''女性だから''という以外に昇進できない理由が見つからない。こんなとき、どうする?
リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
事業会社でマーケティング・広報を担当しているアサコさんは、リーダー候補として入社したものの、なかなか管理職に就くことができませんでした。設定目標はクリアし、上司からの評価も高く、やる気も元気もじゅうぶん。それでも上がれない理由って......??
男性が次々と昇進していくなか、私は結果を出しても同じ席のまま
評価面談では、毎回目標を立てて結果も報告するんですが、いつも最高の評価をいただいているのに、なぜか昇進ができない。
入社1年目の頃はそういうものかなと思っていたんですが、それ以降はやっぱり悔しくて。正直に聞いてみたら、「うちの会社、女性は難しいんだよ」......。
会社としても課題だと思っている、変革しようとはしている。ただ、今はまだ無理だと。
その話を聞いた後も、周りの男性はタイミングが来た、順番が来たとかでポンポン上のポジションに上がっていくんです。私だって結果も出しているし、上の席が埋まっているわけでもないのに。
でも「女性だから」と言われてしまったら、自分一人の力ではどうしようもないんですよね。会社の意向は、そうそうすぐには変えられない。
システム系のサービスを提供するBtoB企業なんですが、業界としてもとりわけ男性が多いんです。また、男女の格差は日本ではまだまだ社会的な問題でもあるので、仕方がないのかなとは思いました。
でも、入社するときはここまでとは思っていなかったので、「この業界はいつまでこんな状況なんだ......」と愕然としましたね。
スキルと経験は裏切らない! 揺るぎない自分軸を持って努力を続ける
そんななかで、夫のストイックさが私の励みでした。
夫は独立していて決して常に安定しているわけではないんですが、いつでも自己投資に高い意欲を持っているんです。
その様子を近くでずっと見ていたら、どんなに苦しいときでも自分を成長させる努力を続けていくことの大切さが理解できました。私も、状況はどうあれ自分自身の努力を信じていこうと思うようになったんです。
昇進や評価は相手が決めることなのでどうすることもできないけれど、スキルとか実績は自分自身で積み重ねることができますから。
もしも今の会社で納得できないことが続き、辞めたとしても、それは他社でも活かせます。それに、コツコツやっていれば誰かがきっと見ていてくれるはず。
逆に言えば、それしか心を支えるものがなかったとも言えますけどね。
愚痴をこぼすのもときには有効? 少しずつ風向きに変化が
とはいえ、昇進できないことについて、だまって従っていたわけでもないんですよ。「ここまでやって無理だったら、来年は同じモチベーションでがんばれません!」とか、不満や愚痴はぶちまけていました。
それでも、愚痴をちゃんと真剣に受け止めてくださった方がいらっしゃった。
「それはもったいないよ」と声をかけてくれ、おそらく上にも根回ししてくれて。
また、社内で認められなくても、社外で見てくれている人がいることを感じることもありました。「アサコさんがうちの会社にいれば」なんて声をかけてくれたり。
それがすごくうれしくて、今でも心の支えになっています。
そうしてコロナ禍なども経て会社の状況も変わってきたなか、40代半ばでようやく管理職に就けることになりました。同じ時期に昇進した女性も何人かいるので、過渡期に入ったなと感じています。
そもそも人手が足りていないので、そこで男だからとか女だからとか言ってる場合ではないという事情もあるとは思いますが。
"女性"は"個性"。自分らしく、活躍のチャンスをつかむ!
当初は"女性だから"という見られ方に反発する気持ちもありましたが、最近では、否定せず「一つの個性」として自然体で受け入れるようになってきました。
女性だからこそ気を遣ってもらえる場面もたくさんありますからね。
「出張、大丈夫?」なんて声をかけられて、対等に思われていない! とイラッとしたりしていましたけど、今は親切心から言ってくれているんだと素直に受け止められるようになりました。
年をとって丸くなっただけでしょうか(笑)。「わざわざ聞いてくれてありがとう!」と本心で返しています。
"女性活躍"と言われていますけど、女性が男性と対等でいようと無理をする必要はないと思うんです。
"活躍"と謳われるのは、それだけ実際に活躍できている女性が少ないっていう現実があるからですよね。課題があるところにビジネスチャンスがあるのと一緒で、今、女性で管理職を目指している人やキャリアを積みたいと考えている人にとっては、すごくチャンスの時代だと思っているんです。
うちの会社でもまだまだ埋もれている女性も多いと思うので、私はそういう方たちの目標になりたい。
女性も男性も、納得できる職位で自分らしく働ける未来が理想ですね。
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「2030年、もう"女性活躍"とは言わせない」を合言葉に、私たちは組織の女性ミドルマネジメントが抱える「課題」と「ストーリー」を記事化し、彼女たちやそれに続く人たちが、ときに一緒に泣いて怒って笑って、元気が出る発信をnoteでしています。日本や世界の働く女性の現状を知り、多くの方に周知するため、専門家や企業への取材も行っています。
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イラストレーション 高橋由季


