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広告は「伝達」から「実践」の場へ。ミツバチの住処になる看板を、ナショナルジオグラフィックが設置

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「これは上手い」と思う広告に出会うことがある。それは単に看板やCMが、過剰に消費を促すためのツールではなく、世の中の注意を引き、必要な情報を届けるための仕掛けとして機能しているときだ。

これまでにも、ニュージーランド政府がデジタル広告で「人口が10万倍になった」と発表したり、フランスの旅行会社が人気観光地を"ディスる"広告を出したりすることで、見過ごされやすい課題や、それを解決するアイデアの認知拡大に寄与してきた。

そうした流れの中で、いま注目されているのが、言葉すら介さずにメッセージを伝える広告だ。2026年4月、英・マンチェスター市内各地に登場した広告は、「ミツバチの住処」だった。その名も、bloomboards(ブルームボード)。看板そのものが木製の黄色いボックス型になっており、中には細い筒のようなものが敷き詰められている。ここが、ミツバチの休息場所や住処となりうるのだ。

これは、ミツバチの生態に光を当てたドキュメンタリーシリーズ『ミツバチの秘密(Secrets of the Bees)』の公開に合わせて行なわれた取り組みで、ナショナルジオグラフィックとディズニーに、クリエイティブエージェンシー・Meanwhileが広報に加わった。屋外広告の英訳「ビルボード(Billboard)」をもじって「Bloom(花咲く)」を取り入れた表現が、なんとも遊び心に溢れている。

meanwhileagencyの投稿

この「ミツバチの住処」という名の広告は、公園や植物園の中に設置され、短期のキャンペーンではなく長期にわたって設置され続ける予定とのこと。また、1つあたり年間最大100匹のミツバチの生息を支えることができる(※)。設計には昆虫の専門家や、地元の養蜂協会が携わり、ボックスを置くだけではなく周囲にはミツバチの食料源となる蜜や花粉を確保するために草花が植えられた。

ナショナルジオグラフィックのこの試みは、これからのブランドコミュニケーションに一つの視座を与えている。これまでの広告は「⚫︎⚫︎で悩んでいるなら⚫︎⚫︎を買って」というように、誰かが抱える課題と、それを解決する商品を「文字や映像で」教える存在だった。一方で今回の広告は、ブランドが商品を通して伝えたいメッセージや実現したい世界観を「解決アクションを通じて」発信したのだ。

「The medium is the message(情報媒体はメッセージである)」という有名な言葉がある。技術そのものが人々の考え方を形作ってしまうことを言い得た表現だ。ナショナルジオグラフィックの取り組みは、それを「情報媒体はアクションであり、アクションはメッセージである」と転換してみせたのかもしれない。

広告が都市を情報で埋め尽くす時代から、広告が新しい都市のあり方を実践するインフラへ。そんな進展が可能であるならば、次に出てくる広告も待ち遠しくなりそうだ。

【参照サイト】National Geographic transforme des panneaux publicitaires en refuges pour abeilles|Creapills
【参照サイト】Disney and NatGeo Built Billboards That Bees Can Actually Live In|YANKO DEISGN
【参照サイト】Secrets of the bees: Revealing the sneaky genius of nature's brightest thinkers|National Geographic

Natsuki

Natsuki

仲原菜月(なかはら なつき)。IDEAS FOR GOOD 副編集長。大学在学中は政治経済を学びながら難民支援や環境課題の解決に従事し、スウェーデンに留学。ウクライナ避難民の写真展を都内で開催。脱成長、紛争予防、自然観などを中心に執筆。(この人が書いた記事の一覧)

元記事はこちら

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