響のある企業を避ける「スマートバランス就活生」
- SNSがZ世代の就活生に与える影響
- まとめ
<調査概要>
調査主体 :Earth hacks株式会社、株式会社seamint.
調査方法 :LINEリサーチ プラットフォーム利用による調査
調査対象者 :全国22〜25歳の就活経験者
有効回答数 :300名
調査期間 :2024年11月27日〜11月29日
その他、座談会を開催し、Z世代3名から意見を収集
なお、今回の調査では1999年生まれから2002年生まれのZ世代を対象として実施しました。
近年、Z世代の「環境問題」や「サステナビリティ」への意識が、就職活動にも影響を及ぼしていると考えられています。
デジタルネイティブとして育ち、気候変動や資源枯渇といった地球規模の課題を身近に感じてきた彼らは、企業選びにおいてもその価値観を反映しています。
本記事では、Z世代の就活生が「環境」をどのように意識しているのか、そして彼らが企業に求めるものは何かを探ります。
7割が「環境配慮型の企業」に魅力を感じるZ世代
Z世代は就活に環境意識をどう反映させているのか?
Z世代は他の世代と比較して「環境問題」や「サステナビリティ」への意識が高いと言われています。
Z世代は社会科や体験学習でエコ教育を受けており、2020年度からは学校教育の場でもSDGsが学習指導要領に加えられています。気候変動や資源枯渇といった地球規模の課題を、学校やSNSなどを通じてリアルタイムで目にして成長してきた彼らは、就職活動においてもその価値観を反映させているようです。
Z世代の約7割が企業の環境への取り組みに敏感
デカボLabの調査によると、「環境に配慮する企業を魅力的に感じるか?」という質問に対し、15.7%が「とても魅力的に感じる」、54.3%が「ある程度魅力的に感じる」と回答しました。これにより、7割以上の就活生が環境に配慮している企業に魅力を感じていることが分かります。
さらに、「企業の社会的責任として環境問題に取り組むべきだと思うか?」という質問では、24.0%が「強く思う」、57.7%が「やや思う」と回答。8割以上の就活生が企業には環境問題への取り組みが求められると考えていることが明らかになりました。
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続いて、Z世代に「環境に悪影響のある製品やサービスを提供している企業を避けたいと思うか?」と尋ねたところ、23.7%が「避けたいと思う」、46.7%が「どちらかというと避けたいと思う」と回答し、7割以上が「避けたい」と考えていることが分かりました。
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デカボLabの調査では、Z世代が企業選びで重視する要素として、「福利厚生」「職場の雰囲気」「社員の働きやすさ」など、直接的な利便性や働きやすさに関連する項目が上位に挙がっています。
一方で、「環境問題への取り組み」は上位に位置しないものの、同時に「環境に悪影響のある企業を避けたい」と回答する割合が高いことから、Z世代の就活において、「環境を理由に企業を選ぶ」よりも、「環境に悪影響のある企業を避ける」という姿勢が顕著であることがわかります。この傾向は、環境問題への意識を持ちながらも、現実的な就職条件を重視するというZ世代のバランス感覚を反映していると考えられます。
これらの結果から、Z世代は実利的な要素を優先しながらも、企業の環境問題への姿勢を無視しているわけではないという複雑な価値観が浮かび上がります。
中でも、「環境への取り組みよりも、福利厚生や職場の雰囲気といった実利を重視しつつも、環境に悪影響を与える企業は避けたい」と考える層の存在が浮かび上がっています。
Z世代の就活スタイルを解剖! 環境意識で見る3タイプ
デカボLabは、Z世代の就活生を調査・分析した結果、独自の視点から環境意識の程度に応じて以下の3タイプに分類しました。
1.グリーンアクティブ就活生
環境問題を最優先に考え、環境に配慮した企業を積極的に選ぶ層。
2.スマートバランス就活生
実利を重視しつつも、環境に悪影響のある企業は避けたいと考える層。
3.リワードファースト就活生
環境意識よりも報酬や条件を優先する層。
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今回デカボLabが特に注目したのは、2つ目の「スマートバランス就活生」です。この層は、環境意識と現実的な就活条件のバランスを取る姿勢が際立っているのが特徴です。
環境に悪影響のある企業を避ける「スマートバランス就活生」
そこで、実際にZ世代の就活生に話を聞いてみました。
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デカボLab朝比奈
企業選びの際、環境やサステナビリティの観点を意識することはありましたか?
A.Mさん
環境問題の解決を目的にキャリアを選ぶまでの意識はありませんでした。ただ、環境に負荷の高い事業を展開している企業にはマイナスイメージを持っていて、志望先からは自然と外れていましたね。最終的に入社を決めたのは、コンサルティングファームです。自分で事業を立ち上げるよりも、事業をサポートする立場で働きたいという思いがあったからです。
デカボLab朝比奈
環境に負荷の高い事業にマイナスイメージを持っていると気づいたきっかけはなんですか?
A.Mさん
志望企業を決めるとき、ニュースやSNSで環境に悪いイメージがある企業は避けるようにしていました。友人がインスタで発信している企業の環境問題や不祥事を見て、「この会社はやめておこう」と考えたこともあります。
デカボLab朝比奈
キャリアと社会貢献の両立について考えたことはありましたか?
A.Mさん
私は、労働時間の一部を社会課題の解決に使う取り組みに魅力を感じ、それが入社の決め手となりました。具体的には、子どもたちの教育格差の是正や女性の働き方改革といったテーマに企業が取り組んでいる点が、特に共感できるポイントでした。
社会課題の解決のために起業したり、そのためだけに就職するほどの勇気はありませんが、自分の目指すキャリアを実現しながら、少しでも社会に貢献できるのであれば、ぜひ挑戦してみたいと思ったんです。
デカボLab朝比奈
貴重なお話をありがとうございました!
このように、Z世代の就活生は、環境やサステナビリティへの取り組みを企業選びの重要な要素として捉える一方で、具体的な情報や信頼性を重視し、自らの価値観と現実的なキャリア形成をバランスよく両立させようとしています。
SNSがZ世代の就活生に与える影響
また、Z世代の特徴として挙げられるのが、就活においてもSNSを巧みに活用している点です。そのため、デカボLabではSNSと就活の関係性についても調査を行いました。
「SNSやニュースで企業の環境問題に対する批判が出た場合、その企業への志望度にどの程度影響するか?」という質問に対し、「非常に影響する」と回答した人は12.3%、「やや影響する」は46.0%でした。約6割の就活生がSNSやニュースで批判を受けた企業を避けたいと考えていることが明らかになりました。
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これは、Z世代が「ネガティブ情報が可視化される時代」に生きている影響が大きいと考えられます。SNSでは、批判的なニュースやネガティブな情報がポジティブな情報よりも拡散されやすい傾向があり、企業の過去の不祥事や環境問題に関する批判が、検索しなくても目に入る状況を生み出しています。
こうしたネガティブな情報は「世論」として捉えられることが多く、就活生に「多くの人が避けているから自分も避ける」という心理が働く要因となっています。その結果、SNSで批判を受けた企業は敬遠される傾向があり、就活生は企業を選ぶ際に「ネガティブチェック」を行うことが一般的になっています。
まとめ
・環境意識の高いZ世代の就活観
Z世代は環境問題に高い関心を持つ一方で、現実的な要素とのバランスを重視する傾向があります。特に、環境に悪影響のある企業を避ける意識が強く、企業選びにおいて重要な判断基準となっています。
・約7割が「環境に悪影響のある企業を避けたい」と回答
約7割のZ世代が「環境に悪影響のある企業を避けたい」と考えていることが明らかに。環境意識が企業選びに影響を与えている一方で、福利厚生や職場環境といった実利的な要素を優先する層も多く見られます。
・SNSの影響で企業への印象が大きく左右される
SNSやニュースで環境問題に対する批判が拡散されると、約6割の就活生がその企業を避ける傾向にあります。SNSによってネガティブな情報が目に入りやすい現代において、Z世代は「ネガティブチェック」を重要視しています。
・Z世代の特徴を捉えた企業の対応がカギに
Z世代は、企業の環境への取り組みに対して具体的な情報と信頼性を重視しています。SNSにより、批判的なニュースが拡散されやすい時代背景の中、企業の不祥事や環境問題に関する情報が容易に目に入るため、Z世代の企業選びに大きな影響を与えています。
Z世代とサステナブルな未来をつなぐ「デカボLab」
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デカボLabは、Z世代の生活者に焦点を当て、彼らのサステナブルな取り組みや行動、トレンドに関する深いインサイトを提供する情報発信のプラットフォームです。
私たちは、Z世代が持続可能な未来に向けて、実際にアクションを起こすためのきっかけを提供し、彼らが楽しく取り組めるような内容を発信していきます。
リサーチャーからのコメント
Z世代のサステナブルに関するインサイト・ ⾏動・トレンドをリサーチするために、リアルなZ世代の動向を把握する多様なリサーチャーをテーマ毎に迎え、定性・定量の観点から研究活動を展開します。
今回のリサーチ結果について、リサーチャーからのコメントを掲載します。
LINEヤフー株式会社MSカンパニー事業開発部 藤田航平
私は1995〜96年生まれの世代ですが、就職活動をしていた当時は「環境への配慮」を企業選びの基準に掲げる学生は自分の周りにはいませんでしたし、私自身も考えたことはありませんでした。
一方で、ESG投資の世界的な広がりによって環境負荷の高い企業が投資家に敬遠され、一般消費者の間でも、商品を選ぶ際に企業の環境への配慮を重視する動きが強まっている社会全体の変化を踏まえると、
今の就活生が選社軸に環境意識を取り入れるのは、むしろごく自然な流れだと感じます。
結果として、企業側の環境対策はさらに加速し、就活生にとっても「一消費者としての自分の生活」を見直し、サステナビリティや脱炭素を自分ごととして捉える機会になると思います。
たった数年で就活生の価値観にまで変化が起きるスピード感には驚きますが、こうした動きが広がっていくのは非常にポジティブなことだと思います。
株式会社博報堂 PRプランナー 保科遥香
数年前の就活といえば、名の知れた大手企業から"選ばれる"ために、学生がこぞって「ガクチカ(学生時代力を入れたこと)」を練り、倍率戦争を勝ち抜くというイメージがありました。あらゆる業界で人手不足が叫ばれ、売り手市場である現在は、学生が多様な価値観の下に企業を"選ぶ"時代になっています。
企業選びの基準として「自らにとってネガが少ない職場環境か?」を意識するZ世代は、環境問題などの社会課題への向き合い方にも関心が高いことが分かりました。事業内容から少し距離がある環境問題への取組は、企業を語る際についつい"サブ"要素と捉えてしまいがちですが、Z世代にとっては企業人格を判断する重要な指標の一つであることを忘れてはならないと感じました。
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