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知る、つながる、はじまる。

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博多湾の魚が海底ごみでピンチ。解決のために行政、ダイバー、漁業者が連携。

    

FUKUOKAおさかなレンジャー実行委員会

福岡市

皆さん、「福岡市」にどんなイメージをお持ちでしょうか?「全国住みたい街ランキング」でも常に上位をキープする福岡市の魅力といえば、やはり"食べ物が美味しいこと"ではないかと思います。その中でも特に人気の魚は、福岡市に囲まれ、玄界灘へと繋がる博多湾で獲れています。

博多湾では漁業が盛んで、獲れる魚介類は、スズキ、カレイ、エビ、タコ、アサリ、ワカメなどたくさんあります。これらの魚介類は、食卓やレストラン、居酒屋などで人々に親しまれています。さらに、福岡市では、獲れたばかりの新鮮な魚介類を市漁協が主催する朝市や夕市などで漁業者から直接買うこともできるんです!

福岡湾で取れた魚
賑やかな市場
福岡湾地図

いま博多湾が危ない?! その問題とは

博多湾は「魚が美味しい街」として知られる福岡のイメージを支え、新鮮で美味しい魚介類が獲れる豊かな海ですが、街の中から側溝や河川などを通してごみが流入し、それらの一部は海底ごみとなっています。そして、この海底ごみは、残念ながら漁業の支障となったり、漁場環境の悪化につながる要因となったりしているのです。2015年に福岡市内の漁業者を対象に実施した「漁家意識調査」では、多くの漁業者が海底ごみの増加を感じています。

漁業者を対象とした意識調査。日頃感じていることの3位に海底ゴミの増加がある。(1位:海水温度の上昇、2位:藻場の現象)
福岡市漁業協同組合青壮年部の小林克広委員長

博多湾で33年間漁業を行っている福岡市漁業協同組合青壮年部の小林克広委員長(平成30年11月撮影当時)は言います。
「漁業を行っている中で特に困っているのが、海底ごみですね。海底に沈んだごみが、網などの道具に絡んで引っかかったりしています。そのごみは全部港に持ち帰って処分しています。回収ごみの種類を見てみると、ほぼ全てが生活ごみなんです。ビニール袋やペットボトル、食品トレイ、空き缶などのごみが多いですね。博多湾には流れ込む川がいくつもあるので、これらのごみは川から流れてきているんだと考えています。」
「たとえばビニールは、簡単に腐らない(自然に還らない)ですよね。そうすると、ビニールごみは海底に沈んだあと埋まってしまう。博多湾で育つ稚魚稚貝(魚・貝の子ども)は砂に潜る習性があるのでビニールごみがあると潜れなくなって、死んでしまうんですよ。そうすると、博多湾で魚が育たなくなってしまう、これは大変な問題です。」

取っても取っても減らない海底ごみ

漁船でゴミを引き上げる様子
回収したゴミ

福岡市では漁業者と連携して、海底ごみ回収を行っていますが、回収されるごみの量は減少していません。漁業者と行政だけでは解決が困難な状況であり、海底ごみ削減に向けた新たな取り組みが求められました。

誕生! FUKUOKAおさかなレンジャー

そこで2018年。海底ごみ削減に向けた新たな取り組みとして生まれたのが、「FUKUOKAおさかなレンジャー」です。

FUKUOKAおさかなレンジャーのマスコット
FUKUOKAおさかなレンジャー~海底ゴミから博多湾を守れ!~

これは、福岡市農林水産局水産部水産振興課と、博多湾の水中環境を次世代まで伝えていくことを目的にダイバーが中心となって活動する非営利法人「一般社団法人ふくおかFUN」が共働し、海底ごみや、ごみそのものの発生を抑制するリデュースについての市民意識を高め、陸域から流入するごみを減らし、漁場環境保全の観点から豊かな博多湾を守るプロジェクトです。

取り組み内容

1. 海底ごみの「見える化」

  • 漁業者と協力し、博多湾に流入する河川の河口域を中心に調査・撮影し、ごみの流入状況・種類等の把握を進めています。
  • 海底ごみの存在を市民に知らせ、リデュース意識を高めるため、撮影した写真や映像を使って、リーフレットやポスター、動画などの啓発素材を制作しています。
ダイバーが海底のゴミを拾う様子
FUKUOKAおさかなレンジャー

2. 他団体との連携

  • 海辺や河川流域等で他団体が実施する清掃活動などに参加し、団体とのつながりを深めるとともに、海底ごみやリデュースについての啓発を行っています。
ゴミ拾いの様子

行政、ダイバー、漁業者。共通する想い

「FUKUOKAおさかなレンジャー」は行政とダイバーによる共働事業ですが、漁業者の協力のもと事業を進めています。

行政とダイバー、ダイバーと漁業者には、それまで大きな結びつきはありませんでした。特に、海に潜って生物を観察・撮影するダイバーと、漁をする漁業者は、それぞれ地元の海のことをよく知っている存在と言えますが、海との関わり方やできることはまるで違います。
ですが、「博多湾を守りたい」という共通する想いのもと、三者がそれぞれの長所を活かしながら事業に取り組んでいます。

「博多湾を守りたい」という共通する想いのもと、立ち上がった三者

具体的には、博多湾を見守り続け、海底ごみによる変化を実感している漁業者の協力のもと、日頃から漁業者との連絡・調整を行っている行政と、水中調査・撮影の技術やビーチクリーンアップなどの環境保全・啓発活動の実績があり、地元メディアとの関わりも深いダイバー(ふくおかFUN)が共働することで、より多くの人々を巻き込んだ効果的な啓発ができ、さらには、海底ごみ削減の動きを活性化できる、そう考えたのです。

事業を進める中で、もちろん、三者の立場・価値観が違うことによる試行錯誤はありますが、問題解決という共通の意思を持って、互いを尊重しながら取り組むことで、高い相乗効果が生まれています。
今後はさらに、企業やNPO、教育機関といった多様な人々を巻き込みながら、博多湾の海底ごみ削減に向けて持続的に取り組む新たなネットワークをつくっていく予定です。

私たちの街と山、川、海はつながっている

海底ごみの削減に向けた啓発活動を行っていると、「海にポイ捨てはしていないけど...」という言葉をよく耳にします。たしかに、海辺で遊んだりしたときはごみを持ち帰る人がほとんどでしょう。ですが、海底に沈んだごみはそれらだけではないのです。

街の中でポイ捨てされたごみ以外にも、持ち帰り忘れてしまったビニール袋やペットボトル、公園などの屋外のごみ箱からあふれたごみも、風が吹くと飛ばされ、雨が降ると街の側溝や川を通って、やがては海にたどり着きます。
そして、海中を長い時間漂い、最終的には海の底に溜まっていくのです。海の底にごみが溜まり続けると、稚魚稚貝はそこで育つことができません。また、長い時間をかけて小さくなったごみ(マイクロプラスチックなど)はそこで生きる魚介類がエサと間違えて食べてしまうこともあります。

海底に沈むペットボトル
 
ペットボトル中には小さなプラスチックゴミが

私たちの街と山、川、海はつながっていて、街で出たごみは川を通って海に流れ着いています。
街で出るごみを減らしたり、川をきれいにしたりすることは、海を守ることにもつながります。

山→川→海

ひとりひとりができること。まずははじめよう

さあ、ではまず何からはじめればいいのでしょうか? むずかしく考える必要はありません。私たちの生活の中でできることはたくさんあります。

  • ごみのポイ捨ては、もちろんダメ!「ちょっとくらいなら...」の気持ちが海を傷つけます。
  • マイバッグ・マイボトルを持ってでかけよう! 外出先で簡単に手に入るプラスチック、本当にいまあなたに必要なものですか?
  • 使わなくなったおもちゃや洋服、読まなくなった本、どうしていますか? まだまだ使えるものは大切にしよう! 処分するときもなるべくリサイクル!
  • 「海底ごみ」のことを周りの人に伝えよう! 地元の海の現状を知らないひとは意外にたくさんいます。身近なひとと、海や海底ごみのことを話すだけでも環境は変わります。
  • 地域の清掃活動に参加してみよう! ひとりが100個拾うごみ拾いではなく、100人が1個ずつ拾うごみ拾いへ。
清掃活動に参加しよう!

これまでのように、「だれか」だけが気をつけて生活していると取返しがつかなくなる可能性があります。
「だれか」ではなく、「じぶんが」できることを、毎日少しずつ、つづけていくことが何より大切です。

博多湾をもっと豊かな海に

「見えない」「分かりづらい」「生活との関わりが遠い(ように感じる)」海底ごみ問題。
FUKUOKAおさかなレンジャーは、この問題を誰の目にも分かりやすく、さらに、一人でも多くの人々の自発的かつ継続的な行動に繋げていくために、「海底ごみ問題を可視化」し、「海と人との関わりの場を多く生み出す」ことを大切にしています。

環境問題というと、どうしてもネガティブに捉えがちですが、そんな必要は全くありません。
「好きな魚をいつまでも美味しく食べたい」「子どもにも、孫にも、豊かな海を残したい」、その想いをほんの少し、次は「行動」に移してみましょう。
私たち一人一人が生活から出るごみを減らしたり、山や川をきれいにしたりすることが、海へ流れ込むごみを減らすことにつながります。
それが、美味しい魚が生まれ育つ豊かな博多湾をもっと豊かな海にし、未来に向けてつなげていくための第一歩です。

三者が手を合わせる

\ さっそくアクションしよう /

ひとりでも多くの人に、海のイマを知ってもらうことが、海の豊かさを守ることにつながります。

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サストモは、未来に関心を持つすべての人へ、サステナビリティに関するニュースやアイデアを届けるプロジェクトです。メディア、ビジネス、テクノロジーなどを通じて、だれかの声を社会の力に変えていきます。

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