ハロウィンをごみゼロで楽しもう。海外発の取り組みと、私たちができること
もうすぐハロウィン本番。街中にはハロウィンの飾りやお菓子が溢れています。
毎年盛り上がるこのイベントですが、大量の個包装お菓子や使い捨ての衣装・装飾によって、多くのごみや食品ロスが生まれているのも事実です。しかし、少しの工夫次第で、ハロウィンを環境に配慮しながら楽しむことは十分に可能です。
本記事では、欧米の取り組みも参考にしながら、私たちがすぐに実践できるエコフレンドリーなハロウィンの楽しみ方をご紹介します。
ハロウィンの環境負荷の要因
現代では仮装やお菓子交換イベントを中心とした楽しみ方が広がっているハロウィンですが、その起源は今から2000年以上前に遡ります。
起源となった古代ケルトの収穫祭「サウィン」では、10月31日はケルト人にとって夏の終わりと冬の訪れ、すなわち1年の終わりを意味していました。この日には死者の魂が現世に戻ってくると信じられており、人々は悪霊から身を守るために焚き火をしたり、動物の皮を身につけて魔除けを行ったりしていたといわれています。 そこからキリスト教の万聖節と結びつき、さらに商業化などの影響を受けて現在の形に変化したのです。
日本では、子ども向けの「トリック・オア・トリート」だけでなく、大規模な仮装イベントも広がり、大人も楽しむイベントへと発展しています。
このような文化の変遷を遂げたハロウィンが、今では環境負荷の大きいイベントとなってしまった原因には以下が挙げられます。
- 個包装のお菓子
ハロウィンでは、配りやすい個包装のキャンディやチョコレートが好まれる一方で、膨大なプラスチックごみを生み出す要因となっています。さらに、お菓子が食べきれずに余ってしまうことも多く、結果として食品ロスにつながることも少なくありません。 - コスチューム
仮装用の衣装は低価格で販売され、イベント当日だけ着用されてすぐに捨てられてしまうことがよくあります。その多くはポリエステルなどの合成繊維で作られているため、製造段階で大量の資源やエネルギーを消費するだけでなく、廃棄や洗濯の過程でマイクロプラスチックの排出にもつながります。 - デコレーション
コスチュームだけでなく、100円ショップなどで手軽に手に入るプラスチック製の装飾品も、耐久性が低いためにイベント終了後すぐに廃棄されてしまうことが多いです。しかもこれらの素材はリサイクルが難しく、廃棄物として環境に与える負荷を大きくしています。
環境にも人にもやさしいハロウィンの取り組み
このような課題に対し、さまざまな視点からハロウィンのあり方を見直そうとする取り組みが広がっています。フードロスの削減や、より多くの人が安心して楽しめる工夫など、注目すべき事例を紹介します。
イギリス:Eat Your Pumpkin
ハロウィンといえば、カボチャの装飾や料理を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?
欧米では、ハロウィンの時期になると「ジャック・オ・ランタン」などの装飾用として、カボチャが大量に消費されます。ところが、その多くは食べられることなく廃棄されてしまうのです。実際、イギリスでは毎年およそ1万8000トンものカボチャが食べられずに捨てられていると言われています(参照元:BBC)。
この問題を解決するために、イギリスの環境団体Hubbubが主導しているのが「Eat Your Pumpkin」です。このキャンペーンでは、ハロウィンに装飾用に販売・使用されたカボチャを、食材として最後まで活用することをさまざまな方法で推奨しています。
具体的には、カボチャを使ったレシピの公開や、地域コミュニティでの料理ワークショップ・食事会などのイベント開催を支援しています。また、装飾用カボチャを後から食用にできるよう、彫らずにペイントやステッカーで装飾する方法も提案しています。
「Eat Your Pumpkin」のほかにも、普段着を活用した仮装のアイデアを公開するなど、工夫次第でハロウィンをエコに楽しむ方法を紹介しています。
アメリカ:Teal Pumpkin
アメリカでは、Food Allergy Research & Educationが中心となって推進する「Teal Pumpkin」という取り組みがあります。これは、食物アレルギーを持つ子どもたちも安心してハロウィンを楽しめるよう、お菓子の代わりにおもちゃやシールなどの非食品アイテムを配る家が、青緑色のカボチャを目印として玄関先に飾るというものです。アレルギーのある子どもたちが安心して「トリック・オア・トリート」に参加できるだけでなく、賞味期限を気にせず保管できる物を配ることは、食品ロスの削減にもつながります。
これまでにアメリカ国内で12,500ヶ所以上の家庭や施設が参加し、さらにオーストラリアやシンガポールといった他の国々にも広がりを見せています。
より多くの子どもが参加できる、インクルーシブなハロウィンの実現に貢献している事例として注目されています。
私たちがすぐに実践できること
以下に、エコなハロウィンを楽しむための具体的な方法を紹介します。
- お菓子:手作り&エコ包装を選ぶ
ハロウィンのお菓子を手作りにすることで、包装を最小限に抑えることが可能です。また、市販品を選ぶ際は、できるだけエコな包装が使われている商品を選んでみるのも良いでしょう。 - コスチューム:交換・リメイクで何度も楽しむ
仮装用の衣装を毎年新しく買うのではなく、友人同士で交換したり、手持ちの服をアレンジしたりしてリメイクしてみましょう。こうした工夫で、衣装を使い捨てにせずに何度も楽しむことができます。 - 装飾:身近な材料で手作りする
空き缶を使ったランタンや新聞紙で作るゴーストなど、家にある材料でハロウィン装飾を手作りできます。新品を購入するより環境に優しく、自分好みにカスタマイズできるのも魅力です。 - ホームパーティー:使い捨てを減らす工夫をしてみる
おうちなどでハロウィンパーティーを開催する際にも、エコなアクションを取り入れてみませんか。たとえば、使い捨ての食器は使わないようにするだけでも、楽しい時間を過ごしながら環境への配慮も実現できます。 - イベント:ルールを再確認する
特に路上でのイベントでは、地域住民への配慮も忘れず、みんなが気持ちよく過ごせるよう心がけましょう。ごみは各自で持ち帰るなど、基本的なマナーを守ることが大切です。
【まとめ】
日本では近年、ハロウィンの渋谷のごみ問題などが指摘され、批判的に捉える人も少なくありません。しかし、本記事で紹介した事例や実践方法を参考に工夫を取り入れることで、環境や社会に配慮しながら、子どもも大人もみんなで楽しめるハロウィンを実現できるでしょう。
季節の変わり目をみんなで祝うというハロウィン本来の意義を大切にすることは、コミュニティのつながりを深める良い機会になります。今年のハロウィンは、ぜひエコな工夫を取り入れて楽しんでみませんか?
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