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イタリアには「野良猫」はおらず、いるのは「自由猫」だけ。世界の猫にまつわる法律

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2月22日は、「2・2・2」が「ニャン・ニャン・ニャン」と猫の鳴き声に近いことから「猫の日」とされています。ペットフード協会によると、日本では猫の飼育頭数は約906万9千匹(2023年時点)で、その前年から約23万匹も増加(参照元:産経新聞 )。飼育数が減少している犬と比べ、手がかからないイメージも影響していると考えられています。

とはいえ、生き物を飼うことは簡単ではありません。命に関わる飼育には重大な責任が伴います。ペットは多くの人にとって家族のような存在。SDGsにペットに関する具体的な明記はありませんが、今回は猫の日ということで、SDGsの目標3「すべての人に健康と福祉を」をペットにまで広げて考えてみたいと思います。そこで本記事では、野良猫を含め、猫を守るための世界中の先進的な法律に注目。世界から日本は何が学べるのでしょうか?

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猫に約束された快適な環境(デンマーク)
北欧・デンマークでは、動物福祉に関する最低基準を定めた法律「猫を飼うための動物福祉の最低要件に関する法令」があります。このなかで、第7章第25条は、6平方メートル未満の空間で飼育されている猫に、毎日運動できるスペースや別の場所へのアクセスを提供することを義務付けています(参照元:Retsinformation )。つまり、猫が快適に過ごせる環境を準備できない限り、飼えないということ。まさに、猫のウェルフェアを考えた法律となっています。

地域猫は文化遺産。「野良猫」ではなく「自由猫」(イタリア)
イタリアの首都ローマを擁するラツィオ州では、地域猫が生物文化遺産として位置付けられています。州の規則では、管轄する保健当局の獣医による不妊手術の実施と、その後元の群れへ戻すことが義務付けられています。また、地域猫に対する虐待はもちろんのこと、不適切な移動も禁じられています(参照元:Consiglio regionale del Lazio)。イタリアでは外で生きる猫を「野良猫」とは呼ばず、「自由猫」を意味する"ガット・リベロ"と呼ぶそうです。

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「猫を守る=市民の義務」(スペイン)
スペインの動物福祉法には、ペットや野生動物だけでなく、地域猫との共生を支える規定が多く盛り込まれています。特に「猫のコロニー」に関する章の「市民の義務」では、市民が地域猫の安全や生活環境、シェルターに配慮する責任があると明記されています(参照元:GOBIERNO DE ESPANA)。また、地域に住み着いている猫の責任は主に市役所が担うことになり、野良猫の住処や餌の世話は市役所職員の仕事とされています。ちなみに2022年にスペインでは動物は物ではなく「感情を持つ生き物」として見なされ、ペットを家族の一員として扱うべきだと法律で決まりました。これよってペットを飼っている夫婦が離婚する際に、監護権や面会の頻度などを決めることに裁判所が介入するようになりました
(参照元:Newsweek)。

動物虐待で「生涯」動物飼育が禁止?(オランダ)
2024年1月からオランダでは、動物虐待を行った者に対して動物飼育を禁止する可能性が動物愛護法に追加されました。深刻な虐待が確認された場合は、動物飼育が「生涯禁止」とされる場合もあります。これには、身体的暴力だけでなく、飢餓状態や放置も虐待に含まれます(参照元:Rijksdienst voor Ondernemend Nederland)。また、2024年7月から施行された新法により、今後オランダで哺乳類のうちペットとして飼育が認められるのは、犬や猫、ウサギやフェレットなど30種の動物に限定されるそうです(参照元:WWF)。

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猫以外にも......

スイスでは、モルモットやネズミ、インコなどの社交的な性質を持つ動物の単独飼育が法律で禁止されています。動物の社会的ニーズを考えた規定の例です(参照元:Federal Office for Food Safety and Veterinary Affairs)。他にもスコットランドでは、2023年6月に「花火および火工品(スコットランド)法」が施行されました。この法律は、花火によるペットや野生動物への苦痛を軽減することも考慮しています。自治体は、花火使用が禁止される区域を設定する権限を持ち、花火の破片が動物に与える危害を防ぐことも含まれています(参照元:Scottish Government)。

最後に

世界には、基本的な健康はもちろんのこと、動物のウェルビーイングや気持ちに寄り添った法律が数多く存在します。法律が変わることで人々の意識が変わる場合もあります。いろいろな観点から動物を守ろうとする各国の法律や規制から日本も学べることがあるのではないでしょうか。

身近な動物のウェルビーイングを考えることがきっかけに、より広い視野を持って、野生の生物や地球のウェルビーイングを考える機会にこの記事がなれば幸いです。

元記事はこちら

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