男性の育休取得を進める鍵は「職場全体の共感づくり」コカ・コーラ ボトラーズジャパンの本気の取り組み
提供:コカ・コーラ ボトラーズジャパン
企業で働く男性の育休取得率は3割にのぼる一方、まだまだ「取得しづらさ」を感じている男性社員は少なくありません。
2024年11月19日に行ったLINE公式アカウント『サストモ』のユーザー調査※でも「育休を取得したい / したかった」と回答した2、30代は男女ともに80%を超えている一方で、「取得するうえでの不安」に対して「不安はない」と回答したのは女性5%、男性8%に留まるという結果に。
特に、男性に関しては、不安要素として「収入源の不安」「職場の理解」と回答した人が、約6割を占めました。
男性が今よりも育休を取得しやすい職場に変わるために、企業には今、何が求められているのでしょうか?
そのヒントを探すため、コカ・コーラ ボトラーズジャパン株式会社に話を聞きました。
社内における男性の育児休暇等取得率は83.3%で、2025年までに100%達成を目指しているコカ・コーラ ボトラーズジャパン。
上司から子どもが生まれた男性社員にエプロンを渡す施策「パパエプロン」や、社長と社員が育休について語り合うイベント「Calin's Café × 育休」など、男性の育休にまつわる取り組みを聞いていくと、上司も社長も巻き込んでの「本気の姿勢」が見えてきました。
男性の育休への共感を生み出す「パパエプロン」
コカ・コーラ ボトラーズジャパンの社内で、男性社員が育休を取得する動きが加速したのは、2019年でした。
きっかけは、男性の育休取得率向上のための施策として「パパエプロン」が誕生したこと。パパエプロンとは、子どもが誕生した男性社員の上司から対象者へ、育児参加へのメッセージとともにオリジナルデザインのエプロンを手渡しする取り組みです。
この施策を生み出したDE&I課の林真伸さんは、パパエプロンの狙いをこのように語ります。
「エプロンはただ上司から手渡しするのではなく、人事部へのエプロンの申請も上司がすることになっています。それによって、上司から男性社員に『不安を感じずに育休を取得してもらいたい』という意志を示す狙いがあります。また、エプロンを渡すタイミングは個別ではなく、課会や部会などチームメンバーや同僚もいる場で渡すようお願いしています。そうすることで本人の育児参加への意識を高めるだけでなく、職場全体に育休取得への共感や理解を促す狙いがあるんです」
上司を巻き込んだ施策で、男性の育休が当たり前の光景に
パパエプロンをきっかけに、会社独自の育休制度の導入や、育休に関する配布物を作成するなど、さまざまな取り組みを通じて男性社員が育児に参加をしやすい環境をつくってきたと言います。
「会社発足時より、男性社員の育児と仕事の両立を目的とした、配偶者出産休暇制度を導入しています。配偶者やパートナーが出産した場合に3日間有給を付与するという制度で、取得はもともと奨励でしたが、2024年からは義務化されています」
ハンドブックはパパエプロンと同じように、男性社員だけでなく育休を取得するメンバーを抱える上司に対してもつくられているのだそう。
「制度の内容や必要な申請書について揃えるべき情報だけでなく、行政や自治体などに提出する書類などを、いつ・誰が・どこに出すのかのステップもまとめられています」
育休のプロセスについて社内全体で理解が深まり、取得者本人や周囲の安心感を生み出すことにつながっています。
世の中的にも、男性の育休取得は珍しいことではなくなり、男女問わず仕事と育児の両立を目指せる社会に変わってきていますが「日頃から目に触れていないと、その重要性は忘れられていくもの」と林さん。
新たな制度やコミュニケーション施策の導入など、様々な試みを通じて、「育休取得する男性社員の存在が普段から目に触れられる環境に変わりつつある」と充実感をにじませます。
「Calin's Café × 育休」で得た、働きやすい職場づくりのヒント
2023年時点で、社内の男性の育児休暇等取得率は83.3%と高い数値でしたが、次の目標として100%を掲げました。
コカ・コーラ ボトラーズジャパンは2024年~2028年の中期経営計画「Vision 2028」の中で人的資本の強化を主要な取り組みのひとつとして挙げており、その一環として、2024年に人事戦略を刷新。新たな人事戦略の主要KPIのひとつとして、「2025年までに男性の育児休暇等取得率100%」を掲げました。
実現への第一歩となる施策が、2024年11月12日に東京ミッドタウンで開かれたイベントでした。カリン・ドラガン代表取締役社長 最高経営責任者と社員が、フェイス・トゥー・フェイスで対話を重ねる定期開催のイベント「Calin's Café」が、はじめて「育休」をテーマに開催されました。
イベントにはカリン社長と育休を取得した男女の社員が参加。
「育休取得による仕事や家庭へのポジティブな変化」や「育休の取得も含めた、働きやすい職場づくりのためのアイデア」について、所属する部署を越えたディスカッションが繰り広げられました。
参加した岡部拓也さん(男性)は「育休制度の利用者がいるチームの速やかな人員の補充が、取得者本人の不安を軽減してくれ長期での取得にもつながると思う」とイベントで出たアイデアに共感を寄せました。
また史清さん(女性)は「育児が始まってから、何をやるのも倍の時間がかかるようになったので、仕事でもプライベートでも、効率化していくことや優先順位付けができるようになりました」と育児に積極的に参加することでもたらされるいい影響を振り返りました。
自身も育児のための休暇を取得しているカリン社長は「みなさんの考えを聞いて、もっと社員が子どもを職場に連れてくるのがいいのではないかと思った」と発案。
「互いの生活を社内のなかでリアルに見せ合うことが、仕事と生活の調和を意味する『ワーク・ライフ・バランス』に非常に役立つのでは」と締めくくり、これからも働きやすい職場づくりのために対話し続ける姿勢を示しました。
「働きやすい職場づくり」のため、制度とコミュニケーションをアップデートし続ける
男性の育休には今後、どのような取り組みが必要となってくるのか、林さんはこのように語っていました。
「制度の面では、配偶者出産休暇制度が定める3日間という日数を増やしていくことや、育休取得が当たり前になるためのさらなる制度拡充を検討していきたいと考えています。また、制度だけを導入しても社内に休みづらい雰囲気があれば、育休を取る人は増えません。『取得することで評価に影響してしまうのでは』と考える方も少なからずいるので、今回のCalin's Caféのように、みんなで理解を深め合いながら育休の不安を解消していけるコミュニケーションを取っていきたいです。代表自ら育児のために休暇を取ったことに後押しされ、マインド変化が起こった部長陣や男性社員も少なくはないので、経営層からメッセージを発信していくのも重要なコミュニケーション施策だと考えています」
子どもができたけれど心理的ハードルの高さによって育休取得をできない、という人は世の中的にもいまだ少なくないかと思います。
取得対象者はいかにして周囲の理解を得ていくか、企業側はいかにしてその環境をつくるかを、これからは考える必要があるでしょう。対象者と周囲の人たちが共感を寄せあえる環境づくりによって、誰もが気持ちよく働ける職場へと変わっていくのではないでしょうか。
育休について、世の中の人はどう思っているのか? LINE公式アカウント『サストモ』のユーザーを対象としたアンケート※によると、「育休を取得したい / したかった」と答えた人は男性が67%、女性が77%に対して、実際に取得したと答えた人は男性が13%、女性が33%でした。
「男性の育休はどのような職場環境・制度があると取得しやすくなるか」については、「上司、同僚の育休制度への理解」「男女ともみんなが育休を取る職場環境」という回答が、男女ともに約7割という結果でした。詳しいアンケート結果は以下を参照ください。
※LINE公式アカウント 『サストモ』ユーザーを対象としたアンケート(2024年11月実施、回答者数6,953)
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取材・文 小山内彩希
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編集 大川卓也
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