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NY在住のベイカー恵利沙さんのサステナブルマインド。「自分にとって心地よい選択をすること」とは?

    

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2017年にニューヨークへ移住し、エディターやブランドとのコラボレーションといったディレクター業をおこなうベイカー恵利沙さん。現在は都市部から少し離れたエリアで暮らしながら、エシカルなライフスタイルを楽しんでいます。そんな彼女がSNSで発信する自然体のライフスタイルは、同世代の多くのファンから共感を集めています。今回はベイカーさんに、自分らしく続けていけるサステナブルなライフスタイルとマインドのコツを教えてもらいました。

私を変えたのは、ニューヨークで出会った人々の社会に対する意識の高さ

── 日本でモデルとしてキャリアをスタートされたベイカーさん。ニューヨークへの移住を決めたきっかけについて教えてください。

移住を考える前から、どこか自分にとって心地のよい居場所を見つけたいという思いが強くあったような気がします。そんな時に、撮影でニューヨークへ行く機会があって。撮影自体は2日間で終わるスケジュールだったのですが、2週間ほど休みをつなげて、モデルの友人と一緒に民泊サービスを利用し、暮らすように長期滞在を楽しみました。その時に感じたのは、あまりに人々がいい意味で無関心で、私がどこから来た何者なのかを気に留めていないということ。それがとても楽で、居心地がよかったんです。その時にここに住んでみたいと強く思うようになりました。

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サステナブルに作られたブランドのお洋服とシューズ

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── 実際にニューヨークに住むようになってから、より持続可能なライフスタイルへの関心が高まったそうですが、その影響はどういったところから受けたのでしょうか?

一番影響を受けたのは、日々の会話です。最初の頃はニューヨークの企業に就職して働いていたのですが、同僚との会話の中でも当たり前のように気候変動やフェミニズム、レイシズムといった社会問題についての話題が自然と出てくるんです。昨日観たテレビの話の流れで、社会問題について話して、そのまま今夜のディナーの話をするというような感じで。日常の会話と同じトーンでサステナビリティの話題に触れるということに驚きました。アメリカ全土というわけではないのですが、ニューヨークは特にサステナビリティへの関心が強いんです。みんなニュースや新聞などで知識を得ていて、その上で自分の意見をしっかりと持っているし、誰もが自分の意見を話す環境にいい意味でショックを受け、改めてライフスタイルを見つめ直すきっかけになりました。

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ヴィンテージのワンピース

買い物は投票だ。消費者が社会を変える力になる

── 具体的に、ニューヨークに来てからご自身の中で変化したことについて教えてください。

根本的に大きく変わったのは、買い物の基準を持つようになったこと。以前、通っていたFIT(ニューヨーク州立ファッション工科大学)で、ファッションマーケティングのクラスで購買基準の話をしている時に、18歳から22歳くらいのクラスメイトたちが、当たり前のことのように自分たちの買い物の基準について話しているのを見て、とても刺激を受けました。基準は人それぞれで、動物福祉の視点で動物実験をしていないブランドからしか買わない、ヴィーガンのものしか買わないという人もいれば、ウィメンズエンパワーメントをしている企業からしか買いたくないなど。インフルエンサーに対しても、自分が賛同しない商品や会社をプロモートしていないか見極めていたり、自分の意思を消費行動にしっかりと反映しているんです。「買い物は投票」という言葉は日本でも聞きますが、その意識を実践している人を目の当たりにして、かっこいいなと思うようになりましたね。自分が稼いだお金だからこそ、商品や企業が何をサポートしているのかを知りたいし、せっかくなら良い循環につながるものにお金を使いたいと考えるようになりました。

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── 今、ベイカーさんの中での購買基準はどのようなものがありますか?

明確な基準を挙げることはとても難しいのですが、サステナブルを意識する以前から古着やヴィンテージが好きなので、そういった二次流通の商品を買うようにしています。お洋服や家具、日用品を買うときは、最初にセカンドハンドショップと呼ばれるリサイクルショップを覗いてみたり、新品の商品を購入するときは、はっきりとした基準があるわけではないのですが、ブランドのウェブサイトやSNSから、生産背景やブランド理念を調べてみて、自分が納得できて、好きだと思えたら買うようにしています。

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ベイカーさんのお父さんから譲り受けたシャツと、大学生の時に購入したヴィンテージのセリーヌのバッグ

── 最近購入したお気に入りのアイテムはありますか?

近所のセカンドハンドショップで購入した花瓶がお気に入りです。このお店は、近所の人が寄付した商品を扱っていて、収益は地域のコミュニティに還元される仕組みになっています。ホームレスの方たちの食事のケアやシェルターの運営をされている団体と連携をしていて、地域の人が使わなくなったものを集めて販売したお金が、地域に還元されるという身近な循環がとてもいいなと思いました。デザインが可愛いだけでなく、自分の出したお金が実際にどう使われているのかが明確になっていると嬉しいですね。

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セカンドハンドショップで購入した花瓶

自分にとっての "心地よい" を見つけるために私たちにできること。

── これからの未来に希望を感じる瞬間はありますか?

ニューヨークに暮らしていると、消費者のパワーを日々実感しています。先ほど挙げたインフルエンサーの件もそうですが、企業もそうした消費者の反応を意識したモノ作りや広告へとどんどん変わっていっていますね。その大きな流れの中で、ニューヨーク州ではアメリカ初のファッションブランドに対する「ファッション・サステナビリティ&ソーシャルアカウンタビリティ法案」が提出されました。これは、年間売上が1億ドル以上のアパレル・フットウェア関連企業に対して、気候変動や労働権侵害における説明責任を問う法案で、可決されると賃金の中央値や温室効果ガス排出量、水や化学物質の管理など、社会および環境への影響が大きい部分を数値で開示するといった厳しいチェックが加わることになります。こういった一歩がアメリカ全土へ、そして世界へと広がっていけば、少しずつよい方向に変わっていけると思っています。

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ヴィンテージショップで見つけたシェルのアクセサリーケースとソイワックスのキャンドル

── 最後に、ZOZOTOWNユーザーである読者に向けてメッセージをお願いします。

若い方たちのなかには、今いる場所に居心地を悪く感じたり、社会にインクルードされていないような気持ちになってしまう人もいるかもしれない。実際に私もそういうふうに感じる時がありました。でも、ニューヨークに来て、異なる価値観が行き交う広い世界があることを知り、とても気持ちが楽になったんです。大人になるということは、自分にとっての "心地いい" を探しにいけることなのだと思います。それは場所だけでなく、時間の使い方や手に取るものによっても得られるはず。そのためにも、社会や世界、そして自分自身について正しく知って、日々選択していくことが大切なのだと思っています。そうした一人ひとりの選択や意思が、よりよい未来や社会につながっていってほしいですね。

ニューヨークで暮らすベイカーさんの目線から、消費者の意識や選択が社会にもたらす影響力についてお話を聞くことができました。今はSNSを通じて、世界の状況や人々の考えがシェアされる時代。そういった世界の情報を知ることで、自分にとって心地よい日々の選択をしていくことができるのだと勇気づけられるお話でした。

元記事(2023.05.16公開)はこちら

露木 しいなさん

ベイカー恵利沙 (ベイカーエリサ)

1989年生まれ、オレゴン州と千葉県育ち。2017年にニューヨークへ拠点を移し、モデル、スタイリスト、エディターとして現地のトレンドを発信。ファッションブランドとのコラボレーションを多数手がけ、女性をエンパワーする発言や行動が共感を呼んでいる。
Instagram : bakerelisa
YouTube : Sun Is Out

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