気づかぬうちにモラハラ・パワハラをしてしまわないか不安 ......。こんなとき、どうする?
リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
優秀なプレイヤーだったことで、新しい部署でリーダーに抜擢されたリョウさん。部下を束ねることとなり、自分なりのやり方で進めているだけではチームが育たないと気が付きました。相手のできない部分が目についてしまうことも少なくないというリョウさんですが、しっかり対策をして前向きに進んでいるそうです。
プレッシャーも大きい、社会人になってはじめてのリーダーに
今年度、会社が新しく立ち上げた部署で、管理職に任命されました。
主な業務は、あるマーケティング手法を活用した新規の営業企画。
社内にも有識者がいないので、いろいろな会社の方から助言をいただいたり自分で情報収集をしたりしながら、まだまだ仕組みを作っている段階です。
つまり、業務内容も管理職も未経験。
私はここに配属されるまでは、ずっとフィールドセールスの舞台にいたんです。
インターンとして入っていたときも同様で、大学でマーケティングを専門的に学んだわけでもありません。
ちょうど新しい仕事に挑戦したいというタイミングだったので、異動と聞いたときは、これは大きな成長につながるぞ!と喜びました。
管理職のお声がけにも二つ返事で応じました。
ただ、小・中・高・大と、学生時代にリーダー的役割を次々とこなしてきた自信がある反面、会社組織の一員としてとなると、部下にとってハラスメントになる言動をしてしまわないか......正直不安も感じていました。
プレイヤー時代のように自分の感覚で進んでいても、人はついてこない!
それまでの成功体験って、自分自身の感覚で動いていて得られたものが多かったんですよね。学生時代も、自分なりにとにかくがんばっていれば、みんなもなんとなくついてくる、みたいな。
でも、仕事としてメンバーを動かすとなるとそうもいきません。
リーダーになって改めて思い知ったのが、私が頭のなかで管理していたことを、ほかの人も同じように頭のなかだけで管理できるわけではないこと。私にとっては当たり前にこなせることでもメンバーにとっては難しい場合もあること。
だからまず、彼らが何をどこまでできるのか確認し、スキルマップの整備をしました。スプレッドシートに落としこんだり、タスク管理ツールを取り入れたり。
新しい部署なので、すべて新規で構築。上司からも最初のうちは下地作りに集中していいと言ってもらえたので、管理ツールでできることを徹底的に調べたり、他部署の方に相談したりしながら、3カ月で作り上げました。
チーム内の相談ごとや報告・連絡事項も、フォーマットを準備。コミュニケーションが円滑になるための環境を整えていきました。
そうやって細かく具現化していってみると、自分とメンバーとのギャップに戸惑うこともたくさん。リーダーとなり、考えなければいけない視点や方向性が増えたと実感しています。
経過を見ていると感情的になってしまうから、結果だけに着目
実は、私はプライベートだとモラハラ気質が見え隠れするタイプ。
パートナーに対して、「なんでこんなこともできないの?」なんて言ってしまうこともしばしば。
そんな自覚があるから、職場でもそういうことを口に出してしまわないよう、最大限に気をつけています。
具体的には、あえてメンバーの取り組む姿勢を見ない。
経過を見ずに、結果で見る。
そうすると、あまり感情的になることはないんです。
例えば、プライベートだとパートナーに対して「ご飯食べて20分経ったのに、なんでお皿洗わないの?」なんて思う。
経過がすべて丸見えだから、イラッとしてしまうんですよね。
"皿を洗っていない"という結果だけに着目すれば、感情的にはならずに済む。
暮らしのなかでは難しいことも、仕事だったら、仕組みを整えることで回避できます。
これは私にとってもメンバーにとっても働きやすさにつながるすごく重要なポイントになるので、日々注力しています。
ただ、"結果"の部分をかなり丁寧に見ていかないと、管理はうまくいきません。
「この日までに何をやる? あなたの今の業務はこれ」というように徹底的に細分化。チーム内で齟齬が生まれぬよう、地道にやっています。
リーダーとして、チーム全体の働きやすさを作り出していきたい
そもそも若い身空で管理職に任命されたのにも、「プレイヤーとして高評価だった」という背景があるんですが、それって、自分なりのやり方がうまくいっていたからなんですよね。
当時は、当たり前ですが、自分以外の誰かがこの仕事をできるようになるには?なんてまったく考えず動いていました。
リーダーになった今は、逆に私が苦手な部分にすごく長けているメンバーもいるので、協力してもらうこともできていて。
互いの良い部分をどうにか仕組みに落とし込んで、チーム全体で取り組めるよう整備を進めています。
正直なところ、すごく難しいし、大変です。でも、メンバーの働きやすさに直結する部分なので、これからも手を抜かずやっていきたいですね。
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「2030年、もう"女性活躍"とは言わせない」を合言葉に、私たちは組織の女性ミドルマネジメントが抱える「課題」と「ストーリー」を記事化し、彼女たちやそれに続く人たちが、ときに一緒に泣いて怒って笑って、元気が出る発信をnoteでしています。日本や世界の働く女性の現状を知り、多くの方に周知するため、専門家や企業への取材も行っています。
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イラストレーション 高橋由季


