コスメロスの名付け親、イガリシノブさんが提案するアートな未来
心をときめかせるはずのコスメを、使い切れずに捨ててしまうのは心苦しいですよね。この問題にいち早く気付いて「コスメロス」という言葉を生み出し、コスメロス協会を立ち上げたメイクアップアーティストのイガリシノブさん。「コスメロス」とは、使い切ることなく捨てられるコスメのこと。そういったコスメにも価値を見出し、ポジティブなパワーを多くの人に届けるイガリさんにお話を伺いました。
── イガリさんは、メイクの楽しさや魅力はどんなところにあると思いますか。
メイクは、私たちの人生を楽しく豊かにしてくれるものだと思います。例えばシワが刻まれたおばあちゃんも、赤いマニキュアを塗った手元が目に入るだけで笑顔になったり、普段あまりメイクをしない人もリップを塗ると自然とテンションが上がったり、メイクアップアーティストとしてメイクが持つ魔法のようなパワーをたくさん見てきました。
さらに使い終わったコスメを余すことなく活用できれば、メイクをする人もしない人も、大人も子どもも、みんなが楽しめるものになります。私がプロデュースするコスメブランド「WHOMEE(フーミー)」でも、破棄されたコスメをインクにして商品が並ぶ店舗の什器(じゅうき)に使ったりしています。SminkArtさんや企業の方に協力してもらい、子どもが遊べる絵の具に再利用してアートイベントを開催したりもしています。
(コスメロス協会Instagramより)
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── イガリさんは2023年にコスメロス協会を立ち上げていますが、コスメロスを意識するようになったきっかけを教えてください。
メイクが好きでも、コスメの裏側にどんな問題があるのかまで目を向けている人はまだそこまで多くないと思います。私も、2018年に「WHOMEE」を立ち上げてコスメをつくる側になって初めて「せっかくつくったコスメを最後まで使ってもらいたい」と思うようになり、業界が抱えるコスメロス問題と向き合うようになりました。
今は「コスメロス」という言葉が徐々に広まっている実感がありますが、協会を立ち上げた時はインターネットで「コスメロス」と検索しても1件もヒットしなかったんですよ。コスメを買いたくても買えない人がいる中で、こんなにもたくさんのコスメが破棄されているという現実をもっと伝えていきたい、そして「衣・食・住」と同じように「コスメ」が多くの人の人生を楽しくするものになって欲しい、という想いで活動しています。
── イガリさんがコスメロスをなくすために普段から意識していることはありますか。また、私たちにもすぐにできるアクションがあれば教えてください。
職業柄、たくさんのコスメを試す機会が多いのですが、どうしてもすべては使い切れません。数回しか使っていないほぼ新品のような状態であれば、使った部分を削って消毒して、アシスタントや、コスメを買いたくても買えない生活保護を受けている方に譲るようにしています。
コスメロスを減らすためにすぐに始められることとしては、まずはコスメの捨て方に気をつけて欲しいですね。中身をかき出してきれいに分別すると、捨てようとしていたコスメも余すことなく資源になります。あとは、たくさんの人にメイクレッスンをしていて気づいたことなのですが、ほとんどの人が一度のメイクで少量のコスメしか使っていないんですよね。思い切ってたっぷり使うのもコスメロスを減らすための立派なアクションだと思います。
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── コスメロス協会の取り組みの中で大事にしていることを教えてください。
個人差はあれど、メイクをするようになったのは大学生や社会人など、ある程度大人になってからという人が多いと思います。これまでメイクに無縁だった人が、突然メイクをすることが当たり前の世界に放り出されたところで、「メイクってどうやるの?何を買えばいいの?」となってしまいますよね。
コスメロスも同じ。ふとしたきっかけで後から知っても、なかなか自分ごととして結びつけにくいのではないかと思っています。だからこそ私たちコスメロス協会は、「大人はメイクを楽しんで、子どもはコスメロスを使った絵の具で遊んで楽しむ」という、2世代で参加できる「親子の絆」をテーマにしたイベントを企画しています。20年後、30年後を担う世代に当たり前のものとしてコスメロスというテーマに触れてもらうことが、未来につながるんじゃないかなと思っています。
── コスメロス協会として、今後の活動で取り組みたいことはありますか。
メイクアップというカテゴリの枠を超えて、コスメロスをアートへ落とし込んでいきたいですね。例えば、街の工事現場って真っ白な壁に覆われていて、なんだか暗いところが多いじゃないですか。そこに破棄されたコスメを絵の具として置いておいて、白い壁に誰でも自由に絵を描けるようにするなど、コスメで街にも明かりを灯せたらなと思っています。自分一人では難しいことも、影響力のある人や企業と手を取り合いながら、幅広い分野で一人でも多くの人にメイクの楽しさを伝えていきたいです。
イガリさんがコスメロスに向き合い続けるのには、「心をときめかせるメイクのパワーを、一人でも多くの人に平等に届けたい」という想いがあることがわかりました。コスメを買ったらそこで終わりではなく、その先にあるコスメロスまで意識を向けてみてください。地球の未来、そして自分自身もさらにキラキラと輝くはずです。
元記事はこちら
イガリシノブ (BEAUTRIUM)
イガリシノブ (ビュートリアム)
ヘアメイクアップアーティスト。ファッション雑誌・広告などのヘアメイクを手掛けるほか、メイク講師としても幅広く活動し、2018年にはコスメブランド「WHOMEE」、2020年には「BABYMEE」を始動。主な著書に、「イガリメイク、しちゃう?」(宝島社)、「裏イガリメイク、はいどうぞ」(宝島社)、「イガリ印 365日メイク図鑑」(講談社)など多数。2023年からは、「コスメロス協会」の代表に就任。
WEB : WHOMEE
instagram : igari_shinobu
youtube : イガリメイク IGARIMAKE