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日本でもいつか売れ残りの廃棄禁止に!? EUで施行された「エコデザイン規則」

    

ニューロマジック

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EUで今年の7月18日から施行されたエコデザイン規則(Ecodesign for Sustainable Products Regulation)は、持続可能な製品設計を促進し、環境への影響を最小限に抑えることを目指す新しい規則です。EU市場に出される製品の循環性、エネルギーパフォーマンス、その他の環境持続可能性の側面を大幅に改善することを目的としています。

これまでのエコデザイン"指令"(Ecodesign Directive)が、"規則"になったことに加え、エコデザイン指令では主にエネルギー関連製品に焦点を当てていましたが、エコデザイン規則は適用対象を域内市場に流通するほぼ全ての製品に拡大します(食品、飼料、医薬品、生きた植物や動物などは除く)。今回の指令から規則への厳格化と拡大によって、サステナブルな未来に向けて製品設計の基準が一貫して強化され、企業はより一層責任ある製造方法を取ることが求められます。

エコデザイン規則は、企業と消費者の双方にとってサステナブルな選択を促す重要なツールとなっていくでしょう。消費者は、より環境に優しい選択肢を手に入れることができ、企業はサステナブルな製品を提供することで、社会的責任を果たすだけでなく、ビジネスチャンスを拡大させることができます。EUがこの規則を導入することで、グローバルな製品設計の基準が引き上げられ、他の地域や国々にも同様の規制が広がる可能性は大いにあります。日本で適用される日もそう遠くはないかもしれません。本記事では、エコデザイン規則とは何か、そして今から準備できることを一部ご紹介します。

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"サステナブルなプロダクト"とは?

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現在、EUでは「循環型経済」への移行が急務とされています。循環型経済とは、地球資源の有限性を前提に、資源を最大限に活用し、廃棄物の発生を抑えながら、再利用・再生利用することを目指す経済モデルです。エコデザイン規則は、脱炭素と経済成長の両立を図る「欧州グリーンディール」の一環として発足されました。資源を無駄にせず、環境に優しい製品を生み出すことで、EUが2050年までにカーボンニュートラルを達成するための重要なステップとして位置付けられています。また、消費者にとっても製品の耐久性や修理可能性が向上し、より長く使える製品を手に入れることができるというメリットがあります。

では、具体的にサステナブルなプロダクトとはどんなものでしょうか? エコデザイン規則の定義によると、以下の特徴の一つ以上を備えている必要があります。

  • より少量のエネルギーを使用する
  • 長持ちする
  • 簡単に修理できる
  • 部品が簡単に分解され、再利用可能
  • 有害物質が少ない
  • 簡単にリサイクルできる
  • リサイクル素材が多く含まれている
  • ライフサイクル全体で炭素および環境への負荷が低い

また、エコデザイン規則の発足に際して新たに追加された重要な要素が、以下の3つです。

①デジタル製品パスポート(DPP)の導入

各製品にデジタル製品パスポートを導入し、製品の持続可能性や循環性に関する情報を電子的に提供します。これにより、消費者や企業、規制当局がより適切な判断を下すことが可能になります。

②売れ残り製品の廃棄禁止

売れ残った繊維製品や履物の廃棄が禁止されました。将来的には、他の分野にも同様の禁止措置が導入される可能性があります。

③グリーン公共調達の必須化

公共機関が製品を購入する際、必須のグリーン公共調達の基準が導入され、持続可能な製品の需要が増加し、企業がこの分野にさらに投資するインセンティブが高まります。

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②の「売れ残った繊維製品や履物の廃棄を禁止」はファッション業界に大きく影響すると予想されています。2000年から2014年までに、一人当たりの衣料品の平均購入量が60%増加した一方で、購入後の所有期間は半減しているそうで、衣料品の85%がごみとして廃棄されていると言われています(参照元:World Economic Forum )。実はエコデザイン規則に先立って、フランスは、2020年2月に世界で初めて「循環経済法」を公布し、アパレルの売れ残り商品の廃棄を禁止しています(参照元:消費者庁 )。フランスでは、ファッション業界の大量廃棄の問題が業界や個人ではなく、社会全体の問題として位置付けられているようです。

企業への影響とビジネスチャンス

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エコデザイン規則は、企業にとって挑戦でもありますが、新たなビジネスチャンスをもたらす可能性も秘めています。製品の設計段階からサステナビリティを考慮することは、短期的にはコストがかかるかもしれません。しかし、長期的には資源の効率的な利用や製品寿命の延長が、コスト削減やブランド価値の向上に繋がります。

特に、環境意識の高い消費者層は、持続可能な製品に対してプレミアム価格を支払う傾向があります。企業は環境に配慮した製品を提供することで、競争力を高めることができるでしょう。また、エコデザイン規則に準拠した製品は、EU市場での販売が容易になるため、国際的な展開を目指す企業にとっても大きな利点となります。

未来の製品設計は、環境への配慮が欠かせない要素となりつつあります。エコデザイン規則は、その道筋を示す重要な規制であり、これを適切に活用することで、企業は持続可能な未来に貢献できるだけでなく、消費者にとってもメリットのある製品を提供することができるでしょう。

今からできること

将来的に同じような規則がもし日本で適用されたら、企業の体制を変えるには多くの時間を要するでしょう。そこで最後に、今から徐々にできることをご紹介します。

1. 製品設計の見直しとサステナブル設計基準の採用

エコデザイン規則に適応するためには、製品設計の段階から持続可能性を重視することが求められます。これらの基準を取り入れ、サステナブル設計を実践することは、エコデザイン規則への対応に直結し、EU市場での競争優位性を保つ助けとなります。

  • エネルギー効率の向上
  • 耐久性と修理可能性の向上
  • 再利用とリサイクルの促進

2. デジタル製品パスポート(DPP)の導入準備

エコデザイン規則の一環で導入されるデジタル製品パスポート(DPP)は、製品のサステナビリティに関する情報を消費者や企業、規制当局に提供するツールです。それが実施される際には以下のようなデータ管理のシステムを整備する必要があります。

  • 製品のサステナビリティに関する情報の透明化:製品の材料、製造工程、エネルギー消費、リサイクル可能性などのデータを詳細に収集し、DPPに反映できる体制を整える。
  • デジタル化の促進:企業内でデジタルプラットフォームを導入し、製品情報のリアルタイムでの更新や消費者への公開をスムーズに行う。

3. サプライチェーンの持続可能性の確保

サプライチェーン全体の持続可能性も、エコデザイン規則において重視される点です。日本企業が国際的な競争力を維持するために、以下の点を強化することが求められます。

  • サプライヤーの選定:環境基準に適合したサプライヤーを選定し、サプライチェーン全体で持続可能な資源利用と製造工程を確保する。
  • 資源効率の最適化:資源使用を最小化し、サプライチェーン内での廃棄物削減を目指す。
  • グリーン物流の推進:環境に配慮した物流戦略を導入し、CO2排出量を削減する。

4. 循環経済への取り組み

循環経済の概念を採用し、資源の再利用と廃棄物の削減に取り組むことも、日本企業がエコデザイン規則に備えるための重要なステップです。特に、以下の取り組みが有効です。

  • 製品ライフサイクルの最適化:製品の設計から廃棄までのライフサイクル全体を見直し、廃棄物を削減するプロセスを確立する。
  • 製品の回収・再製造システムの構築:使用済み製品を回収し、再利用やリサイクルを促進するためのシステムを導入。

ここであげたのは一部の例です。企業の規模や環境によってすぐに取り組めることは変わってくるでしょう。大切なのは、変革には時間がかかることを理解して少しずつ進めていくことではないでしょうか。

元記事はこちら

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