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サバ缶がついにスイーツに? 流行の背景と最新進化形

Gyoppy! 編集部

鯖チョコ缶

現在、大人気となっているサバ缶。各食品メーカーが多種多様な商品を販売しているが、2021年のバレンタインデーを目前に控えた1月、サバ缶はついにスイーツにまで"進化"を遂げた。

それが「鯖チョコ~鯖チョコレート風味~」だ。

鯖チョコ缶

この革命的な商品を発売したのは、「オシャレなサバ缶」として話題になった「サヴァ缶」でよく知られる、岩手県釜石市の岩手缶詰。

同社は「サバは、いろんなアレンジができる可能性を秘めた偉大な食材。『鯖チョコ』というチャレンジ商品を市場に提供することで、『従来品の概念の払拭と創造、時代への挑戦』を行った」と熱く語る。

筆者も試食させてもらったが、想像以上に美味しかった。カカオの風味とチョコレートの濃厚さを感じる旨みいっぱいのサバがほろりと口の中で崩れ、食べ終わったあとにはやさしい甘さだけが残る。

鯖チョコ缶
盛り付けられた「鯖チョコ~鯖チョコレート風味~」

さて、ついにスイーツの仲間入りまで果たしてしまったサバ缶ではあるけれど、この流行がいつから、どのように始まったかはご存知だろうか?

本記事ではまず、サバ缶の流行の歴史と背景を紐解く。後半ではチョコサバ缶にも負けない、サバ缶の最新進化形を紹介したいと思う。

オシャレで美容にいい。女性の支持を集め、第一次ブームが発生

サバ缶が注目されはじめたのは2013年。テレビ番組で「ダイエットによい」と紹介されたことがきっかけだった。

サバ缶に含まれる成分・EPAが、「痩せるホルモン」とも呼ばれる「GLP-1」を出す細胞を刺激すると話題になり、サバ缶は爆発的に売れた。スーパーで連日売り切れになるほどの状況が続いたのはこの頃だ。

そもそもサバは大衆食堂や定食屋の「定番ボリュームメニュー」だった。どちらかといえば男性のファンが多く、「ごはんの友」「酒のつまみ」として支持される傾向が強かった。女性にとっての缶詰の定番と言えば、サラダやサンドイッチ用として購入されることが多いツナ缶だった。

ところが、「ダイエットによい」としてサバ缶の美容効果が女性誌や女性向けウェブメディアで頻繁に取り上げられたことで、これまでサバ缶にあまり馴染みのなかった女性たちがこぞって購入するようになったのだ。

同じ頃、世間では美容・健康によいとされる不飽和脂肪酸「オメガ3」ブームも起きていた。サバ缶はオメガ3のEPAとDHAをたっぷり含んでいる。サバ缶ひとつで簡単に、しかもお安く、一日に必要なオメガ3を摂取できてしまう。

また、「オシャレなサバ缶」が増えたことも、ブームの後押しになった。きっかけを作ったのが、2013年に発売された「サヴァ缶」だ。

サヴァ缶は、「東日本大震災の被災地である三陸から、オリジナルブランドの加工品を発信しよう」という想いで、「(一社)東の食の会」と、岩手県釜石市に工場を持つ「岩手缶詰(株)」と、「岩手県産(株)」によってつくられた。

サヴァ缶
ちなみに「サヴァ」は、フランス語で「元気ですか?」という意味。岩手から日本各地へ向けて、声をかけるイメージで名付けられた

スタイリッシュなパッケージデザインだけではなく、味付けも「オリーブオイル漬け」「レモンバジル味」「パプリカチリソース味」など、パスタやサラダ、サバサンドなどの洋風メニューにも使える、画期的な商品だった。

サヴァ缶
2020年2月には「アクアパッツァ風」が登場。国産サバとドライトマトやハーブ、アサリなどの魚介エキス、たっぷりの白ワインなどを加えてつくられた缶詰は、もはや「料理」

食品メーカー各社からも、パッケージデザインに工夫を凝らし、味付けも「アヒージョ」「トマト風味」「マリネ」など、女性をターゲットにした商品が立て続けに発売されていった。

サバ自体にもブーム到来。"洋食化"でサバサンドが人気に

同時期にサバ自体も流行り始めていたことも、サバ缶の隆盛に寄与している。サバの産地やサバ食文化に力を入れている地域で、「サバによる町おこし」が盛んになっていたのだ。

青森県八戸市、千葉県銚子市、福井県小浜市、鳥取県鳥取市など、日本各地でサバグルメの開発やイベントが行われ、人気となっていたことから、「サバを観光の起爆剤に」と熱心に取り組む地域が増えていた。

地方に限らず、東京へもその波は押し寄せる。サバ専門店の老舗・中野「さば銀」、ブランドサバ・八戸前沖さばの県外PRショップ北千住「ごっつり」は連日大盛況。2015年には、大阪で人気となっていたサバ専門店「SABAR」が東京進出。これが成功を収め、店舗数を増やしたことから、サバブームは加速する。

一方、サバの食べ方にも新たなトレンド「洋食化」現象が生まれた。前述したサバ専門店では、カルパッチョやサラダ、グラタン、アヒージョ、パスタなど、イタリアンやフレンチにアレンジしたメニューが提供されていた。

さらに、サバの洋食化現象を一気に拡散したのが「サバサンド」。トルコ・イスタンブールの名物で、パンに焼いたサバと野菜を挟み、塩やレモン汁をかけたシンプルなサンドイッチだ。

日本においては独自進化を遂げ、どこまでも「フリースタイル」なのが特徴。サンドされるサバは焼きサバに限らず、〆さばや味噌煮、干物だったり。パンもバゲット、トースト、クロワッサンなどバラエティにあふれる。味付けもフレンチ、イタリアン、エスニック、和風など実に多彩な「日本式サバサンド」は、数多くのメディアで取り上げられ、大ヒットしていく。

2016~18年にかけて第二次ブーム。「ツナ缶超え」果たし、缶詰の頂点に

第一次ブームを契機に、その後もテレビを始めとする多くのメディアで、サバ缶の"効果"が頻繁に取り上げられるようになる。「生活習慣病の予防」「脳の活性化」「血管の若返り」「ストレス軽減」「美肌」......。もはや「万能薬」状態だ。

メディア露出が増えるにつれて、メーカーもますますサバ缶のラインナップを増やしていった。焼きサバ、燻製、竜田揚げ、西京焼き、野菜入り。他の魚介系缶詰では考えられないほど、バリエーションが多彩になっていった。

そして2016年、衝撃的なニュースが発表された。

「サバ缶、生産量1位」

缶詰の生産量は長年、ツナ缶がトップ。しかしこの年、サバ缶は3万7117トンで過去最大となり、ツナ缶を上回り、ついに王者の座につく。これをきっかけにサバ缶はますます話題となり、売上はさらに増加。第二次サバ缶ブームが発生していった。

第二次ブームで女性の他に貢献したのが、西日本の人々だ。サバ缶の消費傾向は従来、「東高西低」。西日本ではあまり馴染みがなく、売り場にもあまり置かれていなかった。

しかし、マルハニチロによれば、西日本エリア(関西~中四国~九州)におけるサバ水煮缶類の売上は、2017年10月からの半年間で、前年比160%以上。「サバ缶は売れない」とされていた地でも存在感を増していく。

こうしてサバ缶は、二度の大きなブームを経て、今では食卓の定番としての地位を確立するに至った。

「BISTRO」「納涼」「強健」......多種多様に超進化を遂げるサバ缶たち

ここからは、こうしたブームの中で生まれた進化形サバ缶を紹介していきたい。もはや「一品料理」の域に達している商品もあるから驚きだ。

缶詰の範疇を超え、もはや一品料理級

千葉県・銚子市「信田缶詰」が2019年10月に発売した「BISTRO缶 美味しいトマトとさば」は、サバの旨みを最大限に引き出した、完成度の高い「料理」として開発された商品。

BISTORO缶 美味しいトマトとさば

一般に、トマト味のサバ缶はパスタソースとして使われることが多いが、信田缶詰は「あくまでトマトの風味でサバの美味しさを引き出すこと」を目的に、材料を厳選したという。

国産400g以上、脂のりバツグンのサバに組み合わせたのは、フレッシュ感が強いポルトガル産トマト。果実を熱処理せずに低温で破砕する「コールドブレイク処理」で、約6倍に濃縮したトマトペーストをつくりあげ、奄美諸島産のさとうきび100%を原料に、ていねいに炊き上げた「素焚(すだき)糖」を加えて、サバの旨みを引き出すことに成功した。

「『料理』として完成されているのでアレンジなしでそのまま食べてほしい」とメーカーが語るように、トマトの絶妙な酸味と甘みが、サバの旨みを上品に引き出している。商品名のとおり、味わいは「ビストロ級」。間違いなく、「ナイフとフォーク」で食べるべきサバ缶である。

凍らせて食べる納涼サバ缶

広告制作会社でありながら、サバ缶事業を行う大阪府大阪市「アバランチ」。「No.38(ナンバー・サーティーエイト)」シリーズは、調味料を厳選、缶を開けたときのビジュアルにまでこだわりが見える。高級感あふれるスタイリッシュなパッケージがギフトとしても人気の商品だ。

「No.38」のサバ缶

昨夏発売された「No.38 MILD SOUR MARINÉ/風味爽やか彩りマリネ仕立て」のコンセプトは「夏に味わいたいさっぱりとした味わい」。パッケージには、さわやかな夏をイメージさせるブルーを採用。見るからに涼しげなデザインのサバ缶だ。

しっかりしたサバの旨みに、まろやかな酸味が加わり、後味もさわやか。まさに、口の中に涼風が吹くような「納涼サバ缶」だ。なんと「凍らせて食べる」のがおすすめだという。溶けかかってシャリシャリしてきた状態でいただくと、サイダー的なシュワッと感があって美味しい。

2020年12月には冬向けとして「No.38 MISO GARLIC OIL/味噌と辛味感じるガーリックオイル仕立て」も発売。

No.38 MISO GARLIC OIL/味噌と辛味感じるガーリックオイル仕立て

唐辛子をほどよくピリリときかせ、味噌のコクを加えることで、味わい深い新感覚の洋風味噌味に仕上げてある。寒い季節に、鍋やうどんなどのアレンジに使える商品だ。

健康効果倍増サバ缶

サバ缶の大きな魅力である「健康効果」のパワーアップを目指した商品も注目を集めている。福井県小浜市・福井缶詰「強健サバ缶」は、知りうる限りのアマニ油(亜麻の種からとれる油)を使用したサバ缶である。

強健サバ缶

アマニのパイオニアである「ニップン」アマニ油とのコラボレーションで完成した商品は、サバとアマニ油からダブルで「オメガ3」を摂取できるというスグレもの。発売直後から健康に意識の高い消費者に好評を博している。

もちろん、健康効果ばかりではなく、アマニ油の風味でサバをまろやかに仕上げた味わいも絶品だ。

また、パッケージデザインは福井県立若狭高校の生徒が担当した。「サバァマニ男爵」というユニークなキャラクターが印象的なサバ缶は、小浜市のふるさと納税返礼品としても人気を集めている。

増殖するローカル系。八戸はサバの「大トロ」缶

郷土食豊かな「地方系サバ缶」も増え続ける一方だ。

「八戸サバ缶バー」は青森県八戸市の水産加工メーカー・マルヌシが「八戸みやげの新定番を作りたい」と開発したもの。

八戸サバ缶セット

使用しているのは、青森が誇るブランドサバの「八戸前沖さば」。秋の早い時期からの海水温が下がった冷涼な環境で育まれたサバは、脂が身の全体に入り、肉でいえば霜降りのよう。いわばサバの「大トロ」ともいえる味わいを堪能できる。

「バーで、さまざまなお酒を味わうように、いろいろなサバ缶を楽しむ」をコンセプトに、「津軽海峡の塩」「ゆずこしょう」「グリーンカレー」「アヒージョ」「トムヤムクン」「ハバネロ」の6種類が2018年3月にデビュー。カラフルでスタイリッシュなパッケージと多彩な味付けが話題を呼び、たちまち大ブレイクした。

2019年には、青森県では定番の調味料を使った「スタミナ源たれ」も加わり、累計60万缶の大ヒット商品となっている。

八戸サバ缶/スタミナ源たれ

小倉は100年ものの「ぬか炊き」を缶詰に

福岡県北九州市小倉・宇佐美商店の「百年床のぬか炊き缶」は、郷土料理「サバのぬか炊き」を缶詰化したもの。

「サバのぬか炊き」の缶詰

「サバのぬか炊き」は、サバをしょうゆ、みりんなどの調味料で煮込み、ぬか床を加えた料理だ。北九州市民の台所「旦過(たんが)市場」には、小倉っ子が愛する、サバのぬか炊きを販売するお店が軒を連ねている。

宇佐美商店もそのひとつ。親子三代にわたって受け継がれ、100年もの歴史を刻んだぬか床を使用した、サバのぬか炊きが人気のお店である。

百年床のぬか炊き缶は、三代目の宇佐美雄介さんが「小倉のお土産になるものを」と開発した商品。「小倉が誇るぬか炊きはまだまだ全国区ではない。博多の明太子のように知ってもらいたい。そのためには冷蔵ではなく常温で持ち運べる商品を」と、ギフトになる缶詰を手掛けた。

缶詰でも店と同じ味を、と試作を重ね、2019年11月にデビュー。地元のデザイナーに依頼したというスタイリッシュなパッケージの缶詰は、1缶1500円にも関わらず、お土産として大好評だ。

サバ缶の価格はもはや1000円を上回ることも「当たり前」といった状況に。そんな中、1缶あたり3000円を超える高級サバ缶が登場することとなる。

1缶3000円超。日本一高いサバ缶!?

白熱するサバ缶フィーバーの波に乗り、ついに「3缶で1万円、1缶あたり3333円」という高価格帯のサバ缶が登場する。それが、千葉県千葉市・千葉産直サービスによる「とろさばプレミアム缶」。おそらくは現状、日本一高いサバ缶だ。

とろさばプレミアム缶

その驚きは、価格だけにあらず。素材から製造まで、とことん「プレミアム」を追求している。

秋冬、銚子港で水揚げされるサバのうち、わずか0.05%という1kgアップのサバのみを使用。幻レベルのサバを手切り、手詰めし、さらに365日以上熟成させて、ようやく完成する。

口の中に含むと、とろりとした上質な脂が溶け出してくる。舌触りはシルキー。ほろっと身がほどけ、芳醇な旨みに包まれる。もはや、サバ缶の域ではないのかもしれない。高級料亭で「至高の一皿」として提供されても、おかしくないレベルである。

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オシャレを超えたラグジュアリーサバ缶

さらに、サバ缶のパッケージデザインはクオリティが上がり続け、「オシャレ」どころか「ラグジュアリー」の域にまで達している商品もある。

2019年10月発売の北海道札幌市・ノフレ食品「keith缶詰シリーズ」は、脂質含有量20%以上の釧路で水揚げされたサバを使用。華やかでゴージャスな釧路のサバの味わいを活かした、「鯖水煮 食塩不使用」「鯖水煮 オホーツクの塩」「鯖味噌煮」が好評だ。

ノフレ食品「keith缶詰シリーズ」

特筆すべきはパッケージデザイン。担当した美澤修氏は、ロエベ、カルティエ、フランク・ミュラーといった世界の名だたるラグジュアリーブランドを手掛け、ワールドワイドに活躍しているグラフィックデザイナーだ。

和紙と金箔を使用し、ショーケースに飾ってもおかしくないほどのラグジュアリーなサバ缶は、昨年、「日本パッケージデザイン大賞2021」食品部門で入選したほか、ドイツ「Red Dot Award」で「Brands & Communication Design 2020」、イギリス「D&AD Awards 2020」Packaging Design部門で「Wood Pencil」を受賞。もはや「レッドカーペットにサバ缶の日も近い?」と思わせるほどの快挙である。

さいごに

流行の歴史とその背景、さらには多様に進化を続ける最新のサバ缶商品を紹介してきた。

健康と美容を入口に、「百サバ繚乱」ともいえるほど多彩な商品が登場し、老若男女、日本中の人々に愛されるようになったサバ缶。コロナ禍による巣ごもり需要の追い風を受けて、現在は「第三次ブーム到来」の声もある。

一方で、海外で販売されているサバ缶は、「水煮」か「トマト煮」が主流だ。美味しくてバリエーション豊かなサバ缶が、国内だけに留まっているのはもったいない。メイド・イン・ジャパンのサバ缶として、世界にアピールできるポテンシャルが、サバ缶にはあるのではないだろうか。

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