Yahoo! JAPAN SDGs

豊かな未来のきっかけを届ける

豊かな未来のきっかけを届ける

マンションやアパートでEVライフ! 物件の未来価値を高めるSDGsの最新動向

提供:日産自動車

001

街中で見かけることも多くなってきたEV。マンションやアパートのような集合住宅にお住まいの方やオーナーの中には、EVに興味はあっても充電設備の観点で二の足を踏んできた人も多いかもしれません。ですが、「住宅の未来価値を上げる」という視点で考えてみたことはありますか?

ここ数年で、集合住宅におけるEV充電設備の導入は着実に進み始めています。その動きを牽引するのが、日本におけるEVのトップランナーである日産自動車と、大手ハウスメーカーの積水ハウス。2022年度から二社で『+e PROJECT』を立ち上げ、「集合住宅でもEVを楽しめる」ようさまざまな活動をはじめているといいます。

日本における集合住宅×EVの現状とは? そして集合住宅×EVは、どのようにSDGsへ繋がるのか? EVと住宅、それぞれのプロの視点から話を聞きました。

main002
写真左から、積水ハウス株式会社 R&D本部 建築商品開発部 シャーメゾン商品開発室の海老沢豊さん、日産自動車株式会社 日本マーケティング本部 ブランド&メディア戦略部の片岡春菜さん、日産自動車株式会社 ビジネスパートナーシップ開発本部 ビジネスパートナーシップ推進部の河田 亮さん

集合住宅にEV充電設備を取り付ける

ーーまずは、EVに欠かせない充電インフラの現状から伺いたいです。

河田(日産):2010年の日産リーフのローンチ以降、日産は日本のEV市場のパイオニアとして車両だけでなく、インフラ整備にも積極的に取り組んでいます。その一つが日産の販売会社店舗への充電器配備です。全国に約2000店舗を構える日産のネットワークには、ほぼすべての店舗に急速充電器があり、このことが日本のEVユーザーの方々にとって、大きな安心感につながっていると考えています。

また、車が走行などで使用されている時間と、駐車などで使用されていない時間の割合というのは、1対9ぐらいなんです。EVを充電するには特別な時間が必要と思われがちですが、自宅や目的地などで停車しているだけの時間が圧倒的に多い。こういったシーンではゆっくりと充電をすることができますので、導入コストの安い普通充電器がおすすめです。

一方、どこかへ向かう途中、サービスエリアなどで充電が必要なシーンでは、短時間で一気に充電したいですよね。なので、そうした場所へは急速充電器を中心に設置しています。このように、日産では住宅、道中のスポット、そして目的地となるスポットと、それぞれニーズやシーンに合った有効な方法で、充電インフラの設置を進めています。

main003
充電器は「普通充電」と「急速充電」の二タイプがある。充電シーンに合わせて、それぞれに有効な充電器が選択され、設置が進んでいる

河田(日産):ガソリン車の場合、ガソリンスタンドに行かないと給油できませんが、電気はインフラとして日本中に通っている。ですので、自宅でも充電できるという点は、EVの大きな特徴なんです。

そして、スマホのように「寝ている間に充電できる」というのは、EVの本当に便利なところです。実際、リーフオーナーに実施した満足度調査では『ガソリンスタンドに行く手間がなくなることで、生活スタイルが劇的に変わった』『朝起きるといつも満充電になっているので、走行に不安がない』という回答もありました。

こうしたお客さまの声からもわかるように、住宅へのEV充電器設置はとても重要なのですが、集合住宅ではなかなか進んでこなかったんですよね。

ーー実際のところ、戸建てに比べて集合住宅への設置はどのようなハードルがあるのでしょうか?

main004

海老沢(積水):まずは工事のコストですね。戸建ての場合、分電盤と駐車場は近くにあることが多いので、工事も簡単で設置費用も10万円ほどです。

しかし集合住宅になると、建物側に電気設備があり、そこから駐車場までが離れているケースが多い。距離が離れると配線も太く長くなりますし、さらに配線を埋設するとなると、駐車場の掘削や埋め戻し工事が必要になる。そして複数台に充電する場合は、それだけ一度に使える電気の容量も増やす必要がある。集合住宅の規模にもよりますが、いろんな工事の費用が積み重なってきます。

河田(日産):既存のマンションやアパートの場合、駐車場には既に住人の方の車が停まっています。充電器の設置工事をしようと思うと、その車を一時的に別の場所へ動かしていただく必要も出てきます。例えば数百世帯のマンションになると、数十台単位で動かす必要があります。駐車場の共有部に数台分設置するようなケースもあるので、一概には言えませんが。

main005
「実は私も、自分の住んでいるマンションでEV充電器の設置工事中なんです」と話す河田さん

河田(日産):そもそもマンションへEV充電器を設置するためには、住民の方々に説明したり、理事会で承認をとったりということもあります。それもあって、今まで設置を思いとどまっていた集合住宅のオーナーさんや、住人の方が多いのも理解できます。ただ、EV充電インフラを日本で推進してきた日産としては、この課題をなんとか解決したいと思っています。

補助金とテクノロジーの両面が整い、設置の流れが加速

main006

ーー日本の場合、集合住宅に住んでいる人はかなり多いように思います。

片岡(日産):居住形態のデータを見ると、日本では約4割の方が集合住宅に住んでいると言われています。EVを所有したいと思われるお客さまが増えてきているのに、これだけ多くの方々がEVを選びにくい環境に置かれていることは、日産としてなんとかしなくてはと思いました。

EV充電器のある集合住宅が増えていくことで、よりお客さまの選択肢を増やしたい、と考えたんです。それは「ゼロ・エミッション(=CO2を出さない)」といった社会課題へ向き合うということにも繋がります。

main007

ーーハウスメーカーである積水ハウスでは、EV充電器の普及についてどのように考えていたのでしょうか。

海老沢(積水):弊社賃貸集合住宅でのEVに関する取り組みでいうと、全国の社員向けにEV充電設備の勉強会を行ったのが2023年3月でした。世の中でEVが普及する中で、われわれハウスメーカーとしても、賃貸住宅のオーナー様に新しい生活を提案していこうと動き始めていました。

その後、2023年春ごろから賃貸集合住宅でのEV充電器の設置数が少しずつ増え始めたんです。オーナー様側からも「EV充電器を設置したい」という声があがり、世の中の流れの急速な変化を感じていますね。

ーー何かきっかけがあったのでしょうか。

河田(日産):補助金が整ってきたのは大きいと思います。国の補助金の予算も補助範囲も22年度から大きくなりました。例えば、充電インフラ補助金では、EV充電器本体額の50%、そして条件が整えば工事費も100%補助されるように拡大されました。また、今までは補助金が適用されるのが駐車場全体の台数に対して1.5%までだったのですが、その上限も撤廃されました。

main008

海老沢(積水):あとは充電事業者さんが増えてきたのも大きいんじゃないでしょうか。

ーー充電事業者?

海老沢(積水):都心部だと全住戸分の駐車スペースが取れず、2〜3台分の駐車場に充電器を付ける場合があります。入居者も入れ替わるため、利用者を固定できません。そういう場合、誰がどれだけ充電したかわからないと、電気代の精算も難しいですよね。なので、スマホアプリでクレジット情報を入力し、充電を行い、使用料に応じて決済できるサービスを提供してくれる充電事業者(※)さんが増えているんです。

※充電事業者は予約や決済サービスの提供だけでなく、EV充電設備の運用や補助金の申請まで幅広くサポートしてくれる

河田(日産):補助金とテクノロジーの両方が整ってきたことが、直近2年間の増加に繋がっているんでしょうね。

海老沢(積水):東京都では2025年4月からすべての新築集合住宅へEV充電器設置を義務化することを発表しました。公共施設や他の充電設備整備が進むなか、集合住宅においては遅れている傾向ですので、まさに今取り組むべきと考え、着実に動き始め、今後この流れはどんどん加速していく予定です。

こうした流れを受けて、2023年から日産と積水ハウスによる『+e PROJECT』が本格的に始まったんです。

「EVの選択肢」が、住宅の未来価値を高める

main009

ーー『+e PROJECT』について、詳しく伺いたいです。

片岡(日産):マンションやアパートといった住環境だからという理由でEVを諦めなければいけないというお客さまにお応えしていくのは、EV販売台数のトップである日産としての使命だと考えました。

当社だけでできることではありませんので、その思いに共鳴いただける企業を探していたときに、積水ハウスさんが会社としてカーボンニュートラルをゴールに掲げられていることを知ったんです。住宅のプロである積水ハウスさんが同じ方向を向いていることを知って、日産側からコラボのお声がけをし、快諾していただきました。

海老沢(積水):積水ハウスは業界に先駆けて、新築の戸建てを中心に「ZEH(ネットゼロ・エネルギー・ハウス)」を展開し、CO2の大幅な削減に寄与してきました。また近年、賃貸住宅でもZEHを進めており、脱炭素化を推進しています。

更なる脱炭素化を進めていく中、賃貸集合住宅におけるEV充電設備の対応を本格的に検討しようというタイミングで、EVのリーディングカンパニーである日産さんからお話を頂きました。

積水ハウスでは、単に販売する賃貸集合住宅にEV充電器を設置するということだけでなく、積水ハウス不動産にて賃貸集合住宅の管理も行っているため、計画時点から設計・施工・管理・運用をトータルで考えています。

また、EV充電設備を計画するには、EVの仕組みもきちんと理解しておく必要がありましたから、そのプロである日産さんとタッグを組めるのはまさにありがたい話でした。

ーー『+e PROJECT』では、具体的にどのような活動を行ってきたのでしょうか?

取り組みを開始した2022年度は『+e PROJECT』のサイトに「ファーストステップ診断」というページを立ち上げ、「集合住宅に住んでいてEVに興味があるけど、何から始めたらいいの?」というユーザーの方がウェブ上で正しく情報を得られるようなお手伝いを始めました。

main010
『+e PROJECT』のサイトからアクセスできる「First Step診断」。YES/NOの質問に応えていくことで、EVに興味がある人が「最初の一歩」を知ることができる

片岡(日産):他にも積水ハウスさんが手がけるゼロエネルギーの賃貸住宅「シャーメゾンZEH」でEVのある暮らしの体験を提供しました。乗りたかったEVへ実際に初めて乗られて「こんなに楽しいんだ」「こんなに生活しやすいんですね」という感想をいただきましたね。

海老沢(積水):住宅視点でいうと、今後アパートを探すときに「バストイレ別」「ペット可」のように「EV充電可」という条件も当たり前に入ってくると思います。EVと同じ普通充電器でPHEV(プラグインハイブリッド)も充電できますから、充電器の有無は、集合住宅を選ぶ基準のひとつになってくると思われます。

充電器が設置してあるということは、マンションやアパートの価値を高めるということに繋がると考えます。

main011
「+e PROJECT」で2023年度に行ったEVと住環境に関する調査(調査実施期間:2023年11月10日~11月15日/調査方法:インターネット/調査機関: 楽天インサイト/調査対象:(事前調査)23,642名、(本調査) EV購入検討者、及び集合住宅にお住いの30~50代男女400名)

「+e PROJECT」で2023年度に行ったEVと住環境に関する調査では、「EV充電器が設置されることで今後の集合住宅の価値の向上・維持に影響があると思いますか?」という質問で70%が「影響があると思う」と回答。また「将来の価値を考えEV充電器が設置されている住まいが良いと思いますか?」という質問では、77%が「(良いと)思う」と回答。このことから、将来的に集合住宅の価値にEV充電設備が関わってくると多くの人が考えていることがわかる。また、同調査では「集合住宅も、将来を見据え、EV充電器が設置されている住まいが良い」という回答が約8割という結果に。

河田(日産):EVは蓄電池として利用できるメリットもあり、アパートやマンションの場合、住人の方のEVが複数台、駐車場に停まっていれば、そのEVの電気を活用することで、地域の防災拠点になれる可能性もあります。

ーー面白いですね。いまは太陽光発電が設置されている集合住宅も増えていますが、その電気を使ってEVを充電するなんてことも可能になりますよね。

海老沢(積水):積水ハウスの集合住宅「シャーメゾン」では、ほとんどの物件に太陽光発電が設置されています。今後シャーメゾンにおける「集合住宅×EV」は、住戸ごとに専用接続するEV充電設備の設置を推進するとともに、太陽光発電の利用を積極的に行っていきます。太陽光で発電した再エネを利用することで脱炭素化に寄与できますし、太陽光発電で使いきれなかった電気をEVに充電することで、入居者の光熱費削減にも貢献できます。

パートナーシップで加速する、SDGsな未来

main012
取材中も、なごやかに話が弾む皆さん。「リモートでの会議がほとんどだったので、リアルで顔を合わせて話すのは珍しいです」とのこと

ーーお話を伺っていて、二社のタッグはまさにSDGsの17番「パートナーシップで目標を達成しよう」だなと思いました。異業種間でのパートナーシップを組むにあたり、苦労した点はなかったのでしょうか?

片岡(日産):お互いが「車を売りたい」「家を売りたい」だけだと、一緒に何かやるのも難しかったと思います。そうではなく、「集合住宅におけるEVのハードル」という社会課題やお客さまのニーズといった共通項にタッグを組むポイントを絞ったときに、すごくいい議論ができるようになりましたね。丁寧にコミュニケーションをとりながら、お互いの業態の考え方を知っていく作業には時間をかけました。

海老沢(積水):ガソリン車の場合、集合住宅を作るときは「駐車場の配置はこのようにしましょうか?」と考え方もシンプルだったんです。でもEVの場合、EV充電器の配置や配線計画、課金・集金、メンテなどの運用はどうするか、あとは盗電や充電器自体の盗難などの防犯はどうするか......といろんな検討が必要です。車に充電する際の動線計画を考える部分で、日産さんにはEVについて多くのことを教えていただきました。

ーー集合住宅×EVに限らず、SDGsという視点ではまだまだ多くの社会課題があると思います。それぞれの会社の取り組みについても、最後にお聞きしたいです。

河田(日産):自動車にまつわる社会課題は様々で、2035年にはガソリン車を禁止する政府方針も発表されています。EVは充電インフラをまさに構築しているところですが、他にも例えば弊社では「ZESP(ゼロエミッションサポートプログラム)」というサービスもあります。このサービスを使って日産販売店の充電器を利用していただくと、再生エネルギーの充電になります(※今年9月から開始)。

main013
ZESPでは、充電完了の際に届くメールでどれだけCO2が削減されたかを伝えたり、マイページでCO2削減量が見える化され、累積削減量に応じて木が育つ、遊び心をくすぐる仕掛けだ。

河田(日産):私自身、太陽光発電の業界から転職してきたのですが、再生エネルギーとEVを掛け合わせてこそ、初めてカーボンニュートラルの実現が可能になると信じています。EVで使っている電気の発電や、製造工程において、なかなかCO2をゼロにすることは難しい。でも、EVの充電に再生エネルギーを使用できる取組も一緒に推進しています。

SDGsの実現、2050年のカーボンニュートラル実現に向けてはEVと再エネセットでの普及が不可欠と私は考えています。

main014

ーー戸建てに比べて、集合住宅は停まっている車の台数も多いですよね。一箇所に数十台単位のEVが停まっている集合住宅が増えれば、エネルギーマネジメントの可能性がありそうですね。

河田(日産):そうなんです。エネルギーマネジメントの観点でみると、戸建てのような「点」を1機1機束ねるのは難しいけれど、EVが一箇所に集まっている集合住宅はすごくメリットがあります。ポテンシャルとしてはすごく高いですね。

main015

海老沢(積水):積水ハウスでは"「わが家」を世界一幸せな場所にする"というグローバルビジョンを掲げているんですが、「みんなが幸せになるためのSDGsとは何か」を考えてみると、いろんなことがSDGsに繋がっていると思いますね。

まずは資産価値を高くして、長く残る家を作っていくこと。そのためには耐久性の高い構造や長持ちする建材だけでなく、省エネや太陽光発電、蓄エネのようなことも考えています。すべての取り組みに通じるのですが、SDGsの視点で考えることが、資産価値が高く、長く残る住宅を考えることになるのではないかと思いますね。

また住宅も車も、長期的な視点で人の命に関わるものです。なので、互いのカーボンニュートラルへ向けて取組む姿勢、そして住まいとモビリティの親和性から日産さんと色んな面で通じるものを感じます。ただ、SDGsについても、他業種の方と直接お話する機会はなかったので、今回の連携はとても面白く取り組ませて頂いています。

main016

カーボンニュートラル実現のカギを握る、EVの普及。『+e PROJECT』のような業種の壁を超えた企業間のパートナーシップはEV普及を後押しするだけでなく、暮らしの中でさらに魅力的な「EVと住環境のあり方」を生み出していくはず。そして、そうした流れこそがSDGsに繋がっていく、と感じた取材でした。

●関連リンク
日産×積水ハウス +eプロジェクト
日産リーフWebカタログ

●特別協賛[PR]

●協賛記事[PR]
・EVが「普通」になってきた。日産サクラ×タクシーが進める、カーボンニュートラルへの道
・自然と暮らしがSDGsになる。黒谷友香さんの、EVとともにある二拠点生活
・「楽しい」の先に、カーボンニュートラル。軽の電気自動車「日産サクラ」に込めた、社員の想い

本企画についてのアンケートにご協力ください。
アンケートの回答にはYahoo!クラウドソーシングへの利用登録が必要です。 アンケートは上限件数に達すると自動的に終了いたします。ご了承ください。



\ さっそくアクションしよう /

ひとりでも多くの人に、地球環境や持続可能性について知ってもらうことが、豊かな未来をつくることにつながります。

  • facebookでシェアする
  • X(旧Twitter)でポストする
  • LINEで送る
  • はてなブックマークに追加
  • Feedlyに登録する
  • noteに書く

ABOUT US

Yahoo! JAPAN SDGsは、これからの地球環境や持続可能性について、ひとりでも多くの人に伝え、アクションにつなげていくことで、地球と日本の豊かな未来をつくる、そのきっかけを届けていきます。

TOP