サストモ by LINEヤフー

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「これなら自分にもできる」森づくりの新しいかたちを、NatureBank × モリアゲと考える

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SDGsへの関心の高まりを受け、環境保全に取り組む企業が増えています。特に森林は、地球温暖化の原因の一つであるCO₂の削減や生物多様性の保全など、多くの環境問題解決の糸口になることからも注目を集めています。

しかし、企業活動の中心はあくまで経済活動。本業である事業とのバランスをとりながら継続することが難しく、森林保全に関心があってもなにをすればよいのかわからない企業も少なくありません。

こうした課題を乗り越え、森に関わる企業を増やすにはどんなことが必要なのでしょうか。

企業として

今回お話を聞くのは、森林業コンサルタントとして様々な企業と連携しながら森を"モリアゲ"る事業を手がける株式会社モリアゲの長野麻子さんと、ソフトバンクが展開する消費者参加型の植樹貢献プロジェクト「NatureBank」担当者である東谷昭秀さん。

企業として"森づくり"の一端を担うお二人に、森に関わる企業を増やす方法や"社会のため"にとどまらず、ビジネスとして利益も生みながら森に関わるための仕組みについてお話を聞きました。

東谷昭秀(ひがしたに・あきひで)
ソフトバンク株式会社 CSR本部。京都市生まれ。同志社大学経済学部卒、1999年に日本テレコムに入社。人事や持株会社などの管理部門、法人営業を経て、2018年より現在のCSR部門にて地域社会貢献や高齢者支援事業に従事。2023年より現部署にて環境資源、多様性推進、チャリティなどの分野を担当。

長野麻子(ながの・あさこ)
森林業コンサルタント、株式会社モリアゲ代表。農林水産省の国家公務員として「バイオマス・ニッポン」推進や電通出向で生物多様性施策に携わる。2018年に林野庁木材利用課長として木材利用を促進する「ウッド・チェンジ」運動を立ち上げ。50歳を機に、株式会社モリアゲを創業。「森への資金循環」「木のある暮らし」「森の学び」の3軸で企業と地域、森と街をつなぎ、各地の森をモリアゲている。

身近なサービスを使うだけで"森づくり"に貢献できる

── まずは「NatureBank」の取り組みが始まった経緯についてお聞かせいただけますか?

ソフトバンク株式会社 東谷昭秀さん
ソフトバンク株式会社 東谷昭秀さん

東谷

ソフトバンクはこれまでも、自然を回復させる「ネイチャーポジティブ」に向けたさまざまな取り組みを行ってきました。

たとえば、携帯電話事業では基地局を建てる際に、自然保護区などの森林を伐採しなければならないケースもあります。またデータセンターを運営するうえで、大量の冷却用水が必要にもなります。そうした事業活動の影響をできる限り"取り戻す"ために、伐採した2倍以上の面積に相当する木を植えたり、使用した水を補うために植樹したりと、森の再興につながる取り組みを続けてきました。

全国の植樹を進める「日本森林再生応援プロジェクト」も、「NatureBank」と同時期にスタートしている。企業版ふるさと納税制度を活用し、全国47道府県市に総額40億円超を寄付し、2025年から2040年までの15年間の森林保全活動を支援する取り組み
全国の植樹を進める「日本森林再生応援プロジェクト」も、「NatureBank」と同時期にスタートしている。企業版ふるさと納税制度を活用し、全国47道府県市に総額40億円超を寄付し、2025年から2040年までの15年間の森林保全活動を支援する取り組み

東谷

こうした"企業としてできること"を一通り進めてきた中で、私たちだけではなく、お客さまと一緒に森林保全へ取り組めないだろうかと考え始めました。そこで立ち上げたのが「NatureBank」です。

ソフトバンクのグループ企業全体では、のべ3億人にも上るお客さまとの接点があります。その強みを生かし、身近なサービスを利用するだけで森づくりに貢献できる仕組みを作ろうと考えました。

現在はPayPayやLINEをはじめとする、ソフトバンクのグループ企業が提供する17サービスが対象
現在はPayPayやLINEをはじめとする、ソフトバンクのグループ企業が提供する17サービスが対象

── サービスを利用すると、どのように森づくりに貢献できるのでしょうか?

東谷

たとえば「Yahoo!乗換案内」では、CO₂排出量の少ない「ECOマーク」付きルートを選ぶと、CO₂削減に向けたアクションとしてカウントされます。そのアクション量に応じて同等のCO₂吸収量に相当する植樹を行う、という仕組みです。

「ECOマーク」付きルート

東谷

ほかにも、ヘルスケアアプリ「HELPO」で歩いた歩数や、ユーズド服の購入サイト「ZOZOUSED」の利用回数など、日常の行動がアクションとして積み上がっていきます。最終的には、自治体へ植樹のための費用として寄付させていただくかたちになります。

長野

環境保全の取り組みはいろいろある中で「森林」にフォーカスしてくださったことが、私としてはうれしいです。ちなみに、これまでのアクションの累計で植樹する木はどのくらいになっているんですか?

東谷

2025年7月に「NatureBank」をスタートして以降、累計の植樹本数としては約2万6,000本の計算になります。(※2025年11月末時点)

株式会社モリアゲ代表 長野麻子さん
株式会社モリアゲ代表 長野麻子さん

長野

2万6,000本! 半年でそれはすごい。林野庁が低密度と呼んでいる杉の植栽密度は、1ヘクタールあたり1,000~1,500本と言われています。少なく見積もっても17ヘクタール分の植樹ができる計算になりますね。

── 「NatureBank」への反応はいかがですか?

東谷

SNSでは「これなら自分にもできる」と、普段使っている身近なサービスから参加できる点を評価する声をいただきました。取引先の企業さまからも、「生活者を巻き込むところがソフトバンクらしい」と言っていただいたことがあります。

もう一つ大きかったのが、植樹そのものを私たちが一律に決めて実行するのではなく、植樹にかかる費用を自治体へ寄付し、地域の実情に合わせて活用していただく設計への反響です。

というのも、森林課題は、自治体ごとに状況が全く違います。CO₂削減だけが目的なら、たとえば比較的安価な苗木を選んで本数を増やすやり方もあり得るかもしれません。でも実際には、地域によって植生が異なりますから、森の課題も一つではない。
放置林の再生、所有者不明や担い手不足、高齢化、暴風などの災害、病気や害虫被害、開発跡地の緑化など、日本社会の課題が森にもそのまま投影されているような側面があります。

森の課題

東谷

だからこそ、「この方式に対してお金を払う」というより、それぞれの地域課題の解決に資する形で使っていただく。最終的には植樹につながるにしても、地域ごとに最適な打ち手は変わるので、そこに合わせて連携できる点が自治体のみなさんにとってもメリットだと感じています。

長野

木材価格の低下や将来への不安などにより植え直しが十分に進んでいない場所も少なくなく、伐採した後に植え直す再造林の割合は4割ほどと言われています。

だから、自治体さんが「ここは植えたい」と思う場所に、その地域の植生に合った木や森づくりの方向に沿った木を植えられることは、森を未来につなぐうえで意義深い取り組みだと思います。

企業が"森の担い手"になる時代

── 長野さんご自身も林野庁で勤務された後、森林経営や木材利用を応援する株式会社モリアゲを起業されていますよね。森林保全に関する企業の役割はどんなところにあると思いますか?

長野

昔は地域の有力者や名士の方が「自分たちの地域にとって大切だから」と守るように山林を持ってらしたんですよね。でも、林業が不振になるなど時代の変化で手放す方が増え、森の担い手が少なくなってきた。そこで、現代では資本を持っている民間企業の存在が大きくなりつつあると思っています。

東谷

最近の企業の"森づくり"活動には、どのようなものがあるのでしょうか?

長野

社有林を持っている会社さんもいれば、ネーミングライツのようなかたちで関わるケースもあります。企業版ふるさと納税で支援する方法や、LINEヤフーさんのようにJ-クレジットを購入して、森がCO₂を吸収する価値にお金を出して応援する方法もあります。

それから、すでに地域で動いている活動に社員さんを派遣して、一緒に植樹しながら関係を作っていく企業さんもあります。私たちも長野県の木島平村でブナ林の再生に取り組んでいるんですが、もともと伊藤忠建材さんが始められたもので、東谷さんはじめソフトバンクの社員さんにも参加していただきましたよね。

モリアゲ団
2023年からスタートした「森林結社モリアゲ団の森づくり」。カヤの平高原牧場の牧草地跡地を元のブナの森に戻す植樹活動を行っている
2023年からスタートした「森林結社モリアゲ団の森づくり」。カヤの平高原牧場の牧草地跡地を元のブナの森に戻す植樹活動を行っている

東谷

はじめは植樹がどういうことをするのかわからずに参加する社員がほとんどなのですが、だからこそ実際に体験することで楽しんでもらえています。特にブナ林がどう作られてきたのか、現在に至るまでの歴史を教えてもらいながら植えるのもおもしろかったですね。

長野

たとえばモリアゲ団の森は、かつて原生林を切り開いて牧場にした場所なんですよ。牛の数が減って牧場の一部は使われなくなったのですが、国有林を自治体が借りているかたちなので、返すためには"原状回復"が求められるんです。

でも、一度原生林を伐採した場所にブナを植えて元通りにしてと言われても、何百年後に返せばいいんですか、と。

株式会社モリアゲの公式キャラクター「モリアゲくん」
株式会社モリアゲの公式キャラクター「モリアゲくん」

東谷

原生林に戻すとなると、途方もない作業ですよ。しかもブナ林は少しずつしか広がっていかないんですよね。牧草地だった場所は、牛が踏んで土が固まり、牧草の根で表面から10cmほどが目の細かいマットのような状態になっているので、ブナの種が落ちても根が張りにくい。

長野

だから牧草地の表土を掻いてから、マザーツリーの下で育つブナの稚樹を移植していく。こういう言い方はおこがましいけれど、自然に任せたら何百年もかかるところを、人間が少し手を貸して、ブナ林に戻る時間を早めようとしているんです。これは「小山方式」と呼ばれていて、長野県の林業総合センターの小山泰弘先生が12年前から続けてこられた手法なんですね。

12年前に植えた場所は、国有林の担当者の方から「これ以上手を入れなくても森に戻るだろう」と認められて、去年ついに1ヘクタールくらい国に返せたんですよ。

東谷

そうした歴史を聞きながら植樹をするのは、本当におもしろいわけです。「企業の責任だから」という入口ももちろんあるんですけど、やっぱり現場で知って、体験して、おもしろいと盛り上がるのが大事だと思いました。

長野

おもしろくないと続かないですからね。それに毎年やっていると「去年植えた木がどれくらい育ったかな」とみんな見に来てくれる。そうやって関係が続いていくんです。だからこそ、いろんな人に森に来てほしいと思います。

さらに最近は自然共生サイト」のように、CO₂削減だけでなく生物多様性の観点でも森に貢献したいという企業さんが増えてきています。陸の生き物の多くは森で生息しているので、森が豊かになれば、生き物も豊かになる。そこに企業のお金が入る動きが広がっているのは、森への関わり方が多様になってきた証拠だと思います。

自然共生サイトとは、企業や民間団体、個人などの取り組みによって生物多様性の維持・回復・創出が図られていると国に認定された区域 のこと
自然共生サイトとは、企業や民間団体、個人などの取り組みによって生物多様性の維持・回復・創出が図られていると国に認定された区域 のこと

真のサステナブルのカギは、社会貢献と事業のバランス

── 民間企業が森づくりに携わるうえで、現状の課題はどのようなところにあると思いますか?

東谷

新しいことに取り組む際にはつきものですが、特に企業版ふるさと納税を活用した「日本森林再生応援プロジェクト」を始める際は、この設計で制度上問題ないのかといった確認が大変でした。

長野

初めての取り組みならではの困難がありますよね。私が企業さんから受ける相談の中で多いのは「トップがやろうと言ったはいいけど、現場が困る」みたいなケースです(笑)。

長野さん

長野

逆に、現場の方が森づくりに意欲的でも、トップをなかなか説得できないこともある。最近は、ウェルビーイングの観点から森林研修を取り入れようとする人事部の方からもご相談を受けるのですが、それを上司や幹部にどう説明するのかが難しいようです。

下からの熱量で始まる場合も、上からの指示で動き出す場合もありますが、結局は両方がやる気にならないと、長続きしにくいのが課題ですね。

そのためにも、企業さんが自分ごととして森と接点を持てるような"関わりしろ"やストーリーを作ること。地域の森づくりの方向にあった形で、それぞれの企業に合った森との関わり方を一緒に考えることもモリアゲの役目だと感じています。

東谷さん

東谷

企業の取り組みが長続きしない背景には、きっと経済的な理由もありますよね。以前は「CSR」と言うと「事業で得た利益の一部を使って良いことをする」というイメージが強かったと思いますが、「社会のために良いことを」だけだと難しくなる部分もある。

長野

社長や担当が変わった瞬間、予算が打ち切られたり(笑)。だからこそ、経済性も大事なんですよね。

東谷

私たちソフトバンクでも、社会貢献と事業の関係のバランスを考え続けることを意識してきました。たとえ一時的に持ち出しがあっても、別の形で取り返せる見通しがあるか。事業貢献と社会貢献が両立できる設計になっているか。これは「NatureBank」に限らず、いつも強く意識しているところです。

長野

その意味で「NatureBank」は、「CSR」を超えて、本業で社会課題を解決する「CSV(Creating Shared Value)」の域に踏み込んでいるなと感じます。

森づくりは「競争」ではなく「共創」であっていい

── 「NatureBank」として、今後日本の森や森に対する人々の意識をどう変えていきたいと考えていますか?

東谷

企業活動を続ける以上、社会そのものが持続可能でなければ成り立ちません。気候変動をはじめ課題はたくさんありますが、そこに貢献するのは企業として当然の責務だと思っています。

そのために鍵になるのが、生活者を巻き込む広がりと自治体のみなさんとのパートナーシップ。そしてもう一つ大事なのが、"実感"です。「自分の行動が、ちゃんと森につながっている」と感じられること。お客さまが「私も森づくりに貢献できているんだな」と実感できる環境を、もっと作っていきたい。

みなさんの生活に根付いたサービスを通じ、手軽に森へのアクションを起こせる「NatureBank」は、まさにその仕組みづくりだと思っています。

実感

長野

日常生活の中でできること、森づくりに貢献できた実感が持てることが素晴らしいですよね。こうした発想はぜひいろいろな企業にマネしていただきたい。マネされてもいいですか(笑)。

東谷

ありがとうございます。NatureBankはソフトバンクとグループ企業の16サービスから始めましたが、本当はもう少し広げていきたいんです。ただ、広げるとなると、一緒に取り組むための条件を整えないといけない。生活者のエコな行動の設定の仕方や、実際に植樹に必要な費用をどのように負担するかなど、一筋縄ではいかない課題もあります。

長野

でも、先行者が一緒にやりたい人を誘って、輪を広げていってくれるのはすごくありがたいです。企業と一言で言っても業界もいろいろあるし、森と接点がない会社がほとんどだから。

東谷

森に良いことをしたいと思っても「やり方がわからない」企業さんは多いと思います。必ずしも私たちと組む必要はありませんが、企業同士や自治体などと連携するかたちもあるし、まずは社員の有志で森の活動に参加してみて、実績を作りながら次につなげる方法もある。小さな一歩であっても、できることは意外とあります。

長野

そうそう。元々あったサービスのプラットフォームが、"森づくりのプラットフォーム"にもなっていくって、すごく面白いと思うんですよ。皆さん謙虚なので、1社だけで立てるなんておこがましい、っておっしゃいますけど、「一緒にやろう」だと参加しやすい(笑)。森の分野って"競争"ではなく"共創"でいいと思うんです。

だからみなさん、まずは自分なりの方法で参加してみてください。一緒に森づくりを楽しくモリアゲていきましょう!

東谷さんと長野さん

NatureBank -ソフトバンクの森づくりの仕組み

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NatureBank特設サイト

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