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海水や霧から飲料水を!? 世界の革新的な節水~実践とヒント~

    

ニューロマジック

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写真:アフロ

「水の惑星」と呼ばれ、表面積の3分の2が海に覆われている地球。しかし現代において水は、気候変動、人口増加、工業化などの要因により、不足しつつある貴重な資源です。SDGsの目標6にも「清潔な水と衛生」が掲げられ、2030年までに地球上のすべての人の水と衛生設備の利用・持続可能な管理ができることを目的としています。今回は世界各地の水を節約し、持続可能な利用を確保するためのさまざまな革新的な解決策や実践的なヒントを紹介し、SDGsとの整合性も探ります。

スペインにおける節水戦略

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スペイン、特にその北東部は深刻な干ばつに直面しており、さまざまな節水対策が採用されています。例えばバルセロナは典型的な地中海性気候で晴天率も高く、年間の水量は770ミリ前後(※1)と、イベリア半島の中でも雨が少ない地域です。日本の平均的な降水量は1668ミリ、世界の平均が1171ミリ(※2)と比較しても、とても少ないことがわかります。

バルセロナでは総合的で効率のよい水循環管理アプローチが実施されています。これには、道路の清掃や灌漑といった非飲料用水への再生水の利用も含まれています。さらに、市民ひとりひとりの意識を向上させるキャンペーンを実施。1人当たりが1日100~200リットルの水を消費するため、無駄にしないように責任を持って使用する必要があります。「節水対策で家庭での通常の水消費量を30%削減できる」として具体的な10の取り組みを提案し住民の節水を促進しています。こうした取り組みは、水利用効率の改善によるSDG6と、都市の持続可能性の向上によるSDG11に合致しています。

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    バルセロナ市の掲げる節水の10のヒント


  • 使用していないときは蛇口を閉める
  • 蛇口に水量制限装置を取り付ける
  • お風呂ではなくシャワーを使う
  • 温水になるまでのシャワーの水も集めて無駄にしない
  • トイレをゴミ箱として使わない※何でも流さない
  • デュアルモードの貯水槽を設置する
  • 水漏れしている貯水槽や蛇口をチェック&修理
  • 洗濯機や食器洗い機には満杯の食器を入れ、節水プログラムを使用する
  • シンクに流すものに注意する
  • 流水で食品を解凍しない


ドイツにおける屋上緑化と壁面緑化

ドイツでは、都市の水管理に対する解決策として、屋上や壁面の緑化を採用しています。その取り組みは1960年代から始まり、1975年にはFLL(屋上緑化のガイドライン)を制定するなど、世界的にみても屋上・壁面緑化のパイオニアです。具体的には緑化により雨水を吸収し、流出水を減らして排水システムの負担を軽減します。また、緑化は断熱効果をもたらし、都市のヒートアイランド現象を緩和し、生物多様性を高める効果もあります。

緑化には初期投資やメンテナンス費がかかりますが、ベルリン市をはじめ、ドイツでは100都市以上で緑化に関しての補助金・助成を実施。10~15年で回収がみこめるとされています。一例として、1983年から1997年には中庭緑化プログラム(Courtyard greening program)を実施。1平方メートルあたり施工費の約半額に相当する37ドルから75ドルが助成され、この期間中に63,500平方メートルの屋上緑化が導入されました。

また「建築物エネルギー法(GEG2020)」や「効率的な建築物のための連邦資金(BEG)」など、建築にまつわる法律と財政支援も手厚い点も特長です。これらのアプローチは、水質を改善することでSDG6を、持続可能な都市環境を促進することでSDG11をサポートしています。

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サウジアラビアの海水淡水化プラント

乾燥した気候のサウジアラビアは、水の需要を満たすために海水の淡水化に国をあげて力をいれています。2007年にはわずか2,520万人だった人口が2018年には3,350万人に増加し、飲料水の需要が70%増加したことも水不足の背景にあげられています。そこでサウジアラビアは海水を飲料水に変換する最先端の海水淡水化プラントを導入、2022年からは日本の東レの逆浸透(RO)膜の技術がサウジアラビアのラービグ3海水淡水化プラントで導入されています。ラービグ3海水淡水化プラントは60万m3/日の造水量を誇り、RO膜法としてはサウジアラビア王国で最大であり、世界でも上位に入る大規模プラントです。

海水の淡水化には大きくわけて「蒸発法」と「逆浸透膜法(RO膜法)」がありますが、技術の進歩により、より効率的で環境に優しいものに進化しています。このアプローチは水不足に対処し、清潔な水の確実な供給を確保することでSDG6をサポートしています。

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チリの霧除けネット

降雨量の少ないチリの沿岸砂漠では、「Fog Catcher -霧ネット‐」を使って空気中の水分を回収しています。チリのカルロス・エスピノーザ教授が発明、特許を取得しており、同教授はユネスコに特許を寄贈して世界中で利用できるようにしました。このネットには霧を捕獲し、水に変える機能があります。霧はネットを通過し、その中に含まれる水が閉じ込められチューブとパイプを通って収集タンクに送られます。霧と風があることが不可欠ですが、チリの沿岸地域は霧の採取に適しています。セログランデ生態保護区では、採取した霧水は保護区自体の灌漑、動物への給水、ビールの製造、消費用の水など様々な用途に使用されています。保護区には 29 の霧捕集装置があり、霧採取網は合計 250 平方メートル、チリで最も重要な霧のオアシスの 1 つとなっています。この革新的な方法は、乾燥地帯に水源を提供するモデルケースになっています。持続可能な水源を提供することでSDG6に貢献し、気候による水不足に対処することでSDG13(気候変動対策)に貢献しています。

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日常生活で役立つ節水のヒント

節水には大規模な解決策も重要ですが、個人の行動も大きな役割を果たします。バルセロナの10のヒントに加えて、誰でも今日から取り入れられる実践的なヒントをいくつか紹介します

  1. 植物を庭に植える
  2. 野菜や食器は「ため洗い」をする
  3. お風呂は一緒に入るか続けて入る
  4. お風呂の残り湯を洗濯や掃除に使う
  5. 洗濯はある程度まとめておこなう
  6. トイレの大小レバーを使い分ける
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おわりに

水の確保は、世界的な緊急課題です。大規模で革新的な技術、法の整備から日々の習慣まで、あらゆる努力がこの大切な資源のサステナブルな保全に貢献します。SDGsに沿ったこれらの解決策は、水不足に対処するだけでなく、より広い範囲での環境的・社会的利益をも促進します。これらの多様な戦略から学び、実践することで、すべての人や次の世代にとって安全な水の未来を確保することができるでしょう。

元記事はこちら

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ニューロマジックでは、4つのパートにまとめた「SDGsマストの事業環境に適応するための基本ステップ」のパート1(30ページ)を無料で公開しています。SDGsの概要を改めて整理し、ビジネスにおける重要性や手法をまとめたガイドブックです。

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