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世界の「職場におけるジェンダー平等」ランキング上位国の取り組み【後半】

ニューロマジック

125位の日本。まずは上位国の取り組みを知ることから

「職場におけるジェンダー平等」という考えが広まる一方で、依然として女性は賃金格差、昇進機会の制限、文化的偏見による障壁などの問題に直面しています。
しかし、世界中の組織・政府機関は労働環境におけるジェンダー平等の拡大に挑戦すべく、多様で革新的な戦略の実施に取り組んでいます。なかには男性優位の社会をわずか半世紀で是正してきた国々もあります。前半ではアイスランド、スウェーデン、ルワンダの事例を紹介しました。後半ではノルウェー、フランス、フィンランド、ドイツの、ジェンダーギャップを縮小し、より良い職場環境を育むことに成功したアプローチを紹介します。

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ノルウェー(ジェンダーギャップ指数世界ランキング2位)

― 世界初、企業役員のジェンダー多様性クオータ制 ―
ノルウェーは世界で初めて企業役員へのジェンダー多様性クオータ制を導入した国です。国営企業および上場企業に対し、取締役員会において各ジェンダーを少なくとも40%ずつ代表とさせることを義務付けています。未達成の場合には、会社名の公表のほか、最終的には企業の解散といった厳しいペナルティも設けられています。2003年、企業リーダーシップにおける女性の少なさの改善を目的に導入されたこの画期的な法律の制定により、ノルウェーの企業役員会における女性の数は大幅に増加しています。2002年時点では上場企業に占める女性比率は6%でしたが、罰則が施行された2008年には全ての上場企業において女性役員比率40%が達成、2021年には41.5%となっています。(※1)。クオータ制の導入により男性優位の規範に一石を投じ、組織内の意思決定プロセスの強化に貢献しているノルウェーは、より大きな平等を達成しようとする他の国々にとってモデルとなっています。

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フランス(ジェンダーギャップ指数世界ランキング40位)

― ジェンダー賃金透明性法 ―
2018年、フランスでは「ジェンダー間賃金格差指数」の公表が義務化されました(「職業における将来を選択する自由のための法律」)。従業員1,000人以上の企業には2019年から、50人以上の企業には2020年から毎年3月1日付での公表が義務化され、公表を怠った場合や、100ポイントを上限とする指数が3年連続で75ポイントに満たない企業に対しては最高で総賃金の1%の罰金が科されます。2022年は、92%の企業が罰則の対象外となる75ポイント以上を獲得し、効果を上げています(※2)。賃金の不一致に光を当て、企業が格差を埋めるために責任を持つことを求める「賃金透明性法」により、フランスはすべての従業員にとってより公正で平等な職場環境を作り出すことを目指しています。
現在はジェンダー先進国のフランスも、かつては男性中心の社会でした。1965年の民法改正まで既婚女性は銀行口座も作れず、夫の許可なくして働くこともできませんでした。わずか60年余りで圧倒的な男性優位社会からジェンダー先進国へと変貌を遂げたフランスの事例は世界各国の希望であり、日本が学ぶこともたくさんありそうです。

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フィンランド(ジェンダーギャップ指数世界ランキング3位)

― フレックスタイム導入率92% ―
フィンランドは、ワークライフバランスと職場におけるジェンダー平等を促進するためにフレキシブルな勤務形態を積極的に取り入れています。テレワーク、フレックスタイム、ジョブシェアリングなど、従業員の多様なニーズや責任に対応すべく様々なオプションを企業が提供しています。2011年までにフィンランドでフレックスタイムを許可する企業の割合は92%と世界一になりました。さらに、同法は2020年1月に改正され、4ヵ月の労働時間平均が週40時間を超えないという条件のもと、勤務時間の半分を自宅やカフェなどどこで勤務するか従業員と雇用主が相談したうえで自由に決定可能となり、かつ一日の労働時間を最長4時間増やしたり、短くしたりして勤務の開始や終了時間を決めることができるようになりました。(※3)
これらの柔軟な政策は、「育児責任やその他の義務」と「キャリア」をよりよく両立できるようになっています。柔軟性を促進し、従業員のニーズに対応することで、フィンランドでは誰もが成功する機会を得られる、よりインクルーシブな職場環境を作り出しています。

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ドイツ(ジェンダーギャップ指数世界ランキング6位)

― 女性のキャリアアッププログラム ―
ドイツでは、女性のキャリアアップを支援する取り組みが近年勢いを増しています。シーメンスやドイツ銀行などの企業は、女性リーダーシップ開発プログラムのもと、メンターシップ、トレーニング、ネットワーキングの機会を提供しています。これらのプログラムは、昇進への障壁を取り除き、女性が組織内の上級ポジションで活躍する支援を目指しています。一連の取り組みと2015年制定後2022年に改定した企業役員に関するクオータ制度の効果により、ドイツにおける女性役員比率は2003年の9.8%から2015年には26.1%、2021年には36.0%へと増加しています(※4)。女性のキャリアアップに投資することで、ドイツは企業リーダーシップにおけるジェンダーの多様性を促進し、組織文化におけるポジティブな変化を推進しています。

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おわりに

前半・後半を通して、職場環境におけるジェンダー平等推進のための事例と戦略を紹介しました。現在上位にランクインする国の中には、近年まで男性優位の社会だった国もあります。これらの例に学び、法や政策、企業の取り組み、文化的な取り組み、そして何よりひとりひとりの意識改革を通じて、女性・男性の区別なく、すべての人が成功し繁栄する社会、ジェンダーバランスの取れた世界への進歩を加速させることができるのではないでしょうか。

元記事はこちら

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