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豊かな未来のきっかけを届ける

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3月8日は国際女性デー ジェンダー平等がどのように持続可能な社会、豊かな未来に繋がっていくのか。その意義や現在の状況について知り、考えていきましょう。

テーマは「アクションの加速」|世界中で前進を促す国際女性デー

Pikisuperstar via Freepik
3月8日の国際女性デーを象徴する、女性の横顔のイラスト
Pikisuperstarvia Freepik

今年も間もなく、国際女性デー(International Women's Day)がやってきます。DEIに反対する声がある中で(※1)、こうしたイベントをきっかけに多様性について改めて議論することが、これまで以上に重要になってきました。国際女性デーは毎年3月8日、全世界の多くの国々で記念行事が行われます。この記念日は、北米とヨーロッパ全域で20世紀初頭に現れた労働運動に端を発しています(※2)。1908年、ニューヨークの縫製工場で働く15,000人もの女性労働者たちがストライキを行い、労働時間の短縮や賃金アップなど労働条件の改善、そして参政権を訴えました。このことを記念し、アメリカでその翌年に誕生した「全国女性の日(National Women's Day)」が、現在の国際女性デーの前身となります。しかし国際的に認知されるようになったのは、1975年に国連が正式に「国際女性デー」と定めてからのことです。この記念日の主な目的は、女性の功績を讃えることだけではなく、今も依然として存在する様々な格差や偏見をなくすことにあります。例えば、家庭でも職場でも責任を抱え込みバーンアウトに陥る女性が依然として多い(※3)こと。また気候変動や災害が原因(※4)で、食糧や飲料水が不足するなど日常生活を送れないストレスが女性への虐待につながるなど、その問題は多岐にわたります。

国際女性デーへの各国の取り組みと企業の思惑

国際女性デーに対する認識や取り組み方は、国によって違いがあります。アメリカでは3月を「女性史月間(Women's History Month)」とし(※5)、歴史上重要な役割を果たしてきた女性たちを讃えるイベントが各地で行われます。ロシアやポーランド、セルビアなどのスラブ諸国では女性にバラの花を贈る(※6)習慣があり、例年この時期の花の売り上げは通常の2倍になるそうです。中国ではこの日、女性たちに半日休暇を取得することが法律で認められており、男性からプレゼントが贈られる習慣などもあります。

また各企業も、SNSへの投稿や広告キャンペーンなど、この期間に合わせて様々な発信や活動を行います。例えば、アメリカを代表するチョコレートブランドである「Hershey's」は「#HerSHEキャンペーン」で、チョコレートバーのパッケージに世界で活躍する女性たちの顔と功績をデザインして販売しています。パッケージに印刷されたQRコードを通じて、これらの女性たちの詳細な情報にアクセスできる仕組みも取り入れ、知られざる女性の功績を讃えています。また同国の大手小売り企業「Target」は、女性デザイナーや女性起業家が手掛けた商品を特集し、店頭やオンラインストアで販売しています。女性クリエイターの支援と認知度向上が目的です。しかし、このような企業の動きは時に表面的なパフォーマンスと受け取られ(※7)、「ピンクウォッシング」と批判されることがあります。ピンクウォッシングとは、企業が「女性支援」を単なるイメージアップや売上向上に利用し、女性の労働環境改善などの実質的な取り組みを行わないことを指します。

「マシュプリッツォット」がイスラエルのピンク·ウォッシングに抗議する姿
「マシュプリッツォット」がイスラエルのピンク·ウォッシングに抗議する姿
TMagen,CC BY-SA 3.0,via Wikimedia Commons

前進のために企業ができること

国際女性デーではテーマが毎年設定されます(※8)が、今年は「Accelerate Action(アクションを加速させる)」がテーマとなっています。国際女性デーの公式サイトによりますと、現在の「格差解消」への進捗スピードは極めて遅く、ジェンダー格差が完全になくなるまでには5世代、西暦にすると2158年までかかるということです。今年の国際女性デーの目標は、まさにこのスピードを加速させることです。これは、表面的な広告キャンペーンを1カ月行うようなことではなく、確実な変化を社会にもたらす実質的な行動を起こすということです。

私たちは、誰もが自ら行動できます。その行動がたとえ小さなものであっても、女性が活躍し成功する未来への一歩を踏み出すことができます。企業は、その未来を実現するために、状況を大きく前進させる重要な役割を担っています。アメリカのソフトウェア企業、「Flywire」や損害保険会社の「Liberty Mutual」はいずれも大手上場企業ですが、国際女性デーには女性のゲストスピーカーを招き、社内でイベントを開催しています。また同じくアメリカの「EngageSmart」というソフトウェア企業は、2024年の国際女性デーに合わせ、女性のための従業員リソースグループ(ERG)を新設しました。国際女性デーの重要なテーマである「Women at Work(職場における女性)」プロジェクトによれば、昨今の職場での女性格差は、まだほとんどが解消されていない(※9)とのことです。こういった状況から、2025年は、企業全体としての取り組み、ERGの設立やDEIプログラムの推進がますます必要とされていると言えます。今年の総合的なミッションは、性別による賃金格差の縮小と、格差解消へのアクションを再び前進させること。これらを実現することで、女性が活躍できるインクルーシブな職場環境を作り出すことが目標です。

調整前の賃金格差:男性の中央値賃金に対する割合(2022年)
調整前の賃金格差:男性の中央値賃金に対する割合(2022年)
Gender wage gapvia OECD

個人でも出来るジェンダー格差解消への取り組み

国際女性デーは、私たち一人ひとりが貢献できる素晴らしい機会を提供しています。例えば、大手企業の女性CEOたちによるパネルディスカッションなどは、オンライン・会場参加両方の形式で、数多く開催されます。しかし真の変化は、イベント参加に留まることなく、社会の偏見と正面から向き合うことに始まります。そしてそれは「家庭」が起点となる(※10)のです。これまでの古い価値観を捨て、家事の分担を見直し、女性が社会において果たしている大きな価値を理解すること。それこそが、家庭と職場の両方における格差を根底から取り除く、最善の方法です。

日常生活の中で、私たちが一つ一つの行動に意識を向けることは非常に重要です。それが社会にポジティブな変化をもたらし、格差解消を加速することができるのです。

2025年国際女性デーのテーマ「Accelerate Action」のイラスト
2025年国際女性デーのテーマ「Accelerate Action」のイラスト
Download IWD 2025 Social Media CardsviaIWD
  • 執筆 A.Parks   翻訳・編集 K. Tanabe

元記事はこちら
オリジナル英語版はこちら

ラーニングサイクル

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