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過去60年間で国内最大規模の林野火災から1年、大船渡の森はどうなっているのか? いま、私たちにできること

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2025年2月に岩手県大船渡市で発災した「大船渡市大規模林野火災」から、今日で丸1年が経ちました。
鎮火が宣言されたのは、発災から41日目のこと。延焼範囲が市の約1割の面積にあたる約3,370ヘクタールに及び、1964年以降で国内最大規模の林野火災となりました。

火災当時の写真(提供:大船渡市)
火災当時の写真(提供:大船渡市)
火災当時の写真(提供:大船渡市)

あの日、現場では何が起きていたのでしょうか。サストモの森編集部は2026年1月、大船渡市の渕上清市長と、森の再建に携わる青葉組の代表・中井照大郎さんのもとへ向かいました。

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面積の約8割を森林が占める大船渡市と、森の関係性

大船渡市と、森の関係性

海沿いに市街地、その背後に山々が連なり、風光明媚な景色が広がる大船渡市。森と海が非常に近く、自然環境と生活、産業が切り離せない関係性であろうことが伝わってきます。

大船渡市の渕上清市長は、地域における人と森との関係についてこう話します。

大船渡市の渕上清市長。自身も山の近くで育ち、子どもの頃は森の中に秘密基地をつくって遊んでいたという
大船渡市の渕上清市長。自身も山の近くで育ち、子どもの頃は森の中に秘密基地をつくって遊んでいたという

「大船渡市はリアス海岸特有の入り組んだ地形で、市街地のすぐ背後に山が迫っています。市の面積は約322.5平方キロメートルありますが、その約8割が森林で、林業や漁業などの産業を支えてきた基盤となる存在です。森と人の生活が非常に密接に関わってきました」

そんな地域で2025年2月26日に発生した大規模林野火災。

消防庁が公表している統計資料によると、2020年〜2024年の5年間の平均では、年間約1,200件の林野火災が発生し、焼損面積は約800ヘクタール、損害額は約3.2億円にものぼった(林野庁「昭和22年以降の林野火災発生件数の推移」より)
消防庁が公表している統計資料によると、2020年〜2024年の5年間の平均では、年間約1,200件の林野火災が発生し、焼損面積は約800ヘクタール、損害額は約3.2億円にものぼった(林野庁「昭和22年以降の林野火災発生件数の推移」より)

同年4月7日に鎮火が宣言されるまで、実に41日もの期間を要しました。ここまで大規模化した要因は何だったのでしょうか。

「やはり気象条件が一番影響していると思います。長期にわたり雨が降らなかった上に、乾燥注意報も連日発表されていました。3月4日までの30日間の降水量は2.5ミリ程度で、平年比の5パーセントぐらい。つまり、乾ききっていたということです。体感としても、12月あたりから、傘を必要とするような雨は降っていなかったのではないかと。

また、発災当時は最大瞬間風速が18メートルを超える強風で、リアス海岸の急峻で入り組んだ地形などの要素も重なり、被害の大規模化に影響したと考えられます」

渕上清市長2

今回の大規模林野火災では、最大で1,896世帯4,596人が避難対象となり、避難指示区域の拡大にともない途中で閉鎖した避難所を含め、計16か所の避難所が設営されました。

「残念なことにお一方がお亡くなりになってしまいましたが、多くの方は無事に避難されました。避難指示の発令から避難所の開設には、何よりもその地域のリーダーとなる方々の協力が大きかったと思います。

避難者自身も、支援する側と一緒になって避難所を運営してくださった。これは、東日本大震災の経験が大きく活かされたと思います」

提供:大船渡市役所
提供:大船渡市役所

しかし、地元では時間が経ってから顕在化した課題もありました。

山の持つ土砂災害防止や治水、水源涵養などの機能は、森が焼けてしまったことにより低下しました。これらは無くなってからあらためて気づかされた森の役割でもあります。土砂災害などの二次被害は絶対に起こしてはならないので、防災面での影響が、現在は一番心配なところです。

それからもう一つ心配なのは、森林の被害面積が膨大であるため、再生に時間がかかることです。また、再生に多額の費用を要することも、今になって顕在化した課題と言えるかと思います」

林野火災の二次被害として、外食の自粛や観光控えなどもあったという。当時は歓送迎会の時期だったが、地元の飲食店ではキャンセルが相次ぎ、ホテルなどの宿泊予約も激減した
林野火災の二次被害として、外食の自粛や観光控えなどもあったという。当時は歓送迎会の時期だったが、地元の飲食店ではキャンセルが相次ぎ、ホテルなどの宿泊予約も激減した

この1年で、大船渡の森の復旧・復興はどこまで進んでいるのでしょうか。市長によると、ようやく出発点に立ったところだそうです。

林道の補修や被災木の撤去、治山ダムや砂防堰堤の整備など、復旧に向けた取り組みを着実に進めています。
また、令和8年1月1日からは、林野火災警報・注意報の運用を開始し、警報発令時には火の使用を罰則付きで制限するなど、林野火災を未然に防ぐ取組を進めています。

今回の火災の経験を踏まえ、森林復旧はもちろんのこと、林野火災の予防と消防体制の強化にも取り組んでいきます」

数十年という年月をかけて成長する森は、地域の先人たちが残してくれたもの。次の世代に森を残していくことの責任について、こう話します。

「大船渡市の約8割が森林だとお話ししましたが、我々はその森林が整備された状態で生まれ育ってきたので、戦後の植林時代を経験していないんですね。たくさんの木を植えてくれた先人たちのおかげで、この自然環境が育まれて今があるわけです。

次の世代へ残すという観点では、森を守ることは単純に自然を守るだけではなく、地域の生活基盤、産業基盤を将来にわたり維持することにつながっているんだと強く伝えていきたいです。

我々にとって当たり前にあった森の恩恵を、その次の世代も享受できるよう、責任を持って森林復旧に取り組んでいきたいと思っています」

大船渡の森の復旧・復興

青葉組が見つめる、森林再生の現場

さて、大船渡における森林再生の現場はどうなっているのでしょうか。続いて、林野火災のあった三陸町綾里地区へ向かいました。海沿いの道を走る途中から、木々の根元が黒く変色している様子が見られ、明らかに他のエリアと違っているのがわかります。

よく見ると、木々の根元が変色していることがわかる
よく見ると、木々の根元が変色していることがわかる

大船渡市で山林の再生に取り組んでいる団体等の一つとして、植林・育林のプロフェショナルである青葉組がいます。

自然再生をミッションとする会社として6年前に創業した青葉組は、造林からスタートした会社。現在は湿地の造成や草地の維持、水源保全、生物多様性保全など、地域の生態系機能を総合的に回復する活動へと拡張しています。

東京を拠点に、栃木県、新潟県、茨城県や福島県の一部で活動していますが、大船渡市に拠点を持つ「岩手団」を正式に立ち上げました。大規模な山火事からの森林の再生は、青葉組にとっても初めてのチャレンジです。

青葉組代表の中井照大郎さん。2025年6月頃から大船渡へ入り、現在も月1〜2回の頻度で訪問しているそう
青葉組代表の中井照大郎さん。2025年6月頃から大船渡へ入り、現在も月1〜2回の頻度で訪問しているそう

代表の中井さんは、現場を最初に見たときを、こう振り返ります。

「森林が燃えたと聞くと、たくさんの木がバーっと燃えているイメージを持たれると思います。ただ、多くの延焼エリアは実際にはそうではなくて、木の高さ1メートル未満ぐらいまでの林床、つまり地表が主に燃え広がっていました。針葉樹のスギやマツの葉は油をたくさん含んでいるので、地面に近いところにあった落ち葉、特に杉の葉っぱが一番燃えたと考えられます」

近年の山火事における大規模化の要因として、気候変動による雨量の変化の他に、「樹種の問題」もあると中井さんは指摘します。

「現場を歩いてみて、油を多く含む針葉樹は燃え広がりやすい一方、広葉樹は水分量が多いので、延焼しにくいように見えます。東北地方の広葉樹は冬に葉が落ちる落葉樹のナラやブナなのですが、そういう木の多くは、延焼範囲の中にあっても火災後に生きていました。

これからは針葉樹の間に広葉樹を入れていくとか、尾根や谷筋には広葉樹を挟むとか、太平洋側で風が強いエリアなどは、そうした山火事を前提とした森づくりをしていかなくてはならないと思います」

ところで、燃えてしまった木は死んでしまうのでしょうか? そう問うと、「正直なところわからない」と中井さん。

「他地域で数年前に起きた山火事跡地では、樹皮が高さ50センチくらいまで焼けているような木々の一部はまだ上層の葉も青々としていて、葉っぱが生きているんです。でも、幹の内部は枯れてしまっていてスカスカの状態。栄養分を運ぶ形成層がまだ一部生きているんです。この状態だと木の頭の部分が重く、台風や強風時に倒木のリスクがかなり高い。全周やられてしまうと次第に枯れていきます。

多くの木は、10年とか長い時間をかけて少しずつ枯れていくんじゃないかとは言われていますが、それも可能性の話なので、まだまだわかってないところも多いですね」

外側が焼けてしまっても、中はまだ生きている場合も
外側が焼けてしまっても、中はまだ生きている場合も

焼けた木を伐採して木材として使える可能性はまだ残されているというものの、時間が経つにつれ、それも難しくなってしまいます。木が腐ると、作業も危険性が増してしまうと中井さん。

「燃えてしまうと、外側が炭になっているのでチェーンソーのフィルターに灰が詰まってしまったりして、労力を要します。生きている木はどちらに倒れるか予想できるのですが、腐って乾いていると、どっちに倒れるかわからなくなり、伐採時の危険も増すんです。植林したり再生したりするのが大変だというのは想像できると思うのですが、切って倒すところがファーストステップとしてなかなか大変です。

また、時間が経てば経つほど、放置された土地にどんどん外来種が侵入してしまい、地元在来の植生を戻していくのは難しい。生物多様性が失われてしまうと考えられます」

森林の再生はスピード勝負。しかし、作業はまだまだこれからとのこと。ここには日本の多くの山が抱える事情も影響していました。

「ある程度大きな面積ではないと重機が入っていけないので、山の所有者さんに預けてもらう必要があるのですが、多くの日本の森林と同じように細かく所有権が分かれていまして......。森林を所有している6〜7割は個人の方なので、まずはその意見を集約していかなければなりません。

『山を再生させたい』という山主さんがいる一方で、『もうこのままでいい』という方もいて、何度も説明会を行い意見調整を重ねてきました。やっと昨年末ぐらいに、ある程度の集約が終わったところで、これから伐採区域を順番に決めていきます。10年くらいはかかると思います」

青葉組の岩手団は2026年内に約5名体制を目標に採用進行中とのことでした
青葉組の岩手団は2026年内に約5名体制を目標に採用進行中とのことでした

日本の山火事は、落雷などの自然現象が原因となっているのは稀で、たき火や火入れ、放火、たばこの消し忘れなど、その多くが人為的な要因となっています。登山やアウトドアブームで火を使う人は増えていますが、乾燥している時期には山で火を使わないようにすること、火を使うときは十分に注意することが求められます。

それでは、山にそもそも行かない、関わりが薄い人が森林の再生を支援する方法として、どんな関わり方があるでしょうか。

「自然から離れた場所に住んでいると忘れがちですが、都市の生活は森林があることによって支えられています。水だとわかりやすいと思いますが、流域に森があって、そこに水が蓄えられている。森全体が燃えてしまうと、雨も浸透せず、水が表土を流れて地下に浸透しなくなるので、土砂災害が起こりやすくなります。

例えば東京の水の多くは、利根川や荒川、多摩川の上流でつくられているけれど、上流域には針葉樹と広葉樹がどれくらい植えられているんだろう?とか、興味を持って知ってもらうことがまず大事なのかなと思います。自分たちが飲んでる水とか、吸っている空気、食べ物がどこからきているか知るということ。

森だけじゃなく、湿地や草地など、自然全体を管理していくことが、自分たちが都市で生きていく上でも大事なんです。だからそういう認識をまず持っていただけるよう、広めていけたらと思います」

火災後にもかかわらず、芽が出てきた植物も。森のたくましさを感じた取材となった
火災後にもかかわらず、芽が出てきた植物も。森のたくましさを感じた取材となった

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