海のプラスチックごみをアートに。サーフアーティストhi-dutchさんがめざす海の未来
木材、毛糸、FRP樹脂を使ったインパクトある作品を長年にわたり精力的に発表しているアーティストのhi-dutchさん。近年では「ZOZOVILLA」でもコラボレーション作品を発表。海洋ごみや環境問題についてもビーチの流木やプラスチックごみを活用したアート作品が注目を集めています。hi-dutchさんの海に対する愛情と作品に込めた想い、個人で取り組める環境問題への向き合い方についてお話を伺いしました。
── 10代の頃からサーフィン文化に惹かれ、20代でサーフショップに就職したhi-dutchさん。サーフボードの修理で培ったレジンや樹脂を用いたリペア技術で、海のプラスチックごみを再利用したアート作品を作り始めたそうですが、環境問題に興味を持ったきっかけは何だったのでしょうか。
西海岸のサーフカルチャーとボードカルチャーに影響を受け、サーフィンに夢中になり始めた10代の頃はとにかく海で遊ぶことが大好きで、環境問題については理解していませんでした。分別をしないでごみを捨ててしまっていたこともあります。僕も含めて、サーファーは怖そうというイメージが世の中にもあったと思います。
でも、先輩サーファーが「ごみはちゃんと分別しないと、海が汚くなる」とポイ捨てをしている人を注意しているところを見て、サーファーのイメージとのギャップに驚いたのと同時に、そこで初めて「大好きなビーチを守るために、他人事ではなく自分もごみの分別を心がけなければならない」と気づかされました。サーフィンを好きになればなるほど、自分たちが泳ぐ海はずっときれいでいて欲しい、と環境問題に興味を持つようになったのです。
── その後、海のごみを使ったアート作品を発表するようになったのはどういう経緯だったのですか?
毎年横浜で行われているミュージックとアートのカルチャーフェスティバル「GREENROOM FESTIVAL」(※)の初期のころ、海外アーティストの作品を設置したり映像に関わったりしていたのですが、作品を展示予定だった海外アーティストが突然出られなくなり、急遽僕の作品を展示することになったんです。
「GREENROOM FESTIVAL」は海の大切さ、素晴らしさを体感することができるイベントで環境問題に何か関連付けられないかと考えるうちに、ビーチで拾ったごみを作品にするアイデアが浮かびました。プラスチックごみを食べてしまった魚をモチーフとした作品をきっかけに、ビーチクリーンもライフスタイルの一部として考え生活している人達が、僕の活動に興味を持ってくれるようになったんです。
── アメリカや台湾でのグループ展示に参加したり、2021年にはコスメキッチンOMOTESANDO店で展示をしたりなど多種多様な場所で作品発表を続けるhi-dutchさん。作品を観た人々からはどのような反響が寄せられますか?
作品を観た子供たちが興味を持ってくれることが多いです。「可愛い」という純粋な感想をきっかけに、家族で海のごみについて考え直してくれるととても嬉しいですね。今の子供たちは学校で地球環境について学習する機会があり、大人顔負けの知識を持っている子も多くいます。
海の環境問題をテーマにした僕の作品は、売上の10%をサーフライダーファウンデーション(※)という海岸環境保護団体に寄付しているんです。アートに対する評価というのは様々ありますが、僕は自分の作品の価値を上げていけば必然的に寄付額も増えていくと考えているので、多くの人に評価いただきたいと思っています。僕の作品が海について考えるきっかけになればうれしいです。
自分の活動が未来へとつながり、「未来のサーファーがごみのないビーチでサーフィンができていたら最高だ」と話すhi-dutchさん。陸であっても海であっても人間が出したごみが行き着く先は、私たちが暮らす地球の海。私たちの行動の一つひとつが地球環境に影響を与えるということを今一度見直し、ごみを分別するなど小さなアクションからトライしてみてはいかがでしょうか。
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\ さっそくアクションしよう /
ひとりでも多くの人に、地球環境や持続可能性について知ってもらうことが、豊かな未来をつくることにつながります。