育休後の職場復帰。以前のように働けるかどうか不安。こんなとき、どうする?
リーダーとして働く女性たちが
実際に体験した、
コミュニケーションや人間関係の課題と
それに対するアクションの
ケーススタディ。
同じような課題を抱える人のヒントになれば、
という思いで届けていきます。
不動産会社の人事部長として働くトモミさんは、これまで2度の出産を経験していますが、初めて育休を取得したときは、不安でいっぱいでした。復帰後にちゃんと仕事ができるのか、そもそも職場に自分の居場所があるのかどうか......。そんなトモミさんを救ってくれたのは当時の上司だったそうです。
職場復帰できるか不安、他社員の業務負担が増えることにも心が痛む......
今から25年ほど前に新卒で入社し、ずっと同じ会社で働いてきました。この間にさまざまなできごとがありましたが、その一つが出産による育休です。
これまで2回育休を取得しましたが、1回目の取得時は本当に不安でした。「担当してきた業務はどうなるんだろう、職場復帰したときに私の席はあるのだろうか」と心配ばかりしていたんです。
申し訳ない気持ちもありました。私が抜けることでほかの社員の業務負担が増えますよね。しかも当時は課長という立場でしたので、マネージャーである私が休んでいいのだろうかとネガティブな感情が渦巻いていました。
でも、ある方の言葉が私を救ってくれました。当時の上司が「育休を取ることは良いことなんだから、ゆっくり休んでおいで!」と背中を押してくれたんです。送り出してくれたような気がして、心がホッとしました。そこで気持ちを切り替え、引き継ぎをしっかりしてから育休期間を過ごしました。
"私の育休が、誰かの成長を促すこと"になるという発見
育休を終えて戻ってきたら意外な発見がありました。
私が抜けている間、部下の社員たちが私の業務を代わりにやってくれていたんです。そうすると彼らは今まで経験したことのない新しい業務に挑戦することになります。そして、新しい仕事を覚えるために努力した結果、みんなが成長していたんです。
部下たちの姿を見て感じたのは、育休を取ることは間接的に誰かを成長させるということ。「そっか、育休を取ることは悪いことじゃないんだ」と気づきました。
だから2人目を妊娠したときは、心置きなく育休を取得できましたね。
女性だけでなく男性社員も育休を取ることが、女性活躍につながる
実は私、会社の育休制度の仕組み作りにも携わったんです。入社した頃、会社はまだ成長段階で、就業規則も整っていませんでした。育児休業に関する規則もない状態でした。
そんなとき、ある女性社員が育休を取ることになり、会社として初めてのケースだったので、育児休暇の規定を整備することになりました。制度設計に関わるなかで考えたのが「どうすれば彼女が戻ってきた後も活躍できるのか」ということ。長く働いてほしいという思いから、復帰後に活躍できる制度作りを目指しました。
その思いは人事部長になった今も変わっていません。
部下が育休を取るときは「いってらっしゃい」と送り出し、戻ってきたときはしっかり迎え入れます。その際に大切にしているのは、「今までどおり、よろしくね」という気持ちで仕事を任せること。
私自身も職場復帰するとき、任せてもらえる仕事があるのか不安でした。でも仕事を任されると、ここに自分の居場所があると実感できます。
だから小さな子どもがいるからといって特別扱いせず、もちろん子どもに何かあれば休んでもらいますが、それ以外は平等に仕事を任せるようにしています。
平等に扱うというのは女性社員だけでなく、男性社員も同じです。
そういえば、まもなく部下の男性社員に子どもが生まれる予定で、彼にもしっかり育休を取ってもらいます。男性社員の育休取得を勧めることは女性を間接的にサポートすることにもなると思っています。
例えば、共働き夫婦の子どもに熱が出たとき、妻が職場を抜け出せない状況なら、夫が子どもを病院へ連れていけるようになれば、妻は仕事に集中できますよね。つまり、男性社員の子育てしやすい環境を整えることは女性の活躍にもつながるんです。
だから私は男性社員の育休取得を積極的に後押ししています。
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「2030年、もう"女性活躍"とは言わせない」を合言葉に、私たちは組織の女性ミドルマネジメントが抱える「課題」と「ストーリー」を記事化し、彼女たちやそれに続く人たちが、ときに一緒に泣いて怒って笑って、元気が出る発信をnoteでしています。日本や世界の働く女性の現状を知り、多くの方に周知するため、専門家や企業への取材も行っています。
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イラストレーション 高橋由季


