10月16日は世界食料デー。「#ごちそうさまチャレンジ」から考える食品ロス・廃棄との向き合い方
10月16日は「世界食料デー」。世界に広がる飢餓や栄養不良、極度の貧困などの食料問題と、その解決策について考える日として、1981年に国連によって定められた国際デーのひとつです。世界食料デーには、食料問題への意識喚起と、行動を促す様々な取り組みが世界各地で行われます。
生産される食料の3分の1が捨てられている
現在、世界では毎年26億トン以上もの穀物が生産されています。在庫分もあるため、世界人口のおよそ78億人(※1)が、十分に食べられるだけの食料は生産されていると言われています。それにもかかわらず、2018年時点で9人に1人にあたる約8億人以上(※2)が飢えに苦しんでいます。そして、その数は2016年以降増加傾向にあり、2020年においては、コロナ禍によって前年から1億人以上増加しています。地域別の人数では、アジアが4億2500万人と最も多く、人口に占める割合ではアフリカが20%となっています(※3)。
では、どうして十分な食料がある一方で飢餓に苦しむ人が生まれるのでしょうか。
その背景には膨大な食品ロスがあると考えられています。実際に生産された食料の3分の1は食品ロスとして捨てられていると推定されており、これらは20億人分の食料に値します。
日本でも年間646万トンの食品ロスが発生しており、これは日本人1人当たり毎日お茶碗1杯分のご飯を捨てていることになります。また、この量は国連W F P協会が2017年に支援した食料の総量380万トンの約1.7倍の量にあたります。
さらに、日本の年間646万トンの食品ロスのうち、私たちの家庭から出る食品ロスは、289万トンと約半分を占めています。これらは主に食べ残しや、賞味期限切れによる廃棄、可食部分の過剰除去によって生み出されており、こうした些細な積み重ねが大きな損失を生んでいます。
日本でも起こる?例外ではない食糧危機
飢餓や栄養失調と聞くと、食料問題は私たち日本人の生活からは程遠いと感じるかもしれません。しかし、人口増加により食料需要の増加、異常気象による干ばつや風水害、パンデミックや戦争による流通網の停滞は確実に食料危機を悪化させており、先進国にもその影を落としています。
先進諸国の中でも食料自給率が低く災害大国である日本は、特に食料不足に陥りやすいと言われており、特に物理的なアクセスの途絶による影響が懸念されています。
例えば2011年の東日本大震災では、被災者の人たちは金銭的な余裕がある一方で、道が封鎖され食料品が届かないという事例や、菓子パンやおにぎりなどの炭水化物が過剰に提供される傍ら、野菜や肉類の供給が不足し、栄養の偏った食生活を強いられたという事例が報告されています。
また台湾有事など、日本の周辺で戦争が起こった場合も、私たちの食料事情に大きく影響するかもしれません。特に畜産の飼料として輸入している小麦やトウモロコシ、大豆などが輸入できなくなった場合、畜産業は劣り、十分にタンパク質が取れなくなると予想されます。現在ほぼ100%の自給率であるお米ですら十分な備蓄がなく、万が一に対処できる状態とは言えません。
一人一人の食品ロス削減が食品問題解決への大きな一歩に
では、食品ロス・廃棄を無くし、食糧安全保障の不安を解決するために私たちができることは何でしょうか。
まずは一人一人が食料問題を自分ごとに捉え、できることから行動することが大切です。例えば、国連WFP協会が主催する「#ごちそうさまチャレンジ」への参加も、誰でも簡単に参加できるアクションの一つです。
このキャンペーンは、9月29日から10月31日までの期間中、「賢く買う」「使い切る」「食べ切る」などの食品ロス削減につながる行動を実践し、その様子を2つの指定ハッシュタグ「#ごちそうさまチャレンジ」「#ゼロハンガー」をつけて対象SNS(Instagram、Twitter、Facebook)に投稿もしくはアンバサダーの投稿を拡散すると、1投稿につき120円(学校給食4人分)、1拡散につき60円(学校給食2人分)が途上国の学校給食支援として寄付される取り組みです。
SNSでは、様々な食品ロス削減につながるアクションが投稿されています。
例えば、ブロッコリーの芯など、可食部分を捨てずに調理するアクション。
賞味期限の近いものや見切り品を選ぶアクション。
お一人で、お友達やご家族と、笑顔でごちそうさまポーズ。
規格外野菜も美味しくいただくアクション。
さらに、投稿の中から抽選で協賛企業より商品の贈呈があったり、通常のハッシュタグに加えてスペシャルサポーター2社の商品を活用した投稿をすると、通常投稿の2倍の240円分の支援になったりもします。
詳しくは、#ごちそうさまチャレンジ 公式サイトをご覧ください。
https://www.jawfp.org/worldfoodday2022/
食料問題は、決して途上国に限った話ではありません。日本でも今後起こりうる非常事態に備えて、I Tやテクノロジーを利用した効率的な生産方法への移行や、よりリジェネラティブな農業食料システムを目指していく必要がありそうです。しかし、まずは一人一人が問題を知り、できることから行動に移すことが大切です。世界食料デーを機に、家庭での食品ロス・廃棄を減らすアクションから、始めてみてはいかがでしょうか。
参考記事: https://www.yomiuri.co.jp/choken/kijironko/ckworld/20220509-OYT8T50111/
参考記事: https://ja.wfp.org/stories/kaoeyoujietoshipinrosunokoto