サステナギフトで、贈り物にストーリーを。Z世代が共感する、想いを添える新しい選び方

サステナブルなものを「贈る」という選択肢が、少しずつ広がり始めています。
「サステナブル」というと少し難しく感じるかもしれませんが、デカボLabの調査によると、最近では「もらってみたい」「贈ってよかった」というリアルな声も増えてきているようです。
この記事では、実際にサステナギフトを選んだ人ともらった人の体験談や、人気のアイテム、選び方のヒントをご紹介します。さらに、Z世代を中心としたプレゼント事情や価格帯の傾向、専門家の視点から見たサステナギフトの可能性にも迫ります。
<調査概要>
調査主体 :Earth hacks株式会社、株式会社seamint.
調査方法 :LINEリサーチ プラットフォーム利用による調査
調査対象者 :東京都、埼玉県、千葉県、神奈川県在住の18歳~29歳
有効回答数 :300名
調査期間 :2025年4月10日~4月11日
その他、座談会を開催し、Z世代3名から意見を収集
なお、今回の調査では1996年生まれから2007年生まれのZ世代を対象として実施しました。
目次
- プレゼント選びに新しい視点。「サステナギフト」という選択肢
- みんなが選んでいる「サステナギフト」って?リアルな声を紹介
- もっと知りたい!専門家に聞く、サステナギフトの世界
- 贈るのは、モノだけじゃない。サステナギフトという選択
- まとめ
⚪︎調査から見えた、Z世代の「サステナギフト」への関心
⚪︎なぜ今「サステナギフト」? 注目される3つのポイント
プレゼント選びに新しい視点。「サステナギフト」という選択肢
プレゼント選びは、相手を想う楽しい時間である一方、時には悩ましくもあるものですよね。「ありきたりなものは避けたい。」「本当に喜んでもらえるものを選びたい。」「できれば、自分のセンスや個性も、さりげなく伝えられたら...!」
そんな気持ちに寄り添う新しいヒントとして、今、サステナギフトという選択肢に注目が集まっています。
調査から見えた、Z世代の「サステナギフト」への関心
デカボLabが行った調査によると、サステナブルな商品を普段あまり購入しない人は62.7%と多数を占めています。その一方で、「サステナブルな商品をプレゼントでもらったことはないが、もらってみたい」と回答した人は、約3人に1人(33.7%)にも上るそうです。
実際に「もらったことがある」という人はまだ3.3%と少数派ですが、潜在的な関心の高さがうかがえます。

なぜ今「サステナギフト」? 注目される3つのポイント
「サステナギフト」が注目される背景には、私たちの気持ちに寄り添ういくつかのポイントがあるようです。
ポイント1:背景にある「ストーリー」が、想いを伝えるきっかけに
作り手の想いや社会への配慮などのストーリーが詰め込まれたサステナギフトは、選んだ理由が自然と伝わりやすく、相手の心にも届きやすいといわれています。
ポイント2:センスの良さが伝わる品質とこだわり
サステナブルな商品には、素材や製法にこだわった上質なアイテムが多く、おしゃれで実用的。さりげなく、センスの良さを伝えるきっかけになるかもしれません。
ポイント3:自分も相手も、少し良い気分に。「貢献感」というスパイス
「環境や社会にいいことをしているかもしれない。」そんな小さな実感が、自分にも相手にも心地よさをもたらしてくれます。
Z世代が持つサステナギフトへの関心について、詳細を知りたい方はこちらをご覧ください。
9割が悩むプレゼント選びに、新しい視点! Z世代の声から探る「サステナギフト」の選択肢
デカボLab

みんなが選んでいる「サステナギフト」って?リアルな声を紹介
実際に「サステナギフト」をもらった人や選んだ人は、どんな体験をしているのでしょうか。リアルな声をご紹介します。
CASE 1|もらった人の声:「使うたびに、贈ってくれた人を思い出します」(山根さん・20歳)
山根さん
親戚から「洗って何度も使えるおしゃれなストロー」をもらいました。アルバイト先のカフェに、このストローを持っていきます。
以前はプラスチックのストローを何気なく使っていたことを思い出すと、「ちょっと地球に優しいことしてるかも」と感じますし、何よりプレゼントしてもらった時の嬉しい気持ちを思い出して、使うたびに心が温かくなります。

日常使いの中で、さりげなく「いい選択」を意識できるのも魅力のひとつだそうです。
CASE 2|贈った人の声:「プレゼントした友人からリピートしたいと言われました」(島さん・20歳)
島さん
友人にオーガニックコットンのタオルをプレゼントしました。
肌触りを気に入ってくれて、「同じブランドでバスタオルも買おうかな」と言ってくれてうれしかったです。他にも、エコバッグや竹製のマッサージローラーを贈ったことがあります。

品質の良さが伝わると、サステナブルな選択が自然に広がるきっかけになるようです。
ちなみに、調査によると、若い世代では年に数回ほど友人にラッピングされたプレゼントを贈る機会があり、予算は1,000〜6,000円程度が中心のようです。特に「1,000〜3,000円」「3,000〜6,000円」の価格帯が、それぞれ3〜4割を占めていることがわかりました。

この価格帯でも、素敵なサステナギフトは選べるのでしょうか?専門家に聞いてみました。
もっと知りたい!専門家に聞く、サステナギフトの世界
今回は、株式会社Gab 代表取締役 CEOで、「エシカルな暮らし」も手がける山内萌斗さんにお話を伺いました。サステナブルな商品に精通する立場から、サステナギフトの魅力や選び方のヒントを教えてくれました。

── 「サステナブルな商品」と「ギフト」は、相性が良いものなのでしょうか?
山内さん
とても良い組み合わせだと思います。理由は主に2つあります。
まず、価格帯の面です。エシカルな商品は、素材や製法にこだわる分、どうしても少し高価になることがあります。日常使いには手が出しづらいと感じるものでも、プレゼントなら"ちょっと良いものを"と選びやすいですよね。
そしてもう一つは、ストーリー性。商品の背景にある作り手の想いやこだわりは、ギフトとして相手に伝えやすく、自然に「この商品をプレゼントとして選んだ理由」を語ることができます。それが、相手を思いやるというギフトの本質と、とても相性がいいと感じています。
さらに、受け取る側も「プレゼント自体も嬉しいし、環境にいいことにもつながってるかもしれない」と思えることで、満足度がより高まるのではないでしょうか。
── どのような方がサステナギフトに関心を持っているのでしょうか? やはりZ世代が中心ですか?
山内さん
Z世代は学校教育などを通じて環境問題や社会課題に触れる機会が多く、サステナブルな価値観に対する感度が高い傾向があり、非常に大きなポテンシャルを持つ世代だと感じています。
実際に私たちが運営する店舗でも、お菓子や雑貨など比較的手に取りやすい価格帯の商品をきっかけに興味を持つZ世代の方が多い印象です。

山内さん
一方で、自分へのご褒美として2〜3万円のアップルレザー(廃棄りんごを活用した新素材)製のリュックなど、やや高価なアイテムを選ぶ方もいます。特に、ご家族やお子さんの未来を意識するZ世代の方々は、サステナギフトを自分ごととして捉え、より関心を寄せているように感じます。
── 具体的にどのような「サステナギフト」があるのでしょうか? 選ぶ際のポイントも教えてください。
山内さん
たとえば、スニーカーの「オールバーズ」はよく知られていますね。"世界一履き心地の良いスニーカー"というユーザーメリットを打ち出しつつ、素材のカーボンフットプリントを極限まで減らし、CO2削減にも貢献できる点が特徴的です。
そのほかにも、フェアトレードのチョコレートやお菓子、オーガニックコスメ、リサイクル素材を使った雑貨など、ジャンルを問わずさまざまなサステナギフトが広がっています。
── 山内さんおすすめのサステナギフトをいくつか教えてください!
山内さん
おすすめしたいアイテムがいくつかあるので、ご紹介しますね。
まずひとつ目は、chakaraというブランドのアイテムです。
地場の廃棄物を活用して作られた、お茶由来の高品質な合成皮革を使っているのが特徴です。コンセプトに面白みがあるので話題にしやすく、プレゼントとして渡すときのちょっとしたネタにもなります。
ギフトとして選ばれる理由としては、すでに似たようなものを持っている方でも、仕事以外のカジュアルなシーンで使いやすい汎用性があること。今回ご紹介しているカードケースや印鑑入れは価格が5,500円ですが、仲間内で割り勘して贈るような場面も多く、1人あたり1,500円前後ならちょうどよいという声もあります。
お酒好きな方に贈りたいアイテムとしておすすめなのは、酒ハックというブランドの「熟成ボトル」と「ミズナラ銘木」。
これはお酒を贈るのではなく、すでに手元にあるお酒を自分で熟成・アレンジできるアイテムです。相手の好みに合わせる必要がなく、プレゼントとして気を使わずに選びやすいのが魅力です。
他にも酒ハックの商品で、「天竜トンネル樽熟成コーヒードリップバッグ」という商品もおすすめです。
コーヒー好きの方に向けたギフトとして人気で、樽やトンネルで熟成させるという独自のプロセスが付加価値になっています。もし味が合わなかったとしても、その体験そのものがユニークで、他のコーヒーギフトと被りにくい点が選ばれている理由です。

山内さん
選ぶ際のポイントは、まず相手が何を求めているか、どんなことに関心があるかを想像してみることです。その上で、商品の背景にあるストーリーや作り手のこだわりに共感できるものを選ぶと、より想いの伝わるギフトになるのではないでしょうか。
── ギフトにおいては、パッケージも大切な要素になる印象があります。
山内さん
エシカルな観点では、簡易包装が望ましいという考え方もありますが、ギフトの場合はやはり心が躍るような可愛い包装を喜んでいただけることが多いと感じます。最近では、環境に配慮しつつもデザイン性の高い、魅力的なギフトパッケージを用意するブランドも増えてきました。
サステナブルな商品がもたらす社会課題解決に対してのポジティブなインパクトと、パッケージ資材による環境負荷を比較したときに、「商品が手に取られることで生まれる良い循環」がそれを上回るよう、企業はさまざまな工夫を重ねています。

贈るのは、モノだけじゃない。サステナギフトという選択
山内さんは「まずは日常の中で、ほんの1割だけサステナブルなものを取り入れてみるくらいの気軽さでいい」と話します。何かひとつ行動を変えてみることで、自然と意識も変わっていくものです。
サステナギフトを選ぶことも、そんな小さな一歩のひとつかもしれません。たとえば、かわいいと思って手に取ったものが、たまたま地球にやさしかったり、大切な人を思って選んだギフトが、作り手の応援につながっていたり。そんなストーリー性を持ったサステナギフトだからこそ、無理なく楽しみながら選べるかもしれません。
今回の調査でも、「サステナブルな商品をもらったことはないが、もらってみたい」と答えた人は約4割にのぼりました。魅力的なデザインやパッケージが、関心を持つきっかけになっているという声も多く聞かれます。
サステナギフトは、モノを贈るという行為に、贈る人の気持ちやセンス、そして未来への小さな希望を乗せて届ける、新しい贈り物のかたちとして注目されています。
そんなギフトのあり方を、プレゼント選びの選択肢として考えてみてはいかがでしょうか。
まとめ
・約3人に1人が「もらってみたい」と回答
「サステナブルな商品をプレゼントでもらったことはないが、もらってみたい」と答えた人が33.7%。「もらったことがある」は3.3%にとどまったものの、潜在的な関心の高さが浮き彫りに。
・若い世代でもプレゼントとして手が届きやすい価格帯のサステナギフトも
若い世代では年に数回プレゼントを贈る機会があり、予算は「1,000〜3,000円」「3,000〜6,000円」がそれぞれ3〜4割。サステナギフトはこの価格帯でも十分に選択肢がある。
・実際の声から見える「記憶に残る」「使い続けたくなる」体験
ストローやオーガニックタオルなど、継続的に使えるアイテムは、贈り手の気持ちが日常の中で思い出されやすい。「使うたびに心が温かくなる」「リピートしたくなった」といった声も。
・Z世代はサステナブルな商品の背景やストーリーに意味を見出す
山内さんは、「学校教育などを通じて環境問題や社会の多様性に触れる機会が多く、背景にあるストーリーに特別な意味を感じやすい」とコメント。サステナギフトへの親和性の高さがうかがえる。
Z世代とサステナブルな未来をつなぐ「デカボLab」

デカボLabは、Z世代の生活者に焦点を当て、彼らのサステナブルな取り組みや行動、トレンドに関する深いインサイトを提供する情報発信のプラットフォームです。
私たちは、Z世代が持続可能な未来に向けて、実際にアクションを起こすためのきっかけを提供し、彼らが楽しく取り組めるような内容を発信していきます。
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