プラスチックが地球から酸素を奪う? 海のバクテリアの危機!
人間が生きる上で、重要な役割を持つ「酸素」ですが、全世界の10%は海に生息している、あるバクテリアから作られていると言われています。
そのバクテリアは地球上に生きるすべての生物にとって、大切な存在だと言えますが、プラスチック汚染により悪影響を受けている恐れがあるようです。
プラスチックが、海のバクテリアに対して、どのような悪影響を与えているのでしょうか。
プラスチック汚染により失われるかもしれない、酸素を作り出すバクテリアについてご紹介します。
地球最大のバイオマスを誇る光合成生物
バクテリアはこの世界中の至るところに存在し、それぞれが様々な役割を担っています。
そんなバクテリアの中に、地球上で最大のバイオマス(化石資源を除く、生物資源の量を表す概念)と言われるものがあります。
それが、海の中で生息する藍藻(らんそう)の一種、プロクロロコッカス(Prochlorococcus)です。
1986年に報告されたバクテリア、プロクロロコッカスは他の植物と同じように、炭素を吸い込み、酸素を放出する光合成を行います。
ただ、プロクロロコッカスが作り出す酸素量は、最大で全世界の10%と言われるほど、驚くべき量なのです。
それだけの量の酸素を作り出すプロクロロコッカスは、海の生態系にとって重要であることはもちろん、地球上の酸素を必要とするすべての生き物にとって重要なバクテリアだと言えるでしょう。
しかし、そんなプロクロロコッカスが、プラスチックによって汚染されている恐れがあると言われているのです。
プラスチックは酸素も奪うのか
人間が廃棄するプラスチックが海の自然を奪い、誤食してしまった生き物の命も奪っていることは、あまりに有名な話です。
さらに、小さくなったプラスチックを食べた魚を介して、人間の健康にも影響があるかもしれない、とも恐れられています。
そして、そのプラスチックがプロクロロコッカスに危害を与えていると、オーストラリアのマッコーリー大学の調査でわかりました。
その調査では、プロクロロコッカスを人工海水で培養し、その中にプラスチックを混ぜると、どのような反応があるのかを観測しました。
すると、プラスチックと一緒に培養されたプロクロロコッカスに異常が見られました。
プロクロロコッカスが炭素を吸収すると同時に、プラスチックから排出された有害物質も吸収していたのです。
また、プラスチックから排出される有害物質の濃度が高ければ高いほど、プロクロロコッカスに異常が見られ、最高濃度では死んでしまうことも観測されました。
つまり、今この瞬間もプラスチックによる汚染でプロクロロコッカスが弱り、地球上から酸素が奪われているかもしれないのです。
プラスチックは海以外も汚染している
プラスチックは海だけではなく、世界の至るところで、自然を汚染しています。
例えば、砂浜に漂着したゴミですが、環境団体やボランティア団体によって掃除が行われたとしても、砂の中に含まれた小さなプラスチックは取り除けない恐れがある、という話があります。
他にも、ピレネー山脈の人の手がほとんど入らないような場所の水にも、プラスチックが含まれていたと判明しています。
これは遠く離れた都心から、風に乗ってプラスチックが降下したものだと考えられています。
さらに、地球上で最も深い海底として知られるマリアナ海溝や北極など、やはり人の手が入らないような場所で、プラスチックの存在が確認されているのです。
北極に関しては、雪に混じってプラスチックが降り注ぎ、周辺に生息するフルマカモメという海鳥の卵からも、プラスチックに使われている化学物質が発見されています。
このように、人間の手が入らないような自然の中にも、プラスチックが入り込んでいます。
まだプラスチックが生態系に入り込むことで、どのような影響があるのかはわかっていません。
しかし、プラスチックは着実に自然を奪っています。
そのため、これからはプラスチックの使用については、よく考える必要があるでしょう。
ちょっとしたことでも、生活の中でプラスチックを使う回数を減らすことができないか、ぜひ意識してみてください。
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