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世界の「職場におけるジェンダー平等」ランキング上位国の取り組み【前半】

    

ニューロマジック

125位の日本。まずは上位国の取り組みを知ることから

「職場におけるジェンダー平等」という考えが広まる一方で、依然として女性は賃金格差、昇進の制限、文化的偏見による障壁などの問題に直面しています。
しかし、世界中の組織・政府機関は労働環境においてもジェンダー平等をひろめるべく、革新的な戦略に取り組んでいます。なかには男性優位の社会をわずか半世紀で是正してきた国々もあります。今回はジェンダーギャップ指数世界ランキングで上位に並んでいる欧州を中心に、前半はアイスランド、スウェーデン、ルワンダの事例を、後半ではノルウェー、フランス、フィンランド、ドイツの事例を紹介します。

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ジェンダーギャップ指数2023をおさらい

スイスの非営利財団「世界経済フォーラム(WEF)」が公表した「Global Gender Gap Report(世界男女格差報告書)」(※1)。2023年、 日本のジェンダーギャップ指数ランキングは146か国中125位でした。分野別では経済が123位、教育が47位、健康が59位、政治が138位にランキングされています。「教育」と「健康」の値は60位以内にランクインしているものの、「政治参画」と「経済参画」は極めて低い結果が示されています。(※2)

アイスランド(ジェンダーギャップ指数世界ランキング1位)

― 世界初、男女の賃金格差を是正する法律 ―

2018年、アイスランドでは男女の賃金格差を違法とする世界初の法律「男女同一賃金認証にかかる新法」が施行されました(※3)。この法律では民間・公的機関を問わず、25人以上の従業員を擁する企業は性別に関係なく同一の労働に対して同一賃金の支払いが求められ、定期的な監査を受けることを義務付けています。監査では職務内容、資格、パフォーマンスなどの要素を審査し、賃金差額があれば特定、是正します。違反した場合や証明ができない場合には1日につき500ドル(約75,000円)の罰金が課せられます。賃金平等の透明性を促進することで、ジェンダー賃金格差の縮小に大きな進歩を遂げ、世界における賃金平等の模範となっています。

現在はジェンダーギャップ指数世界ランキング1位のアイスランドも、かつては男性優位の社会でした。平等への第一歩は1975年に始まりました。10月24日、9割以上の女性が仕事も家事も放棄したストライキを実施し、女性の存在の大きさ、重みを社会に示したのです。以後この日は「女性の休日」と呼ばれ、アイスランドのジェンダー平等は大きく進展を遂げました。

実は、今回の法律制定への大きな原動力となったのも2016年10月24日、労働組合と女性団体の呼びかけで全国数千人の女性が集結したストライキがきっかけです。この年の調査で女性の平均所得が男性より3割少ないことが明らかになったことを受け、労働時間の7割である14時38分に仕事を切り上げ、格差解消を訴える抗議活動を実施しました。ひとりひとりの行動には社会を変える力がある、という好例と言えます。

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スウェーデン(ジェンダーギャップ指数世界ランキング5位)

― ジェンダー中立の育児休暇【両親休業】 ―
スウェーデンの「ジェンダー中立の育児休暇政策」は【育児の責任は両親が平等に共有すべき】という信念に基づいています。この政策により、親は合計で480日の育児休暇を取得でき、そのうち90日ずつが「出産した親(例:母親)」と「もう一人の親(例:父親)」に割り振られ、相手に代わって取得することはできません。父親が取得しないとこの休暇の権利は消滅してしまうので、育児休暇の取得が自発的に促進されています。このアプローチによって、父親の育児参加が促されるだけでなく、母親が望む場合は早期の復職を可能にします。ワークライフバランスを促進し、伝統的なジェンダーロールに挑戦することで、スウェーデンは女性の労働参加を促し、家庭と職場の両方でより多くの「平等」を育んでいます。

育休の一定期間を男性(またはパートナー)に割り当てるパパ・クオータ制は同性カップルや養子縁組家庭も同じように両親育休が保障され、一人親の場合は、両親に振り分けられる期間を全て取得できるのが一般的です。

この制度は欧州各国で採用されており、アイスランドでは6カ月(180日程度)、ノルウェーでは15週(105日)で、男性の育休取得率も軒並み70%を超えています。フィンランドでも、2021年からは女性と同じ日数(164日)の育休がパートナーにも保障されています。一方デンマークでは、両親合わせた育休は52週(365日程度)で、2022年8月からは、EUから加盟国への指令により9週間(63日)のパパ・クオータ制が追加されています。

このように国によって期間は異なるものの、現在北欧では男性(またはパートナー)の育休取得は当たりまえになっています。しかし、ここまでの道のりは長く、スウェーデンで1974年に世界初の男性も取得できる育児休業制度が導入された際は男性の取得率は上がりませんでした。90年代にパパ・クオータ制が導入された結果、男性の取得率は77%まで上昇。パパ・クオータ制は取得への有効な対策と言えます。

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ルワンダ (ジェンダーギャップ指数世界ランキング12位)

― 世界で最も女性の議会代表率が高い国 ―
ルワンダでは国会議会席の30%以上を女性が占めるクオータ制度が憲法で義務付けられています。歴史的なジェンダー不平等に対処し、国の意思決定プロセスに女性参加を増やすために実施されました。結果として女性が議会席の60%以上を占めるようになり、現在、ルワンダは世界で最も女性の議会代表率が高い国となっています。女性の声が政治の場において確実に反映されており、クオータ制度が平等で包括的な政治を促進することを示しています。

アフリカ諸国で女性の政治参画が進んでいる背景には1995年に国連の第4回女性会議(北京会議)が開催され国際的に意識が高まったことの他に、国内の政治的・社会的な事情があります。1994年、ルワンダでは民族間の闘争により、わずか100日間に国民の10人に1人、少なくとも80万人が命を失いました。残された女性は、世帯主の3分の1を占めるに至り、これまで伝統的に男性が担ってきた職業にも従事することになりました。このような状況下で女性の社会進出が進み、新体制への移行に伴う憲法の起草にも多数の女性が携わったことの結果のひとつとして、国会議員に占める女性議席の確保が義務付けられました。(※4)

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UN Photo/Evan Schneider

おわりに

ジェンダー平等推進のために、欧州をはじめ世界で多様な戦略が採られています。近年まで男性優位だった国が、法律による措置、革新的な政策、企業の取り組み、文化的な取り組みを通じてジェンダーギャップを是正している現実には、希望と可能性が感じられます。後半ではノルウェー、フランス、フィンランド、ドイツの、ジェンダーギャップの縮小に成功したアプローチを紹介します。

元記事はこちら

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